『第二の街だってさ!』
今回は長めです。
翌日、ログ・インして食堂に向かうと討伐戦のために集まったPPC達で溢れ返っていた。
…いや、皆僕の為に時間を調整してくれたといった方が良いか。
兎にも角にも感謝ものだな。
兎も角出発しないと。
で、だ…行軍の方はというと、ボスを倒した事もあって特に何事も無く次の街に到着した。
…何も無さ過ぎて逆に怖いんだけど。
向こうに着いて、早々に解散した僕はギルドと呼ばれる場所へと足を運ぶ。
ここ第二の街『アルパシディア』には冒険者ギルドというものが存在しているらしい。
というのも、PPCがゲームの初めに訪れる第一の街でNPCの冒険者に出会って話を聞いたPPCが掲示板で「第二の街にギルドが在る」と書き込まれていたからだ。
第一の街『アジャンター』にはギルドが全く無い。
この遠征軍もそう言った意味も含まれているのかもしれないな。
さて、アプデが始まる前に登録を済ませちゃおうか。
ログ・インしてすぐにアップデートのメールが運営から来ていたので、開いてみると今日の夕方に行われるとの事。
珍しく、僕の他に昨日からの付き合いでジークフリートさん、BSGさん、ディバインさんと一緒に登録する事となった。
列強の攻略組である御三方はジークフリートさんを抜いて二人とも基本的にソロで行動している。
仲が良いので訊いてみたら全員「リアルでの腐れ縁」と言ったのだ。
成程…って、濃いな!
しかも外見を一切変えていないとの事で、ついついイケメン過ぎて逆に心臓に悪い。
自分も人の事は言えないが、ギャップが在り過ぎる。
逆ハーなんて要りません。
いや、この際だからはっきり言うけど僕には最後の砦を持ってる。
必要無い物は逆に無いからね?
無駄な物資?
強制的に廃棄出来ない状態です。
それは兎も角、舐められない様にするために本当は龍人化したいけど、ディレイタイムの表示が消えない。
三人の威圧が凄まじいとはいえ、守られている様で妙に気持ち悪い気分になる。
確かこの前買った中にネタ防具としてあれが在ったな。
今現在は普段の防具をストレージに仕舞って、とある防具を着ている。
Weapon :木刀・堕威万
Head :喧嘩上等・愛羅武勇(髪止)
Bady :喧嘩上等・天上天下唯我独尊(黒長ラン)
RArm :喧嘩上等・素手喧嘩(右籠手)
LArm :喧嘩上等・素手喧嘩(左籠手)
Leg :喧嘩上等・仏恥義理(黒ボンタン)
Acce1 :喧嘩上等・愛死天流(ピアス)
Acce2 :喧嘩上等・夜露死苦(白サラシ)
なんという、かなり濃ゆい装備だろう。
だけどたまにはこういうのも悪くは無いなぁ、レディースの総長みたいなノリで。
「どうにかならないのか、その装備は」
「皆さんよりはマシな部類です」
「ウチのお袋の、昔の頃の写真を見た時の記憶が蘇って来たぜ…」
ちょ、BSGさん!?
貴方のお母さん、かなりヤバ目なんだけど!?
何が有ったのさ!?
「当時悪ガキの時代を思い出したが…あれは相当肝が冷えたな」
「冷えたと言うよりは凍り付いた、と言うのが正しいだろう」
皆さん方ぁぁぁぁぁぁ!
「しかし――――見た目に反して総長らしさが滲み出ている点では中々侮れんな。なまじ戦えるが故の強さの表れなのだろう」
「だな。この点に対ちゃ、俺も同意見だ」
「勝手な事言わないでくださいっスよ」
「兎も角、その如何にも下っ端らしい言葉遣いを改めれば、妙に突っかかって来そうな不届き者には良い牽制になるが」
「皆さんのリアル年齢が解らないのに、それは難しいです」
「ふむ。本来ならばあまり触れたくない事項なのだが…いいだろう。我々は全員新入生だ。無論、義務教育を卒業したばかりの、な」
…って事は。
「いっこ下…?」
何と、この三人後輩だった件について。
「いやいやいや、待て待て待て! その顔立ちでDK!? 何かの間違いじゃないのか!?」
あかん、凡人思考の頭が余りのテンパり具合にショートしかけてる。
「DK?」
「男子高校生…って言ってるばやいじゃ無ぁーて! これで餅が突けるか!」
駄目だこれ以上ツッコミきれない。
基本的に現実世界だと家族以外特に付き合いも無くってぼっちで生きてきた僕だけど…マジか。
「あんな濃い人間がDKの筈が無い!」
「いや、先輩もだろ?」
おおうふ…さらっと人が気にしてる事を……。
というか僕の性別考えなければ何処にでもいる一般的なモブJKと変わらない。
うん、変わらないんだよ…ね?
