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お泊まり会

翌日は早くから芽依ちゃんが登校していた。すっかりみんなと溶け込んでいる。

「ボクは青い猫型ロボットが大好物などらやき!あれの生地のふわふわ具合とあんこがベストマッチ!」

「きみ、ずんだもちをしらないのかね!緑の和を全面に押し出したおもちは抹茶と合うのさ!」

皆と色々話しているうち、どの和菓子が世界でイチバン美味しいのかという話になった。

「こうなったら!」

「学校帰りに買うぞ!7人分!」

「どこで食べよう?」

「由紀の部屋広いしどう?」

「おお由紀ちゃんさんのお部屋行けるんですか!」

ひぇ!私が巻き込まれてる!!!

「オーケー由紀の部屋だな!」

「お姉ちゃん」

うぉぉ!なんか勝手に決まりつつある!


寧々に私がほしい和菓子を伝えて先にお部屋に戻ることにした。7人もくるなら、準備しないと。

ついでに、日本茶も買ってきてと頼んだ。抹茶が合うと思うので、美味しそうなの選んでもらうよう伝えた。


みんなと分かれて先にお部屋に帰ってきた。

まずはキッチンでお湯を沸かし始めた。

すぐ居間へ移動して窓のレースのカーテンを脇にまとめ結んだ。窓を上の方へ大きくスライドさせ、空気の入れ替えをした。夏で暑いけれど、空気が入ると気持ちいいし、外のお花畑の香りがした。花の匂いと土の匂いだ。今日もいい天気だわ!

私はこの自分のお部屋が好き。お外行かなくてもずーっと引きこもってられる自信がある!

部屋を見ると、日差しで明るいところが眩しかったし暖かくて(暑くて?)気持ちよかった。鼻から息をめいっぱい吸い込むと生きてる実感がした!

私はエアコンなくても平気な方だし、6人のなかに暑がりは居ないので窓開けてるだけで十分だろう。

そしてみんなとワイワイできるようお部屋の真ん中を広く開けて、まぁるくて白い麻の敷物を広げた。その上に足の低いこれまた白いテーブルを用意した。クッションを人数分置いて…と。


一生懸命働いていたら、汗かいてることに気がついた。拭き取りたいと思ったところに、ピンポン~とチャイムが鳴った。

「おかえり~」といって玄関を開けると、寧々を先頭にみんながいた。

「おじゃまするぜ~」

「美味しそうなの買ってきたよ!楽しみにしてな!」

みんながワイワイ言いながら入ってきた!

「抹茶、これどお?」と寧々からパックを受け取った。丁度いい。

「ナイス~」私はお茶を用意しにキッチンへ行った。

寧々もついてきて、大型のお皿を取り出し皆のところへ。

「女の子ちっくなかわいいお部屋ですな~!わたしの世界と全然ちがいます!」

ありがとう~と言いながら氷いっぱいのガラスのコップをテーブルに用意した。お茶を注ぐ。


足を放り出して座っているのはサヨ。リッカは女の子ずわり。瑠夏はあぐらをかいて凛ちゃんは瑠夏の上で体育座りしていた。瑠夏に脇腹をナデナデされている。

芽依ちゃんはクッションの横で正座をしていたので、クッションを使ってといって差し出した。

「このお部屋は本当に明るいね!夏に来ても冬に来てもこんな感じなんだ。雨も降らないんだぜ」

「いいでしょ~」


寧々はテーブルにお皿を置いて、買ってきた和菓子を広げた。

「みんな一種類づつたのんだから、大量にあるよ!うまそうだろ」リッカが言った。襟元のリボンを取って襟を開けていた。

「こんなに食べたら、これが夕飯になりそうだ!」

「VRゴーグルなんですが食べれるでしょうか…?」

みんなが笑った。

瑠夏がおもむろに芽依ちゃんの後ろに回って、そして背中に両手を当てた。

「ためしに一口食べてごらん」

「そうですかぁ~」

芽依ちゃんがどれにしようか迷っていると。

凛が手元の白くて丸いもの…(赤いのが見えるし柔らかそうなので多分イチゴ大福)を手でちょこんとちぎって芽依ちゃんの口の中へポンと入れた。

芽依ちゃんはモグモグとしたが「あ」と言ってうるるんとした目を大きく見開いて凛と目を合わせた。

「食感ありますし、美味しいです!」

「VRすげー」一同が感心した。

「芽依はもうボクたちと同じだ。なにも変わらない!」きゃは~っっと歓喜を上げながらサヨがとびついて凛ごと芽依ちゃんを押し倒した。

きゃっきゃと言いながら寧々もそこへ飛び込んだ!

