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Q.『凡龍は平凡な日常を楽しめるか』?  作者: 虹乃夢見
“普通”という事情は何時でもそこにある
4/24

『凡天の星の元で』

 目を開けると真っ白な世界から一転、賑やかな町並が広がっていた。

 辺りを見回してみたけど、最初の街らしく、普通にNPCとPPCが入り混じって活気に溢れていた。

 すぐさまメニューからステータスを開いて確認して見た。


 Name   :コモン

 Sex    :男性

 Race   :凡龍ノーマライズドラゴン人化形態ヒューマノイド・フォーム

 

 HP     :100%

 MP     :100%

 

 Money  :3000ゴールド

 SP     :4P


 Weapon :凡剣・日常茶飯事Ⅰ(0%)

 Head   :凡龍兜・頭吉1

 Bady   :凡龍鎧・義胸1

 RArm   :凡籠手・右京1

 LArm   :凡籠手・左京1

 Leg    :凡龍脚・脛雄1

 Acce   :凡龍環・厳首1

 

 Title  :【平々凡々】

 

 Skill  :『武闘術』Lv1 『平凡化』Lv1 『行動制限解除』Lv1 『発見眼』Lv1 『鍵人』Lv1 『趣味術』Lv1 『龍言語』Lv1 『龍魔法【無】』Lv1 


 どうやら、とんでもない事になっているらしい。

 どえらい事になっているな、と冷静に判断しつつ、移動しながら詳細を見てみる。


 【凡龍ノーマライズドラゴン】…凡能の存在が龍の形になった存在。

 己のあらゆるステータスは平均化の運命を辿る。

 また、種族特性のひとつとしてMPを20%消費する事により人化・龍化を自由に切り替える事が可能となる。


 最後の一文を除いてだけど、何なんだこれは。

 壊れているじゃないの(良い意味で)!

 これでも怠惰だと自負してたつもりだったけどね、“普通”って…。

 或る意味じゃ、これは凄い事だと思う。

 “平均化”だよ、“平均化”!

 理想のマルチタイプになれるのは嬉しい。

 けど【人間】じゃ無いのか。

 ランダムだったからそれは仕方無いとして、こんな平凡な僕でもさり気無くレア種族が当たるのは普通に嬉しかったりする。

運営に感謝しなくては。

 メニューを閉じると、街中を散策して回った。

 トップを目指そうとも思わないので、別に急ぐ必要が無いからだ。


 「あんまり良いの、無かったなぁ」


 色々見て回ったのだが、たいした物がないのだ。

 βでも生産系のPPCは居る筈…と思って露天の方にも言ったのだけれども、 ほぼNPCだけだった。

 生産スキルって、そんなに駄目なのかね?

 普通、性能の良い武具やアイテムはプレイヤーメイドが一番良いって事ぐらい解らなかったのかな?


 「何でこうも脳筋ばかりが流行るんだろうね」


 「ほんとに、ね」


 露天用の敷布に置かれている商品を吟味しながら思わず呟いてしまった所、露天商の女性が共感めいた台詞を言い放ってきた。

 見た所初期装備、しかも頭上のアイコンは緑である。

 この人、パーソナルPCか。


 「しかし、正式サービス初日にしては珍しいわね?」


 「トップだとか、そういうのはどうでも良いんで」


 「あはは。面白いのね」


 「そっちこそ、面白いですよ?」


 この人、その内生産系のトッププレイヤーとして普通に名を連ねそうだ。


 「あら、そうかしら」


 ペロッと舌を出しながらてへりと笑顔で返す様は、普通の男性なら落とせそうな雰囲気を醸し出している。

 実際、女性としては羨ましい限りの体系をしているから尚性質が悪い。


 「ま、面白いついでにフレンド登録でもしちゃいましょ?」


 「いきなりですね?」


 「何言ってるの、生産系はこうでもしないと商売上ったりよ?」


 確かに。

 確かにそうかもしれないな。

 プレイヤー同士の需要と供給を上手く回したいのであれば戦闘系には生産系が必要な訳で、その逆も然り。

 それ以上にプレイヤー同士の繋がりも、結構大切だったりする。


 「じゃ、OK?」


 「何時でも」


 『ブリギットさんからフレンドの申請が来ています。フレンドを登録を認証しますか? Yes/No』


 と出たので迷わずYesを押す。


 「これで登録完了ね、“コモン”君?」


 「そうですね、“ブリギット”さん?」


 色々聞きたい事が有るのだが、ここは敢えて口に出さない様に心掛けるとしよう。

 口は災いの元、という諺がこの世に存在する訳だし。

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