「と、話している内に着いたみたいだな」
目の前にはでかい建造物が。
何とも表現しがたい…こう、どっしりとした厳格的歴史的雰囲気を醸し出している。
看板には【冒険者ギルド・アルパシディア支部】と表記されている。
圧倒されながらも顔には出さずに、覚悟を決めて戸を敲いた。
中に入ると既に修羅場となっていた。
「え、何これ?」と思うだろうが、実際に起こっているのだ、目の前の光景が。
目の前に黒ずくめのおと…この子、周りには絡んできたと思われる変な奴等。
酒場が無いのに良く絡んでこれたな、こいつ等。
取り敢えず、余計なフラグをへし折ってくれたんだからお礼くらいは言っておかなければな。
だから僕等は気付かなかった。
甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
「な…」
近付いて感謝の言葉を送ろうと言葉を紡ぎかけた途端、床でおねんねしてるアホの一味だろうと思われる奴等が三人。
「てめぇら、何しやがった!」
「ああ? 俺等は今来たばかりだ。文句が有るならそっちのあんちゃんに訊け」
「何だと!?」
「当たり前だ。絡まれる筋合い等、無い」
「黙れ! 俺等『オーガの鉄腕』に手を出したらどうなるか――――ひぃ!?」
「おう! おうおうおう! 此処は誰の縄張りだぁ? オーク? 馬鹿言え! 誰のもんでもねぇ筈だぜ? でっけぇワン公ぶっ飛ばした事もねぇアホが、調子に乗ってんじゃねぇぞタマ無し青二才が」
『喧嘩上等』シリーズのリンク技能にある、【メンチ切り】を発動させながらヤンキー口調でガンを飛ばしながら睨み付けた。
「悪いが…我々が訪ねた時は既にこの様な有様だったな。第一、アジャンターから森を抜けてアルパシディアに到着したばかりなのだから」
「ま、その分余計なフラグを其処のあんちゃんが回収してくれてるから、その怒りの矛先をこっちに向けんじゃねぇぞ…『オークの二の腕』さんよぉ?」
って…あれ?
返事が無い?
あー、白目を剥いて気絶しちゃった。
「…………」
いや何だろうね、この気まずい雰囲気。
「取り敢えず奴等は放っておいた方が良いだろう。さ、総長、先を急ぎましょう」
「済まんな」
「…………」
ちょっと、なにか言ってよぉ。
じゃないとあたいのとーふめんたるなはぁとが、ぐっちゃぐちゃになりそうにゃー!
表面には出して無いけど、胸中バリバリ穴が有ったら入りたい状態。
でもって「鬱だ、死のう」レベルの台詞を吐きたくなったよ…。
職員が何が有ったと血相変えて上司に報告しに行ったのはそれから程なくしてだった。
甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
「で、君達は食って掛って来そうになったそいつ等を牽制するために睨み付けたら気絶してしまった、と」
「そうなるな」
今現在、僕等は事情を説明するために職員に案内され、個室の中に居る。
因みに目の前に居る彼は、サブマスターのグレンさん。
「まぁ、嘘偽り無い様ですので良しとしましょう。此方としても『オーガの鉄腕』はギルド内でも色々と黒い噂が絶えないので寧ろ頭を下げたい気分です」
というかそんな奴等を今まで野放しにしてきたのかい、とツッコミたい。
「突っ込みたいのは山々ですが、聴取はこれ位にしておきましょう。改めてようこそ冒険者ギルドへ。本日はどの様な御用件でしょうか」
「冒険者登録を」
「そうでしたか。それにしても、先程とは随分印象が変わりましたね」
「これが本来の装備です」
「確かに。本当に絡まれそうな雰囲気ですねぇ」
「それでも面積の狭過ぎる鎧よりはマシですが?」
あんなモノ、鎧じゃ無くてただの下着じゃないの?
駄目、あれは謎の高防御率有ったって露出し過ぎてる時点でアウトだよ?
閑話休題。
話はそれたけど今現在、ヤンキー装備から元の装備に変更している。
や、だってあれぶっちゃけ吠えるだけの奴等に絡まれない様にするためだけの装備だもん。
性能面は優秀だけどあれ、街中でずっと着てるとこう…もやもやっと近寄りがたい雰囲気を醸し出しててどうにも気分が悪い。
惜しかったんだけどな、なんちゃってレディース気分。
ま、またなんかあったらまた着けてみるのも良いかもしんない――――但しこの面子限定で。
…うん、恐すぎる。
「取り敢えず、登録を済ませてしまいましょう」
やっとか。
取り敢えずぱぱーっと済ませちゃいましょう。
「では此処に三人分のカードが有ります」
グレンさんはそれぞれ僕等に白色のカードを配って行きます。
「皆さん、手に取って頂きました。さて、親指を端にある赤い丸に強く押し付けながら三秒程待って下さい」
言われた通りに行うと赤丸が消えて、カードの色が緑っぽく変色した。
「今現在、貴方方のカードが変色しました。これは一番最初の、最低ランクの冒険者として登録された証です」
定番通りのアルファベッットで表記するものかと思ってたけど、どうやら色で表すタイプのモノらしい。
「【青銅】から始まり、【黄銅】、【銅】、【鉄】、【銀】、【金】、【白金】、【虹】の順に上がって行きます」
最後のなんか違う気がする!
確かに綺麗だけど!
