市民プールの帰り道
私の子供が小学四年生の頃だったかな。私に話してくれた話がすごく印象に残ってて書いてみようと思います。
私の子供が友達二人と夏休みの真ん中に、市民プールに水泳バッグを浮き輪を持って目いっぱい泳いだ帰りのお話。
うちの子と近所の子たちで歩いて行ったんだけど、家から市民プールまで距離が少し遠いんです。
行き道は途中のコンビニで買ったアイスを食べながらワイワイガヤガヤしゃべりながらあっという間に着いたけれど、帰り道は日に焼かれて火照った体で泳ぎ疲れて、けだるげにダラダラ帰っていたみたいです。
無言で歩くのに飽きたのか、一人だけスマホを持っているA君が面白いことをやってみようと言い出しました。
「スマホアプリのカメラのフィルターで幽霊がいると思われる場所にカメラを向けたらAIがアニメにしてくれるのがあるらしいよ。」
子供はスマホを持っていなかったからなんのことだかいまいちわからなかったらしいのですが、Aくんがじゃあ試しに幽霊が出そうな茶色い廃ビルに行こうと言いました。
その廃ビルは大きな道沿いにある四階建ての茶色いビルで、住人や管理する人がいないようで敷地の雑草が一メートルを超えるくらい草生していて建物の入り口が侵入できないように木の板で封じられており、窓から見えるカーテンがボロボロな様子が外から見て取れ、人がいなくなってかなりの時間が経っていたようです。
廃ビルに着いて、Aくんが敷地の外側から建物に向けてスマホのカメラを向けました。みんなで頭を寄せて画面を見てみると最初に、廃ビルの実写が写り、しばらく読み込んでアニメ風の背景と木の板で打ち付けられた入り口付近に赤い傘を持ったアニメ風の女の子が写りました。黄色いカッパを着てこちらを笑顔でみているアニメキャラでした。
こんな雲一つないカンカン照りの日に雨も降ってないのに傘をさす女の子…異様な写真に子供たちはゆっくり後ずさって、その後みんなでダッシュで離れたみたいです。
その建物からかなり離れて落ち着いたのか、もうすぐ家に着く安心感からか、子供たちが強がって、
「こんなの適当に壁のシミとか風景の一部とかを顔っぽく読み取ってるだけじゃないの?幽霊なんているわけないや。」って誰とは無く言い出しました。
確かめてみようとAくんがカメラを二人に向けると、うちの子とB君の間、肩越しに赤い傘を差した黄色いカッパの女の子が立っているアニメが表示されたみたいなんです。
うちの子はゾクっとしてB君を引っ張ってその場を離れて、Aくんにすぐ消してとお願いしたそうです。ヤバい霊が一緒に憑いてきたと思ったそうで、三人でとにかく早足で家に帰ったと子供から聞かされました。
それから霊をみたせいで1人が帰って来なくなったとか、怪我をしたということもなく次の日も三人仲良く公園で遊んだみたいです。親としては何事もなく済んで良かったと思いました。
この現象がケータイやアプリのただのバグだと良いのですが…