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第三話 季楽の初依頼ー簡単な依頼のはずでしたー

師匠から正式に二代目に就任した素優 冷。

三代目候補となった竹刀 季楽は、

「俺も依頼をやりたい」

と言い出す。

夏休みが始まり、二人の物語が動き出します。


 師匠から二代目宣言された次の日、季楽は夏休みに

 入り、冷にこんな提案をした。

「俺も便利屋の依頼やりたい。」

 七年間一度もやったことがない季楽。

「もぐもぐ、えっ…手伝いなら良いよ。

 一人ではダメ。」

 一人ではやらせる気ゼロな冷。

「修行完了したのにか、一人でもできるぞ。

 高校生だし。」

 立ち上がって主張する季楽。

「分かってる。関係ない、初依頼は師匠と

 一緒にやった。」

 真剣な顔で返す冷。

「うっ…そういわれると言い返せねぇ。

 分かったよ、冷姉。」

 小さくうっと言ってから、悔しそうに認める季楽。

 静かに座る。

 食事が終わった後、電話が鳴る気配はなく沈黙が

 時間を流れていく。

「なんでこういう日に限って鳴らないだ。」

 残念と思う季楽。

「…」

 新聞読んでて、反応なしな冷。

 事務所のドアが横開きでガラガラと開く。

(もしや、依頼者?)

 季楽は思わず立ち上がり、何か話そうとした時に…

「冷ー、いらっしゃる?…冷ー、いらっしゃる?!」

 一言目で目視し、その後、怒った様子でこめかみを

 ぐりぐりする白いノースリーブワンピースに

 水色の長袖のブラウスを着た女性。

「痛い痛い、菫。いつのまに?おはよう。」

 めんどくさそう言う冷。

「おはよう、冷。大きな声で2回お声がけしたの

 だけど。」

 睨みながら言う菫。

「新聞に集中してた…ごめん。」

 少ししゅんとする冷。

 ポカンとみていた季楽は、

「あの…俺を置いてかないくれますか?

 菫さんはその冷姉とどういう関係ですか?」

(一般人ではなさそうだが、分かんねぇ。

 なんで冷姉が名前覚えてるんだ?)

 冷が名前を覚えていることに戸惑っている季楽。

「私はあなたのこと存じているわ。季楽さんよね。

 年賀状でね。冷、私のこと話しなさいよ。

 私の名前は遊園 菫(ゆうぞの すみれ)

 申します。冷の親友です。

 そして、かの有名な遊園グループ社長が私の父。」

 丁寧に自己紹介する菫。

「話してなかったけ?…ということです。」

 惚けつつ、菫の話を肯定する冷。

「聞いたことねぇよ、冷姉。よろしくお願いします。

 俺は竹刀 季楽(しない きら)です。

 師匠である竹刀 山六(しない さんろく)

 養子です。冷にとっては弟弟子です。」

 姿勢良く自己紹介する季楽。

「あら、礼儀正しいじゃない。冷が教えたの?

 それとも山六さんが教えたの?」

 意外に思い、質問する菫。

「知らない、いつの間にかできるようになってた。」

 興味のなさが出る冷。

「知らないって…まぁ環境が良かったでしょうね。」

 ため息をつきつつ、自分なりの答えを出す菫。

「その遊園グループってなんだ?」

 すぐタメ口になる季楽。

「知らないの?冷だけだと思っていたのに。

 すごく有名なのよ。私も次期社長候補としてね。

 小さいものから大きなものまでほとんどが遊園

 グループが関わっているといっても過言

 ではないの。覚えておきなさい。」

 驚きながらもしっかり説明して、圧をかける菫。

「はい、覚えます。」

 敬語に思わず戻る季楽。

 その時プルルと電話が鳴った。

「もしもし、便利屋さんろくです。

 犯罪以外なら何でも請け負います。」

 店名は変えずに引き継いでいる冷。

「もしもしぃ、僕ね、ゆうたって言うんだ。

 えっとね、僕の子犬がね。

 いなくなっちゃった〜。」

 子供らしく高い声でゆっくりとした口調である。

 後半泣きそうになり、最後泣き出す子供。

「うんうん、悲しいね。私が絶対見つけるから、

 特徴教えてくれるかな?後、住所ね。」

 愛想よく話しながら、情報は確実に聞く冷。

 メモは確実にとっている。

 特徴 明るい茶色 ふわふわ プードル系 子犬

 住所 町一丁目二番地123 名前 ゆうた 子供

「相手、子供っぽいな。容赦なく基本情報聞き出し

 てるけどな…。」

 少し引いてる季楽。

「当たり前ですよ、季楽さん。情報がなければ

 依頼はちゃんと達成することはできませんもの。

 冷は仕事を真面目にしているだけのことですの。」

 物申す菫。

「そうだな、これも重要なことか。

 俺もできるようにならねぇと。」

 納得し意気込む季楽。

 ガチャと電話を切り、準備を始めようと立ち上がる

 冷。

「季楽、子犬探しする。ついてきて。

 これ見といて。私はもう覚えたからいらない。」

 メモなどの書いたことはその日のうちは忘れない。

 少し早口に一言切りながら言う冷。

「はい、冷姉。初依頼だ。」

 はっきり返事をし、喜ぶ季楽。

「メモはどこにあるだ?冷姉ー。」

 冷に大声で聞く季楽。

「机の上。竹刀持ってくんだよ。」

 端的に返し、持ち物をついでに言う冷。

「はい!」

 やる気に満ち溢れた返事をする季楽。

(ただの子犬探しなんだけど…大したことしない。)

