愚痴る
世の中少女漫画見たく甘ったるい「恋愛」なんてものはそうそうないんだよ。いや、燃え上がっているころはあるんだろうが結局のところ終わりが来るんだ。付き合えたりラブラブになったりでハッピーエンドが漫画や小説だろうけどそれで終われたらこの世はどれだけ楽なことだろうか。このまま一生続くと思っていた日常がある日のほんの些細な感情の変化で崩れ去ってしまう、ホント理不尽な世の中だこと。
毎日毎日同じ日々を過ごす、何にも楽しいことなんて思い浮かばない。時々楽しいと思うことがあっても結局その場限りでただの暇つぶし、死ぬまでの暇つぶし。恋人がいたころは毎日が楽しくて楽しくて仕方なかった。明日会える、どこそこに行ける、そんなことばかり考えて日々を過ごして行けた。
喧嘩しただなんだで大騒ぎして仲直りして毎日がイベントだらけだ。しかし今はもうそんなことなんてありゃしない。皮肉なことに日々が以前よりもあっという間だよ。毎日同じことしかしないから。
「お前は一体何してるんだよ、何を考えてるんだかさっぱりわからんよ」
こんなこと言ったって誰に伝わるわけでもない。たぶん本当に伝えたい人はもう会えない。会おうとすりゃ簡単なんだよ、今の世の中少しの手がかりですぐにいろんな人の近況がすぐにわかってしまう。知ってるよ、何をしているのか。そりゃ正確にわかっているわけでもないけれど新しい恋人と仲良くやってるんだろ。私にはあいつの良さがさっぱりわからないよ。それでも自分のことを思い返してみて結局は身から出た錆か?もともと会わないはずだったんだろう。それが戦うことが怖くて逃げていたんだろう。
さて、いい加減現実に立ち向かおうとしようか。失ったものはもう戻らないんだろうし。
現実に立ち向かってみて自分のすがる場所が何一つなくて助けを求めて逃げられて自分の恋人にはそれを求めていたんだろう。子供が親に求めるように私は恋人にそれを求めていた。助けてくれるから多少の犠牲はかまわなかった、結局自己満足?利己的主義?
「君はどう思うよ?」
「何を言っているかわからない?」
「だろうな、私もさっぱりわからない。」
「しかし私はこうやってよくわからないことをグダグダと話すことでなんとなく気づいていく性格なんだ。」
「で何か分かったのか?」
「隣の芝は青いこととか不器用な人間は頑張りすぎちゃいけないことかな」
「確かに君は不器用だね、今こうしているときもそうやってグダグダと話すのはまさしく不器用だね。」
「どうすれば君みたいに器用になれるかい?」
「いや確かに僕は器用ではあるけれどそれは工作がうまかったりとかそういった器用であって君の求めるものは違うんじゃないかな。」
「そういう器用さがあれば選択肢が増えるじゃないか、たとえば喧嘩をして謝るときに何か芸術作品と作ってプレゼントをして謝るとか?」
「なかなか画期的な謝り方だね、むしろ引くよ。」
「私としてはそういう謝られ方できゅんとしちゃうかもしれないんだけどな。」
「これは僕に何かを期待しているのかい?」
「その前に喧嘩をしたくないね。」
「そりゃそうだね。けれども喧嘩をしたくないからって逃げてちゃ我慢してちゃ後々ひどいことになるんだね。もともと合わない人は合わないし無理に合わせることもない、そのままを受け入れて受け入れられないのは受け入れないでそうでもしなきゃどんどん深みにはまっていくだけだよ。」
「君のこの数年で悟ったものとでもいうわけか。」
「ああ、そうだよ。結局私は間違えていた。いや、そこで間違えることが正しいことを知ることができる正解だったのかもしれないけれども。」
「正しいものなんてあるのかね?」
「正しいなんて言っても価値観の問題で本当に正しいものなんてないんだろうね。ヒーローの正義もあれば悪者の正義もあるんだし。私は正義をひたすら信じた。悪者はすべて悪とした、けれども結局それは私の中だけでの正義であった。頑固者なんだよね。」
「君は一度決めるとなかなか変えないからね。高校の時だって初めにここって決めたらほかのところなんて一切考えてなかったね。」
「そういえばそんなこともあったっけね。喋りつかれた、すみませーんコーヒーお代わりお願いします」