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過去












「過去」










 もう7月。テストも終わり皆文化祭、夏休みではしゃいでいる。

勿論、俺は彼女に点数は負けたが。

そして、彼女は一躍有名人になっていた。



 「――――えーこっほん。文化祭のきせうがやってきましたね!」

「噛んでんじゃねーよ。可愛いけど」

3年生1人の女子マネージャーと部長は付き合っているらしい。

公認カップルらしい。

 「それで!我が部はなにをするかを考えます!!『文化祭で賞をとっちゃいま賞会議ぃぃ!!』」

「賞…?」

「ああ、柏木さん知らないよね。あ、うちの文化祭ね、どこが一番すばらしく面白いかを競うの。クラスと部活で、そんで部活で賞とると部費がけっこう入ってくるらしい。去年は弓道部で初めての人にも弓矢ができるようにって体験やってたな…」

 「そう!!翼くんの言う通り!!でも、サッカーの体験は絶対ダメね!!」

「体育の授業でやるしな…」

「あと、マンガ研究部は入賞してたよね。アニメ作って」

「ああ、声とかも自分たちでやってたらしいし!」

皆がわいわいしている。

やっぱり文化祭は楽しい物だとあらためて分かる。

 「美月ちゃんは、前の学校で何した??」

彼女は、重く口を開いた。

 「前の学校の文化祭休んだからわかんないです…すいません…」

なんだろうか。

彼女が暗くみえた。

 「あ、ご、ごめんね。事情も知らないで…」

「いえ…私何も言ってませんでしたし…」


俺はまだ何も知らなかった。

なのに俺は彼女と笑っていた。

彼女の秘密もしらずに―――――



 「――…翼くん……これってどういうこと?」

「ん…はぁ…んぅ…ちょ…とまっん…」

「つ、翼くん…?」

俺は、埋もれていた。

臭くて暗い用具室に

 「翼くんっどこ!?つ、翼くん!!!!」

「あれ?柏木さん?どうしたの?」

「あ、さ、桜木海里さん…」

「「・・・・・・・・・・」」

沈黙。

気まづくなっていた二人。

なぜなら、二人は絵がうまい。

中学の時は2人とも、相手にライバル心があったから。

でも相手同士は知らない。

 「かっか海里居るの!?ちょっと助けてぇ!!」

「翼?どこいんの?」

「あ、用具室の中に埋もれてて、」

「ふぅん…翼!ずっと声出してて!」

というと海里は今夏で夏服なのに腕をまくるふりをしてこう言った。

「よし…」

そう言ったかと思うと海里はどんどん段ボール箱の中に消えていった。

「あ、え??桜木さ、さん?つ、翼くん…?」

沈黙。

二人は出てこない。

そして物音も聞こえない。

 「桜木さん!!!翼くん!!!!!」

……二人の声は聞こえない。

「あ、あああああ。いや…」

美月は、眼孔が開き、しゃがみこんだ。

 そして、

――――――あの(・・)()と(・)一緒(・・)に(・)なっちゃう(・・・・・)。


 「――――ぷっはっ!!…死ぬかと思った。つーか翼どんなとこにいるんだよ!」

「あ、いや…その…せまい所好きなんで…ちょどあって、良い感じに和んでました。すいません。…うわぁ…海里、髪が鳥の巣みたい(笑)鳥!バート!鶏!豚!」

「最後肉になってなぁい?翼ぁ…いい度胸してるわね………………」

 二人は喧嘩しはじめた。

二人はきずいていない――――

柏木美月の存在。

そして柏木美月の過去を二人はまだ知らない。

 


      *



 1年前 某高等学校


「―――ねえ、知ってる?柏木さんってね。」

「見ろよ!!柏木の()のやつ!!」「やっぱり、ネットってすげーな」「柏木さんでしょ?頭良くてまじめなのかと思ってた。でも、サイテ―だね!」「うわっ!!!!!!!触っちゃった。」「きゃーちゃんと洗ってよー」「うつるー」「やめなよー柏木さんがかわいそーでしょーハハハハハ」「サイテ―女」

ザワザワ――――                 ワラワラ――――

ヒソヒソ――――     コソコソ―――――

クスクス――――   ウジャウジャ――――   カシャカシャ――――


もうやめて―――――


 『人殺し!!近づかないで!!』

親友に言われた最後の言葉。

あの日私は何もしちゃいない。なのに、なのに、なのになのになのに―――――!!!!!

 柏木美月は、殺人者では、ない。被害者だった。

あの日―――――――――

 ザ―ザ―と雨の音が聞こえてくる。梅雨の時期。

「ねぇ、ねぇ、美月ちゃん。」

「何?()()ちゃん?」

私は近所の小学一年生の小さな友達がいた。

引っ越してきてすぐに親とも仲良くなった。と、いうか実夏ちゃんのお母さんが話かけてきてくれて、すぐこの場所になれた。

 「今日ね、みんなで、かるたやってね。実夏ねー!一位だったんだよ!!」

「え~!!!すごい!!じゃあ今度かるたで遊ぶ?」

「うん!!」

実夏ちゃんの親は共働きで、実夏ちゃんのお母さんが迎えに来るまで、家で預かっている。それで、私は毎日迎えに行き今下校途中で、ある。

 「実夏ちゃん、暖かいの飲む?」

「いいの!?じゃあ、美月ちゃんが好きなジュースでいいよーありがとーやったぁ!!実夏はここで、待ってるね」

無邪気に笑う実夏を見ながら私はほほ笑んだ。

私は自動販売機へと走った。

 ガコン。

温かいココアを二つ買い、手にココアの暖かさを感じながら実夏ちゃんのもとへと向かった。

 その時だった。


人通りが少ないせいか、真っ先に耳に入ってきた言葉

「ぶっ殺すぞこの糞ガキィィィィ!!!!」

言っているのは男だ。

その目の前には実夏ちゃんが居る。

―――――ッ!?

