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15の夏 1
15の夏、どんな人間にでもなれた。少しは受験勉強でもするか?でもその前に・・・
ゴクリ。喉を鳴らしなから、僕は家から持ってきた水筒ごと凍らせておいた麦茶を飲み干した。
中学の三年間打ち込んできた軟式テニス人生はあっけなく市の大会の一回戦で、幕を閉じた。
もともと軟式テニスがすごく好きで入った部活なかったからそれほど悔しさはなかった。
しかし、少し時間が経つと「あの時、こうしていたら・・・」
と後悔の気持ちが怒涛の波のように襲ってきた。
このころから、後悔することが増えた気がする。
部活が無くなって、おもいっきり時間に余裕ができた僕はとりあえず、受験勉強でもしようか、と一瞬考えたが、文字どおり一瞬だけだった。
「15の夏は一度しかない。」と自分の考えを正当化しようとした。
そう、中学三年間でできなかった彼女を作り、あわよくば、この夏に大人の階段を上ろうと考えていた。
僕の妄想は果てしなく続いた。