「お姉ちゃん!」寧々が私を誘ってきた。飛び込んできてというのだ。

「私、ちょっと汗かいているから…今は…」許してもらおうとしたその途端!ニヤついたサヨが私を皆の方へ押し倒した。

ぱしゃり!その様子を瑠夏が写真にとっていた。

「ユキ臭うぞ!」私は脇腹をみんなにくすぐられた。

「アハハ!やめてよもお~~!」

いたずら者ばかりだ…

幸せだ。こういうのが幸せなんだ。

寧々が優佳先生も呼ばない?と提案。ハッとした。先生は、先生ではあるが同時にお姉さんでありさらにお母さんでもある。その提案にみんな同じ気持ちだった。賛成した。


しばらく後「おお~楽しそうね!」

優佳先生もお菓子を持ってやって来た。みんなでお菓子を囲んで写真をぱちり!私も瑠夏からカメラを渡してもらって構えた。「ピースして~」もう一度ぱちり!みんなピースサインが撮れた!

「ゆかちゃん趣旨わかってる?和菓子の食べ比べ!」リッカが言う。

「お菓子っていうから、ケーキ買ってきちゃった。ダークチェリーのシロップ漬けのチョコケーキ。ブランデーがふわっと香って美味しいのよ!」

「あ、ケーキ優勝!」とサヨ。

「さすがオトナは資金力がちがうねぇ!」と瑠夏。

「ちんぷんかんぷんですが!食べてみたいです!」と芽依。

凛と寧々で全員の分をお皿に取り分け配っていた。

「いっただっきまぁ~す!」

「やわらか~い!」

「ほっぺが落ちる!」

「鼻からいい香りがもれる!」

「あ、ホントだ~いい香りするわ!」と鼻の近くで寧々がクンクンを息を嗅いだ!

「ちょっともぉー!」


普段は私と寧々だけのこの部屋はずっと昼間の設定にしている。

でもそれだと今日のように皆が集まるときは困るので、普通に朝昼晩と時間を反映する設定にしていた。そのためもう日が傾いておりオレンジ色の印象的な西日がお花畑の遠く地平線に沈みかけていた。

窓から向こうをみんなで眺めている。空がダイナミックに暗くなっていく。そうするとお星さまが出てきた。

そんなお星さまが綺麗だったので、皆で外に出た。暑さも収まっていて、裸足で草の上を歩くとくすぐったかった。

外で寝るつもりでクッションを持ってきた。私がクッションを持ってくると、あ、それいいねーと皆一様にクッションを持ってきた。


お星さまの下寝っ転がるともう空は暗かった。ただ暗いだけじゃなく深みがそれぞれ違う。この辺は深く吸い込まれそうな黒でこっちはそれほどでもないぞ、という具合に。そんな宇宙をバックにあまたのお星さまが輝いていた。いまにも降ってきそう…いや逆かな。私が空へ落ちそう。なんだか怖いくらい。

私の周りにみんな集まってきていっしょになって寝っ転がった。私の上に覆いかぶさるように寧々が抱きついてきた。その背中をなでなでする。

寝っ転がりながら、芽依ちゃんの手をとった。

「私たち芽依ちゃんがいないとこうして暮らせないんだよね。実はなにか罪悪感のようなものを感じていてさ。なんていうか…芽依ちゃんを働かせて私たちは暮らしている。今も芽依ちゃんには悪いなと感じているの」

芽依はびっくりした顔をした。

「う~、その…自分の職場ではネットワークの住人と顔を合わせるなって言われていて、それはどうしてかというと、住む世界が違う、考え方が違う、いろいろ違うから会うと良いことはないし、問題ばかり起こる。だからネットワークの住人とあまり顔を会わせないよう言われてるんです」

「ああ、なるほど、それでいままで部屋でお世話してくれるフィジカル世界の人に会わなかったのか」瑠夏が言う。「不思議に思っていたんだ」へ~瑠夏でも不思議に思う事ってあるんだとちょっと意外に感じた。

「それにしてもフィジカル世界の人々がそんなふうに思っていることはショックだな。私たちはフィジカル世界の人々に感謝こそするけれど、フィジカル世界の人々は違う感情を持っているんだ…」私は思ったことを言った。言った途端落ち込んだ。

「自分の存在も隠して置いたほうが良かったのかもしれませんね。でも今日招いて頂いて沢山お話することで自分の心はみなさんと同じなんだと思いました。なので自分の心もいま複雑です…」

