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Q.『凡龍は平凡な日常を楽しめるか』?  作者: 虹乃夢見
“普通”という事情は何時でもそこにある
17/24

『ようこそ、狩人諸君!!』

 およ?

 突然メールが来たけど…あ、久し振りのディバインさんだ。

 内容は『今から狩りに行かないか』と言う物だった。

 どんなものを狩るんだろうか、返信してみるとただ一言『狼を』と言う文が。

 ……あれか。

 あのワン公か!!

 と言う事はふむふむ…成程、ついこないだ勢いに任せて倒した(犬っころ)こと【グランド・グラスウルフ】の討伐戦に僕を誘っているって訳か。

さて、どうしたものか。

 “討伐参加者全員、初めてか”とメールを送った所、全員討伐経験が無いという返信が届いた。

 拙い…非常に拙いぞ、これは。

 あの時はビギナーズラックだったけど、ばれたら何を言われるか解ったモンじゃない……間違いなく総スカンを食らうのは間違い無いぞ!

 かといって参加を拒否すれば怪しまれるかもしれない。

 倒した後でディバインさんだけにこそっと伝えておくぐらいが良いのかもしれない。

 言動には気を付けよう。

 『今行く』とメールを送り、返信メールから集合場所に向かう。

 噴水広場と呼ばれる場所に来た僕は其処に集まっている人集りを発見した。

 多分、あれが今回の討伐参加者だなと考えつつ人集りに近付いた。


 「おう、来たか」


 「お久し振りです」


 「凄い人数ですね」


 「初めてのエリアボス戦だからな。そりゃまぁあいつ等も意気込む訳だ」


 「そう言う訳だ」


 「ひゃ!? …て、BSGさん!」


 背後から声を掛けられたから驚いたけど、この人も僕の知ってる人で、盾闘士を称するPPC、GSGさんだ。


 「なんだ、知り合いか」


 「まぁな。例の工房で、偶然に」


 魔物の素材から作られた強靭で堅牢な、特徴のある中盾を両腕に装備している。

 トッププレイヤーの中ではタンカー役と前衛をこなせるとあって招集されるのは必然なのかもしれない。


 「それでも此処に来る前、悩みましたよ? 僕の様な凡人がお呼ばれしても良いのかなって」


 「んなモン深く考えるこたぁ無ぇのサ。狩りてぇ奴は勝手に狩って、狩りたく無ぇ奴ァ参加し無ぇ。此処に集まってる奴ァな、基本身勝手で我儘なんよ。次に進むための壁をぶち壊して突っ走って行きてぇってんでウズウズしてんのさ。ま、俺もその一人だけどな」


 おお、マジでBSGさんカッコ良いですねー、輝いて見えます、ぴかーって。


 「ま、頑張れや」


 「ええ。寄生しない様に気を付けます」


 「おうさ、宜しく頼むぜ」


 僕等一行は森の奥地へ進んで行く。

 進路方向はディバインさんとこっそり打ち合わせて、彼の果物天国の敷地を迂回するルートで進行している。

 因みにこの情報、先のアップデートに合わせてディバインさんの方から公開してくれるように頼んでおいた。

 特に競う訳でも無く楽しんでいる僕が開示するよりは攻略組のトップとして活動している彼が開示した方が信頼という面では強い…というのが僕の見方だ。

 回復藥ポーションを作成する薬師なんかの生産職が増えてきたとはいえ、未だに薬草の他はNPCが出店するバザーやPPCの経営する店でしか購入出来て居ない状況にあるからだ。

 ま、先駆者パイオニアとしての特許料は頂戴しますがね。

 タダじゃ、教えてやらんよ!

 一応僕も生産組の一人だし、ね?

 あれから暫く森の中を進んで行く。

 余計な採取や、狩りは行わず速やかに進軍する。

 今回の目的はエリアボスである【グランド・グラスウルフ】の討伐。

 余計な消費を抑える作戦だ。

但し、薬草類や毒草の類は採取しておく。

 これは薬が切れた、少なくなった時のためと、ある程度の時間稼ぎのため。

 今回、僕は本命であるワン公に直接手出しせずに取り巻きを狩る役に回る。

 だから必然的に持久戦に持ち込まざるを得ないと予想している。


 「よし、最後の休憩だ」


 今回の討伐リーダーのジークフリートさんの合図と共に各々準備を始めた。

 この向こう側に視えるエリアがボスの出る広場か。


 「さて、こっちもそれなりの準備をしておこう」


 回復藥ポーションはとうに作り終えて補給役に渡してある。

となると残りは限られてくるな。

 あれを作っておくか。

 まずスキルで毒草を乾燥させて粉末状になるまで砕く。

 それを水で溶いて蒸留し、抽出する作業をスキルを使って手早く終わらせる。

 それから最近出回り始めた爆薬を組み合わせてひとつの球体が完成した。

 言ってしまえばそれは、この世界では大量殺戮兵器にも等しい代物だ。

 というか、なんてものを作ってしまったんだ。

 品質については最早何も言うまいよ。

 それよりも注意書き氏がちゃんと仕事している件について、ツッコミそうになったのは僕だけかな?

 取敢えず出来たのは、解毒薬含めて計六つ。

 あれだけ集めて、結局出来たのはこの位かぁ。

 ケド、完成品が逆に少なくて良かったのかもしれない。

 その割には『趣味術』のスキルレベルは2しか上昇し無かったけど。


 「よし! 休憩は終わりだ、準備が済んだ者は此方に集まれ!」


 ジークフリートさんの合図で集合する。


 「…緊張するね」


 声を掛けてきたのは如何にも「魔女です」と言って居そうな少女。

 杖さえも殴るのに適して無さそうな形状だ。


 「まぁ、ね」


 さて、行きますか。

 Name   :コモン

 Sex    :男性

 Race   :凡龍ノーマライズドラゴン人化形態ヒューマノイド・フォーム

 

 HP     :100%

 MP     :100%


 Weapon :凡剣・日常茶飯事Ⅱ(0%)

 Head   :凡龍兜・頭吉+2

 Bady   :凡龍鎧・義胸+2

 RArm   :凡籠手・右京+2

 LArm   :凡籠手・左京+2

 Leg    :凡龍脚・脛雄+2

 Acce   :凡龍環・厳首+2

 

 Title  :【平々凡々】

 

 Skill  :『武闘術』Lv27 『平凡化』Lv13 『行動制限解除』Lv25 『発見眼』Lv26 『鍵人』Lv1 『趣味術』Lv34 『龍言語』Lv3 『龍魔法(無)』Lv10 『龍魔法(火)』Lv1 『精霊魔法』Lv3

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