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11話 脇役






『乙女ゲーム-Wikipedia

 乙女ゲーム(おとめゲーム)とは、女性向け恋愛ゲームのうち、主人公プレーヤーが女性のゲームの総称である。「乙女ゲー」「乙女ゲ」「乙ゲー」などと称される。・・・・・・・・・・』




んー、それは分かってるんだよねー。






『対策と傾向:キャラ別攻略の傾向と対策。昴さんは素直な女の子になりきる事です。海さんは、ちょっとSな方が・・・・・・・・』





嫌々、全然知らないゲームの個別対策はご遠慮しますっ!





『・・・・・この乙女ゲームに言える事は、主要キャラじゃ無くても「名前」をもっている時点で隠しキャラとしてイベントが発生する兆候がある。往々にして難易度は高く、スペシャルハッピーエンドを迎えるのは難しい。

「名前」は無くともキャラ個人の人気が高い場合、追加イベントとして登場させる事も有る。難易度は低く、誰からも好かれるキャラとして親しまれる。』





知らないゲームについてのコメントに、何となくだけど、そう言う事なの、かなあと思ってしまう。





脇役と言う割に「名前」も持ってたし簡単だけどプロフェールも持ってたよね。





今日は日曜日で学校はお休み。

明日も昨日(陸上競技大会)の振替でお休みとなる。



昨日、家に帰って来てからパソコンさんにお付き合い頂いている。


色々な事を検索したり、無料の乙女ゲームを攻略してみたり、お蔭で全然眠れない。

って言うか、一向に眠気が来ないからそのまま続けている訳なんだけどさ。


ゲームの世界でゲームするってどうかなーとも思ったけど、そう思うのは私だけであって、この世界は普通の世界と変わらない。



「イベントが立った、って言う事なのかなー」



あの場合、下條さんが転んだ時に助けに入るのはゴレンジャーの内の誰かだと思ってた。

それはヒロインが心に思う人がいれば、当然その思い人が現れるのがセオリーだから。



(罰が当たったんだなあー)



あの時、私は、下條さんの心配よりも、誰が彼女を助けるのか、と言う事に頭が働いていた。

それも、ちょっぴりワクワクさせて。



(最低だな。自分)



これで龍ちゃんもカラフル軍団に仲間入りしてしまったわけで、名前の無い私からは遠い存在の人となってしまった。




あー、恋愛は難しい。




前世でも恋愛は苦手で、好きな人が出来ても告白できずに見ているだけが多かった。

運良くお付き合いが出来ても、のたのたしている内に他の女性に持ち逃げされたり、危うく妻子持ちに騙されそうになったりと良い思い出が無いのだ。

まあどれに関しても大した痛手も無かったし、引き摺るほど執着した記憶も無いから結構あっさりと忘れられた事もありがたい事だと思ってる。

そんなだから33歳でも独身だった訳で、母も60%位は諦めている感じだった。




『初恋は実らない』

恋愛に関する諸事情を検索してみると、そんな言葉が気に掛った。




『初恋の定義』

で検索してみれば、ファーストキスの相手だと言う人も居れば、一番初めに好きになった人とか、後から思い出した時にあれが初恋だったと思った時とか、結局人それぞれの考え方の違いで定義なんて物は無いらしい。




初恋なのかなー。

私の場合はその定義が当て嵌まるのかそうでないのか分からないけど、何年か経って思い出した時は、間違いなく龍ちゃんの事を何倍にも美化して『初恋』とするだろうと想像は出来る。

幼稚園(前世)の時に初めて手を繋いでドキドキしたカッコイイてるや君以来の御来光を感じたんだけどな。



何事も経験を積むしか無いのかと思うと少々うんざりするけど、前世の33年分の経験と転生してからの16年分を足して、これから日々努力をするしか無いだろうと溜息を付いて、ベッドに潜り込んだ。




嗚呼~ 私の唯一の癒しの君だったのにぃ~




この日、さくらが1日ふて寝をしていた頃、桜ノ宮の女生徒の携帯電話はひっきりなしに鳴っていたと言う。





『黒髪の君は誰か知ってる?』

『弓道部に時々コーチに来ているらしい』

『袴田先生の友達だって』

『木之本コーチって言ってたよ』







・・・・・・・・・・・・・・・・







火曜日、学校に登校すると、驚く程龍ちゃんの話題で持ちきりで、何となく落ち着かない雰囲気に逃げ出したくなる。



朝のホームルームで袴田先生が下條さんの状況について話をされた。


「下條は軽い捻挫だ。転んだ拍子に気を失っただけで異常はないそうだ。大事を取って今週は休むが来週からは来ると連絡があったから安心しろよー」との事だった。




今日は今日とて時間は過ぎる。




勉強して友達と笑ってお菓子を食べて。



気が付けば放課後で、私の目の前には袴田先生が立っている。



「さくらもち、偶には部活に顔出そうね~」

「なんか活動してましたっけ?」

「うんうん。相談したい事があるんだよー」



止むに止まれぬ事情で数度だけ足を踏み入れた事がある化学教室、の隣の準備室にはふかふかのソファとクッションが置かれていて、テーブルの上ではやっぱりビーカーに入ったお湯が沸いていた。



「なんですか?相談したい事って」

「あのね、珈琲に入れるミルクは粉がいい?液体の方がいい?」

「は?」

「僕は液体派なんだけど、東雲が粉、粉って五月蠅くてさー」

「はあ」



先生、どっちでも良いと思います。



「袴田先生―、会議ですよー」他の先生が呼びに来たらしい。

「はーい、今行きますよー」と言って、先生は直ぐに出て行った。




はて?何だったんだろう。





用事が無いなら帰ろうと思ったんだけど、意外な事にここのソファは座り心地がとても良かった。







「・・・・ち、さくらもち?」


誰かの呼ぶ声に、はっとした。



目の前には青色の髪の毛を耳に掛けた東雲君が立っていた。


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