優佳ちゃん先生が立ち上がりこういった。

「私のかわいい生徒たちいや娘たち。フィジカル世界の一部の人のそれも個人の感想が全体の意思と捉えるのは軽率だと思わない?私達と仲良くしてくれる芽依ちゃんを見れば、そうでないことはわかると思うのだけれど?」優佳ちゃん先生は皆に問いかけた。

「そういう人も一部には居るかもね、くらいにとらえてお居た方が健康的だとおもうの」全員がハッとした。

「フィジカル世界の人々からの手助けは必要よ。でも私達に夢を託してネットワークに送り出したのもまた彼ら。フィジカル世界の彼らとネットワーク世界の私たち、どちらもお互いに必要だわ。喧嘩する理由は見当たらない。仲良くするのが道理だし、支え会えるところは支えないと!」おおーと声が上がる。気持ちが軽くなった。さすが先生。イチバンのお姉さんでありお母さんだ。

「歴史の授業でも同じような話をしたでしょ?今のお話は過去の人類同士の対立と似ているように感じたわ。私たちはもっとカシコク生きましょ!」優佳ちゃん先生はウインクしてみせた。

凛が手を上げた。ハイ凛さんと優佳ちゃんは指名した。

「思うのだけれど、フィジカル世界の私たちのお部屋、せめてそこだけでも私達で面倒見れないかな?そうしたらその分の時間を節約できるから、芽依ちゃんちょっぴり長くここにいられると思うんだけれど」

凛すごいぞ!なんて前向きなんだ!

「いいアイディアと思う。私達の部屋だけじゃなくて、芽依担当のお部屋くらい私達でできるんじゃないか?」瑠夏が続いた。

「イイネ。3日に一回向こうへ行って15分位掃除して戻ってくるくらいなら、できる範囲だとおもうよ」サヨが言った。

「わたしたちで手分けすれば手早くできると思う」リッカ。

みんなスゴイ!やる気がはんぱない!

「い、いや、お気持ちは嬉しいんですけれど…」芽依が口を挟んだ。「一応それは自分のお仕事なので…みなさんがお仕事されると。自分は失業しちゃいます…」えへへと苦笑い。

「そんなこと無いよ。みんな芽依の仕事のお手伝いしたいの。みんな芽依ちゃんと沢山、長時間、一緒にいたいんだ」ブイサインを出しながらリッカが言った。

「そう、芽依ちゃん含む7人で同じ時間で同じように働いたとして。3日に一回なら、フィジカル時間で約7、8時間に一回働く感じになるし、出来ないわけじゃないわ。3日に一回早起きしてボランティアする感覚でできると思う。芽依ちゃんのお仕事は奪ったりしないよ」と私が言った。

「そうですかぁ?わたしの担当エリアは6部屋ですので、、、その働き方ならどうにかなるかもしれませんが…」


早速全員フィジカル世界に降りていた。全員って珍しい!

「も~このうっすーいシャツというか下着のようなので風邪ひかないものね」サヨが言う。

「外部のセンサーで私達をチェックしてるから、うっすーいのはしょうがない」とリッカ。

「お姉さまたちセクシーですよ」凛が言う。

「みなさん揃いましたね~」芽依が言う。

「ここのお仕事は、おもに3つありま~す。健康状態のチェック、お掃除、あと、このお部屋にはないですが栄養パックを補給していればその交換&補充。そのやり方をこれからお教えいたしまーす!」

「カンタンだぜ」リッカが言う。

「…こんな感じで作業します…では隣のお部屋で各自お願いします!」


私達、多分全員この部屋から出たことがない。扉を初めて開けた。恐る恐る部屋を出る。緑がかった間接照明で廊下もずっと向こうまで薄暗い。ツルッとした壁だ。芽依ちゃんに認証してもらい、各自それぞれの部屋に入った。

こっちの世界で他人に初めて会う。寧々は私の背中にしがみついた。

この部屋はカップルの部屋なのか成人男女がそれぞれのベッドに横たわっていた。私達と同じネットスーツを着用している。

もし、私達でなく全然他人の作業員が私と寧々が抱き合って横たわってるとこに遭遇したらギョッとするんだろうなと思った。

まっさきに目が行ったところは栄養パックだった。高い位置に設置した栄養パックからチューブが伸びその先が腕へ伸びていた。腕の血管から注入しているのだ。これは私たちはやっていないので初めてこういうものを見た。

これがあるとわざわざフィジカル世界に降りてくる回数がぐんと減るのだ。

女の人は色白で痩せてるように見えた。胸が僅かに上下しているので生きているのだと思った。そういえば鏡をみた自分も痩せていて色が白いかも。いや、私だけじゃなくみんなそうかも。