「えーっと、他に無いかと問われれば…あ、そうだ」
例のドロップをストレージから取り出して机に置いた。
「これは…?」
触れようとするグレンさんを制止して、待つ事一分半。
「これで良しっと。手に取っても大丈夫です」
「ふむ」
例のあれ。
正確に言えば【巨草狼の硝子針毛】である。
待ったを掛けたのは単に品質を元に戻すためでもある。
日常茶飯事Ⅱが持つ武技・コモンスラッシュで斬られた対象物は高品質高レアリティーだったりすると、強制的に品質やレアリティーを落としてしまうという欠点がある。
だから直ぐに鑑定されると実力が示す事が出来なくなる可能性が出てくるのだ。
「ただの硝子…では、無い? これは『鑑定』してみない事には解らないか」
「一応説明しておきますと、グランド・グラスウルフの異常種を討伐した際に入手したものです」
「異常種…!?」
「今回我々はこの街に向かうに当り、森を抜けて来たのだが…その際に遭遇、これを討伐した」
「ああ。特に吹っ飛ばされそうになった時ゃあ、俺も一瞬走馬灯が走ったぜ」
撥氣に関しては流石の僕もヤバいと感じた。
結局、無意識とは言え、無茶したからこそ倒せたわけだけど、二度とあんなのと戦いたく無いね。
だったらちまちまと生産に励んでた方がよっぽど良いよ。
「ま、最終的に仕留めたのはそいつだけどな。悪運とはいえそうじゃ無かったら今頃俺達はこの街にも行けやしなかったさ」
「ちょっと? BSGさん、急に上げないでください! 僕はポーションとか料理とか、兎に角のんびり、たまに生産のために獲物を狩るだけであって、バリバリメキメキ実力向上のために戦ってる訳じゃないんですよぅ!?」
「そうだったな。確かにグミ作るために骨を集めてたり、お洒落のためだけに蜘蛛の糸を掻っ攫ってきたりしてきたもんな」
「――――げふぅ!?」
追い打ち掛けないでくださいぃぃぃぃ!
もう僕のLPはマイナスぶっち切りだってぇぇぇぇぇぇぇ!!
鳴いて良い?
ねぇ、今直ぐ泣いて良い!?
「随分と、色々やっているんですね」
「他にも毒爆弾で敵を燻り出したりな。あれはあれで有効だ、出来る事ならモンスター相手に対しての牽制アイテムとして商品化して欲しい所だ」
ぎゃあ!?
ジークフリートさんもプレッシャー掛けてくれないでくれます?
「…何も言いませんよ? それでもこの街居る生産職の方々には良い刺激にはなるでしょう」
「でしたら先ずは『アムネシア工房』を訪ねてあげてください。僕一人では追い切れないですから…」
「それは追々。今日はこの辺にしておきましょう。それとウチの関係者が御迷惑をお掛けしました」
関係者?
「あの子です。『オーガの鉄腕』を打ちのめしていた」
「ああ、あの人ですか」
「取敢えず、此処を出ましょう。私もそろそろ仕事に取り掛かりませんと、マスターを書類漬けにした意味が有りません」
今サラっととんでもない発言しちゃったよ!?
書類漬け?
いや、確かにそのネタは定番だけどさ!?
「この事はマスターに報告しておきます。それとこれに関しては『鑑定師』の職員が調査しますのでもう暫く待って頂く事になります」
「いえ。此方こそ有難うございました」
甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸
聴取と登録を済ませて部屋から出た僕等は今後の方針のために依頼の掲示板を食い入る様に見て居た。
「取敢えず、採取系をメインに受けていけば良いかな」
「低ランクの内は何かとやれる範囲は狭い。ならば今は雑用で住人の信頼を勝ち取るための努力を積んでゆくべきであろうな。戦闘なんてのはそれこそ採取の合い間でも可能だ」
「だな。ま、今日はここらで一先ず落ちるわ。何時までもこの世界に居るってのは現実世界に居る奴等に心配かけるって事だしな」
「兎に角、お疲れ様」
「普段はソロだが、たまにはこういうのも悪くは無ぇ。ま、お前のお陰で退屈しのぎにゃなりそうだ」
「そりゃどうも。んじゃ、解散!」
さぁて、アウトしてアプデために少し休んだら街中の探索と洒落込みましょう!
色々とフラグを踏み抜く、それが主人公。
因みにビスマスは加工しないと虹色になりません。
Name :コモン
Sex :男性
Race :凡龍【龍化形態(Delay・11:35)】→【人化形態】
HP :100%
MP :100%
Weapon :凡剣・日常茶飯事Ⅱ(39%)
Head :凡龍兜・頭吉+2
Bady :凡龍鎧・義胸+2
RArm :凡籠手・右京+2
LArm :凡籠手・左京+2
Leg :凡龍脚・脛雄+2
Acce :凡龍環・厳首+2
Title :【平々凡々】【ギルドの冒険者(青銅級)】
Skill :『武闘術』Lv35 『平凡化』Lv32 『行動制限解除』Lv30 『発見眼』Lv26 『鍵人』Lv2 『趣味術』Lv34 『生存本能』Lv1 『龍言語』Lv5 『精龍魔法』Lv2




