第一話 明日は空前絶後
誤字脱字の報告大歓迎です!感想ももちろん大歓迎です!
【突然その日はやったきた。世界各地で謎の生命体が発見された。全身黒で覆われ猿のような姿をしていた彼らを人類はのちに害来種と呼んだ。奴らの攻撃が始まった途端、多くの人間がたちまち捕食された。身体能力が桁違いだった彼らに人類が出来ることはないかに思われた。そこに、魔法使いが現れた。】
これは、《始まりの日》と呼ばれる文章の序章で知らない者はいないというほど有名なお話だ。ただ、お話と言ってもファンタジーというわけではない。
「小説なら面白かったのにな」といつも思うのだった。
俺は功咬剛ーとある都立高校に通う普通の高校生だ。特別な高校に通っているわけではない、というのは事実だが、十数年前から考えると"普通の高校"なんて存在しないのかもしれない。
ここには、"魔法科"しかないからだ。
国語や数学といった一般常識は中学2年まで、中学3年で《魔法》の基礎を学び、その知識を基に"魔法使い"としての才能を開花させる場所、それが今の《高校》だ。なぜ高1でなく中3で魔法を習うのかというと、それは"効率"のため。魔法は才能の部分が大きい、中学3年最後に行われる《魔法試験》で将来の可能性は(大まかではあるが)分かってしまうのだ。《才能ナシ》は地元の高校へ、《才能アリ》は指定校の中のどこかへ、才能のある人間にレベルの高い授業を集めた方が強い《魔法使い》を育てられる、そういう"効率"の問題なんだ。その中でも飛び抜けて才能のある者は高校には行かず、エリート魔法使い集まる日本の魔法分野最高機関《神聖庁》で日々最高クラスの授業を受けているのだとか。ずいぶんな格差社会になったもんだ。
はぁ………急に強魔法使えたりしないかな…
「なにボーっとしてんだ?」「わっ!シゲ、いきなり話すなビックリするだろ!」「普通に話しかけたじゃねえか…」
こいつはシゲ_風城茂。俺の中学からの親友で、中学時代は俺とシゲと、"もう1人"は今同じ高校にはいないけど、よく3人で遊んだもんだ。ちなみにシゲも魔法は得意ではない。ま、"俺よりは上手い"だろうけど。
「今『どうせ俺には魔法の才能なんてないですよ。』とか思って落ち込んでたろ?」「な⁉︎」
…そして人の心を読めるらしかった
「まあ確かにお前は才能ないかもな。もっとも"一般高校"にいる時点で才能ある可能性はほとんどないけどな。」
功咬は答えない。その代わりとでもいうように、右手から蝋燭の火程度の炎を生み出す。初歩魔法の《リトル・メル》だが、剛の表情に余裕はない。
つまり、そういうことだった。
…風城は話題を変えてみる
「そういや、相園のやつ元気にやってってかな?」
「…ああ、どうだろうな。元気にやって『剛‼︎』るといいけど。」
ん?今変な声混ざってなかったか?うん、混ざってたね。
「剛‼︎宿題サボっておいて何昼休み満喫してんのさ!魔法使いになれなくてもいいの⁉︎宿題終わるまで帰らせないんだから!」
「お前は先生か!」
このグイグイくる女の子は鈴白凛。高校でできた親友…いや、グイグイくる知り合い?まあ友達くらいにしておくか。この高校で最も魔法の才能があるのはこいつだったりする。羨ましい限りだ。なぜよく休み時間にグイグイくるのかは不明。だからグイグイくるなって!
「分かった分かったから近い!顔近づけなくても喋れるだろ!」「あ…ご、ゴメン…」
照れるなよ、こっちまで照れるじゃねえか。明るく顔立ちも(…確かにまあ)可愛い鈴白はクラスの人気者だったりする。
【なぜグイグイくるのかは不明】…不明ですとも、もちろん。
「今お前たちは『こんな顔を近づけられてラッキー!神様に感謝したいな!』とか思ってたろ?」
「「思ってない‼︎」」
(分かり易いやつだな)といつも思いながら鈴白をからかうのも風城の日々の日課となっていた。
「風城もなんか言ってやってよね。剛のやついっつも宿題やんないんだから。」「宿題やったってどうせ俺は魔法なんて出来やしないに決まってるからこそ!敢えてやらない道を選んだのだ。」「なにちょっと潔く諦めてんのさ!まずやってから言いなよ!」「実はこの俺風城も終わっていない!」「いや、アンタはどうでもいいから」
魔法の方は残念極まりないが、それなりに青春していたのかもしれない。そんな高校1年の秋、
《大災厄》は訪れた。
初投稿なので色々多めに見てください
(^人^)