 やる気があることに疑問な冷。

 まずコンビニで犬のエサを買い、商店街の方に

 行く。

 周りを見渡し、細かい路地を見ていく。

「冷ちゃん、こんにちは。今日も依頼?」

 買い物途中のおばさんが話しかけてきた。

「こんにちは、そうですよ。明るい茶色でふわふわ

 の子犬見なかったですか?」

(誰だろう、たぶんこの辺住んでるんだろうな。)

 愛想笑いをして明るめの声で話す冷。

(全然普段と違うぞ、これも技術なのか?)

 驚愕する季楽。

 冷は愛想振り撒くのが大得意なだけである。

 もちろん、相手が誰か覚えていない。

「見てないわねー。でも、最近裏で犬を不法的に

 売買してるらしいのよ。なんかよく最近鳴き声が

 聞こえるって。」

 なかなかの情報網を持つおばさん。

「そうなんですね、調べてみます。

 情報提供ありがとうございます。」

 丁寧に礼を言う冷。

「季楽、帰って良いよ。」

 突然発言する冷。

「えっ、なんでだよ。」

 戸惑う季楽。

「えっ…さすがに危険だから最初にしてはまだ早い

 と判断したまでだ。」

 少しカッコつけて言い切る冷。

「俺は行く!強くなったから大丈夫だ。」

 食い下がる季楽。

「分かった、見つけたら教えて。私も行くから。

 絶対一人で解決しようととか思わないでね。」

 釘を刺す冷。

「はーい。」

 頭の後ろに腕を組んで、気に食わないが

 一応納得する季楽。

 二手に分かれて子犬探しを再開した。

 だが、結局みつからずちょうど合流する地点まで

 二人は来てしまった。

「見つかった?」

 冷が聞く。

「全然、犬一匹いない。」

 残念そうにして体勢が全体的に下になる季楽。

 その時に特徴が合う子犬をもっている男を

 見かける。

「…!そこの男、その子犬、返せ!」

 指を指して走っていく季楽。

「やっべ、見つかった!」

 走っていく男。

「季楽!一人で行くなって!」

 慌てて後ろを追いかける冷。

 子犬は弱っているようで鳴かない。

 そのまま裏路地の方に入って行った。

  〜裏路地〜

「待てー!」

 必死に追いかける季楽。

 静かに冷は様子を見ることにして追いかけている。

 男は行き止まりについた。

 だが、そこには数人の仲間らしき人たちがいた。

 冷は見えない所に隠れて様子を伺う。

「ははぁ、一人だと思ったか、仲間は大勢

 いるんだ。やっちまえー!」

 男はにんまりと笑い、指示を出す。

「何人でも来い!俺が全員倒してやる!」

 自信満々な季楽。

(あの数、一人で倒す気か…最初でバカすぎる。

 まぁ、実力見るか。ちょうど良い。)

 呆れつつ、みている冷。

 相手は拳一本のようで殴りかかってきている。

 竹刀で上手く受け流しつつ、急所を狙うが当たら

 ない。

(なんでだ、なんで当たらない。

 守ってばっかじゃ…勝てないぞ。)