男はナイフを持っている。しかも、実夏ちゃんに向けている。

 「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!!」

ゴトン。

ココアの入った缶が、毀れおち、一声に発した言葉。

「実夏ちゃん!!!!!逃げてぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!」

グサリ。

一瞬時間(とき)が止まった。いや、とまってほしかった。

――――――遅かった。

地面には赤く染まりその真中に少女が倒れている。

 「っっへっへ…すっきりしたぜ!!」

男は逃げようとする。

美月は、実夏ちゃんへと駆け寄り、抱きしめた。

「待ちなさいよ。」

「あぁあん?なんだぁ?てめぇ…」

ザ―と雨が降る。

「実夏ちゃん。」

「あぁぁん?なんだぁ…?そいつの名前かぁ?」

「そうよ。罪も何もない一人の少女を…」

「うるせぇ!!俺はぁ機嫌がわるいんだぁ…おまえの死ねぇェェェェ!!!!」

男はナイフを美月に投げつけ

走り出す。

 そのナイフは、実夏ちゃんに刺さった。

ブスリ。

「実夏ちゃん!!!!ごめんね。ごめんね。今救急車来るからね、私が変われたら変わりたい…もう少しがんばろう。今ナイフ抜いてあげるね。」

ナイフはほんの少し刺さっておりすぐに抜けば血はでないだろう…―――

有名田舎高校で学年一位をとるほどの頭脳ではそう判断された。

 「ゆっくり抜くから…苦しくなったら言ってね。」

ぐちゃ。

「うぅ…」

実夏ちゃん、がんばって。

私はそれしか考えられなかった。

でも。


 ―――ドス

鞄が落ちる音。

「――――?」

「え…?柏木さん…??何やって、きゃぁぁあああああ」

「どうしたの?って…柏木さん!?女の子…」

「え?」

美月は気づいていない。

自分で、少女のナイフを抜いていること。

人殺しと思われることも。

 カシャリ。

 ピロリロリ~ン。

携帯の写真を撮る音が聞こえてくる。

「何してるの!?ひどいじゃない!!」

「だって、柏木さん…女の子刺したんじゃないの?今抜いてるし…これ、びっくりニュースでしょー?」

 「え?私人なんて、刺してないよ…」

「え??なんか言った??そんなことより早く救急車呼んだら?死なないといいね!じゃあねー」

と、美月のクラスメイトは走って行ってしまった。

 その後実夏ちゃんは一面をとりとめた。

犯人は未だ逃走中である。

私は実夏ちゃんの親にしつこいぐらいお礼を言われた。


でも、学校では、地獄が待っていた…

ガラ。

ドアを開けると皆が私を一斉に見る。

そして

ザワッ――――――!!!!

皆携帯電話を開いている。

「――――?」

ふと、黒板を見ると、

“小学生の女の子を殺したのは柏木美月!!!”

と、でっかく書いてあった。

―――――ッ!!!???

黒板を消した。こんなの出鱈目だ。

そんな時に一人のクラスメイトの口が開いた。

 「なんで人殺しが、学校来てるんですかー?退学じゃないのー?てか、近寄るなしー」

「そうだ!近寄るな」  「学校来るなし」  「証拠写真あるしねー」  「クラスの皆にメールで昨日着たよねー」  「なんなら見せてあげよっか??」  「サイテ―」   「意外と真面目だったからストレス発散してたのかなー?」   「女の子可哀想―」

  「頭良くても、サイテ―な人間だなー」   「お母さんが可哀そう」  「ねえねねぇ皆!」


 「柏 木 さ ん 学 校 に 来 さ せ な い よ う に し よ う よ ―――」

―――!?


 その噂は、瞬く間に学年中に伝わった。

「――ねぇ、ゆみは、私のこと信じてくれるよね…?親友だし」

ゆみとは、美月の親友であった。

ゆみは近くにあった。バケツを持ち美月に向かって投げた。

ガン―――!!

「―――ッ!!ゆみ!?」

「…ないで…毛安く、私の名前呼ばないでよ!!人殺し!!!近づかないで!!!」


 私の人生は終わった。

その時、私は転校するしかない。

と思った。美月ぐらいの頭脳ならどこの学校でも編入試験など、受かってしまう自信があったからである。

美月は無理を言ってこっちに戻ってきた。

 心の闇を抱えながら。



―――現在


 「あれ?美月ちゃん!探してたんだよーなんか、翼だけ帰ってくるから…」

「あ、すいません…ゆみ先輩。ちょっとトイレに行ってたもので…」

美月は過去を隠して、これからを生きていくことになるだろう。


被害者として。














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