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第一章 三話
地元の神社の夏祭りに繰り出した僕はそこで悲しい思いをする。
祭りに繰り出すと、焼きそばの屋台や綿菓子の屋台には同じクラスのほとんど学校には来ないツッパリくん達がたくさん屋台のテキやのオニイサン達を手伝っていた。夏休みなのに働いて感心な少年達だった。
「一人で何してるの?」聞き慣れた、女の子の声が僕を呼び止めた。愛しのクーコの声だった。
嬉しくて振り返ると、そこには浴衣姿のクーコとその横にはサッカー部のキャプテンが腕を組んで一緒にいた。
「りんご飴でも買おうかなと思ってな。」僕は目の前が真っ暗になって、しゃがみこみそうになるのを必死でこらえながら愛想笑いを浮かべて答えた。なぜかサッカー部のキャプテンが僕を見てクスリと笑った。その笑いの意味を後に僕は知る。
「はいよ!りんご飴ひとつ!」同じクラスのヤンキィが威勢よく僕に渡した。一年半の片想いがあっけなく終わった瞬間だった。