 焦る季楽。

「あはは、こいつの攻撃分かりやすいぞ。

 親切にどう攻撃するか教えてくださるのか?」

 バカにしたように言う仲間の一人。

 その一言に動揺する季楽。

 その時攻撃来たのに気づかない。

「ぐわぁ…うぅ。」

 横腹に蹴りを一発喰らってしまった。

「やったなー!」

 怒りで竹刀を振り回す季楽。

 当たるはずもなく、避けられる。

「はぁ…」

 ため息をひとつはいて、冷は一瞬で仲間を倒す。

 全員気絶している。

「ぁ!冷姉?」

 驚く季楽。

 冷はまっすぐ子犬を持つ男に突進していく。

「はぁ…なんだ。こいつがどうなっても…」

 理解が追いつかないが子犬を犬質しようとした男。

 しかし、次の瞬間気絶してしまった。

 冷の脇の下に子犬がちゃんといる。

「だから、一人で行くなって言ったよね。」

 淡々とした口調で季楽の頬をぐりぐりする冷。

「いぃ…ごめんなさい。弱かった俺が。」

 認めて素直に謝る季楽。

「はい、子犬はちゃんと返してきて、私、こいつらを

 警察に通報して事情説明するから。」

 丁寧に子犬を季楽に渡して、これからやることを

 簡潔に説明する冷。

「おぅ、あったけぇ。生きてる。」

 ほんわか笑顔になる季楽。

 子犬も安心したようにワンと小さく鳴く。

「早く行って。」

 少し羨ましく思いつつ、低い声で言う冷。

「あっ、確実に届けてやる。」

 切り替えて住所の所に向かう季楽。

 蹴られた所が痛くて走れない。

  〜ゆうたの家〜

 それほど遠くなかったため、歩いても10分ほどの

 場所だった。

「すみませーん、子犬探しを頼まれた便利屋

 さんろくの使いです。誰かいませんか?」

 インターホンがないため、呼びかける季楽。

「はわぁー!僕のフワだ!」

 見つけるなり駆け寄ってくる男の子。

「おぅ、ゆうたくんか?フワを見つけたぞ。」

 丁寧に返して、笑顔で言う季楽。

「ありがとう、そうだ、お金渡さなきゃ。

 待ってて。」

 お礼を言って、思い出したように家の方に戻る

 ゆうた。

「はい、1000円。お姉さんが言ってたから

 ちょうどだよ。」

 電話越しの声がお姉さんに聞こえたのでそのまま

 言っているゆうた。

「うん、たしかにいただきました。また、

 頼ってな、ありがとうございました。」

 最後はしっかり締める季楽。

「バイバイー。」

 手を大きく振るゆうた。

 手を大きく振りかえす季楽。

「いてて、帰ったら湿布貼らねぇとな。」

 怪我は痛いが、初めて依頼を達成できたことに

 喜びを感じる。

 この怪我もその一部だと思うと嬉しくなる。

  〜警察が到着後の裏路地〜

「通報者の方ですか…ってまた冷さんですか?」

 有原が言う。

「?問題ありますか。えっと、蟻塚さん?」

 有原のことはありの何かだと思っている冷。

「有原です!覚えてくださいよ。そのこの人たちは

 一体?」

 ツッコミながらも業務に戻る有原。

「カクカクシカジカだよ。」

 状況を説明して、スマホを見せる冷。

「なるほど、この映像は証拠として提出させて

 いただきます。ちょっと作業しなきゃなんで協力

 してもらうために交番にきてもらえます?」

 お願いする有原。

「はい…うん?」

(なんかみられてる?気のせいか。)

 返事をした後、すぐに後ろを振り返る冷。

「ありがとうございます、どうしました?冷さん?」

 丁寧にお礼をした後、いつもの調子で聞く有原。

「なんでもないよ、行きましょう。」

 愛想笑いで言う冷。

 突然の笑顔にキュンとする有原。

「ちっ、また失敗か。便利屋の評判落とすのは

 難しいな。」

 冷と警察の様子を遠くから眺める男は不満を言い、

 その場から去って行った。






菫 「読者のみなさま、今回は私、遊園 菫があとがき

   を担当させていただきます。」

冷 「菫、勝手に進めようとしないで。

   季楽がやりたいって言いだしたよね。

   めんどい。」

季楽「めんどいってなんだよ。七年間も経験ないのは

   さすがにおかしいだろ。手伝えることになった

   にはなったけどよ。」

菫 「そうよ、しかし普段なら朝食後ぐらいに電話が

   かかってくるはずがなかったのです。

   その時に私が華麗に登場しました。」

冷 「違う…私が気づかなくて怒ってたよ。

   華麗とは程遠かったけどな。」

菫 「はぁ、そこは合わせるとこよ。というか

   冷が悪いんじゃない!はっ…失礼いたしました。

   私としたことが…季楽さんとは初対面でしたから

   お互いに自己紹介しました。」

季楽「その時に電話がかかってきて、ゆうたという少年

   から依頼が来たんだよな。

   初依頼に盛り上がってたな…だけど、ただの

   犬探しじゃなくて苦戦した。

   裏のやつらが関係してたのはさすがに予想外

   だったぜ。」

冷 「…そうだね。勝手に突っ走って、失敗して。

   怪我して、最終的に私が助けたね。

   ほんとにカッコ悪いよ。

   今、思い出したら、ふふ。」

季楽「笑うなよ、冷姉!恥ずいだろ。

   その後は警察官の有原さんが冷から状況聞いて

   無事解決って感じだな。」

冷 「誰…その人?話したっけ?警察官に確かに説明

   したけどさ。」

菫 「あ…相変わらず人に関心がないのね。

   その有原さんもお気の毒だわ。

   季楽さんはゆうたくんに子犬を無事に返した

   のよね。」

季楽「おぅ、すっげー達成感あった。

   怪我はいてぇけど。冷姉どうした?

   さっきから後ろ気にして…。」

冷 「なんか見られてる気がする…気のせいか。」

菫 「気のせいよ、怖すぎるわ。

   そろそろ最後の言葉よ。せーの。」

全員「読んでいただきありがとうございました。」

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