「これを交換するのね」交換はパック部分のみなので注射の部分は触らない。カンタンに交換できた。

あとは健康モニタの確認して、お掃除した。


しばらくしてみんな戻ってきた。

「雑巾で掃除するなんてな。ネットワーク世界にはホコリとか汚れるとか無いし。これも違いだわ」

「勝手がちがいますね。メニュー画面からお掃除を選択、というわけじゃありませんし戸惑いました」

「きっとあの横たわってる人達、ネットワークの住人が来てお世話してるなんて知ったら驚くだろうね!」

皆一様に感想を言い合った。

「スゴイ速さで終わりました~助かりました!ありがとうございます!」芽依はペコリと頭をさげた。

「そろそろもどろうぜ」サヨが言った。



みんなでネットワーク世界に戻ってもまだ夜だった。朝までまだ時間があった。みんなはもうおネムって感じだったので、お外で身を寄せ合って寝た。

私はなかなか眠れず、お風呂に入ろうとして一人起き上がった。寝相が悪いの寝相を直して、ブランケットを整えた。


うちのお風呂はワイルドに家の外に設置していた。ジャグジーというかそんな高級なものじゃなくて手掘りのような土を掘ったところにお湯が沸いている感じだった。

服をお風呂の脇の脱衣かごに脱いでから、タオルで髪を覆った。そして足から静かにお風呂に入る。湯けむりがぶわ~っと舞い上がる。お風呂の中にしゃがむ。温かい…!はぁ~生き返る~身体があたたまる…

この時間が好きだ。息が口から出ていくたびに身体から色々抜けていく感じがする。これが私流のデトックスだ。ちょっと寝そべって肩まで浸かると暖かさがきもちいい!なお、風邪ぎみのとき肩までゆっくり浸かると一発で治るので試してみて!

「入っていいか?」

そこに、リッカと凛がやって来た。

「あ、うん。おいで~。お洋服はそこのかごへ」

「誰が洗うの?」

「洗濯機だから気にしないでいいよ」


「うわぁ~ワイルドな温泉だねえ!」

「いや沸かしたお湯を入れてるだけよ」

「ゆきねぇはかなーりお風呂すきだよねぇ!」

「そりゃ~何時間でも入ってられるわ!」

凛もタオルで髪を覆った。リッカは髪が短いのでそのままドボン!

「きゃ~ゆっくりはいりなよ~」


「気持ちイイなこれは!」リッカは私の方を見て言った。むむ…と唸ってから、「由紀も結構発育良いな~」と付け足した。

「わたし、発育おそいのかな…それともこのままなのかな…」リッカは自分の身体を見てそう言った。あらら。いつものリッカらしくない。

そこに凛も入ってきた。

「お凛はきれいなお椀型だなぁ。実はわたしが発育おそいのかなぁ」リッカはしょんぼり自分のものをひっぱたり押したりし始めた。

「リッカねぇおっぱい大きくなりたいの?」

「凛は色素が薄いね」凛はまだ発育しきっていない感じの体つきだ。わたしは下の毛を指でくるくるした、下の毛は色が薄く毛量も少なかった。

「くすぐったい!」

「将来は色白美人になりそうだ!」


「ねねユキ、ちょっとわたしのいじってみて」おねだりされた。しょうがないなぁリッカの後ろから近づいた。私は腿でリッカの腰を固定した。

ふと見ると背中のラインがふっくらしていてきれいに感じた。リッカだっていい背中持ってるじゃない。ちょと筋肉を押してみたくなり後ろ髪の生え際から首、そして肩にかけたラインを親指でなぞった。柔らかい。

「そこ、うはっきもち~!」

「ところで、リッカ姉ぇ、昨日サヨ姉ぇとスゴイ試合してたでしょ。わたし配信見たよ!」と凛が身を乗り出してきた。

「あ、あれか!配信してる人いたんだ!」あ、立ち直った。と思った。リッカは切り替え速いなあ。

「盛り上がってたよ。あの中に人気の配信者がいたのよ。最初けっこうヘイトコメも多かったけれど、ソロなのにデュオで戦うなんてフェアじゃないって。でも配信者が負けてからそのあとはリッカ姉ぇの姿ずーっと映してたよ。それで、応援コメ増えてった!武器がほぼないのにあの立ち回りはスゴイスゴイって」

「うひぃ~必死で戦ってたけれどかなりひどい戦いだったのに!うれしいなぁ」

「私も今度戦場へつれてってよ」と私。今すごく人気じゃない。

「お、トリオでやるかい?練習しなくっちゃなぁ!これは楽しみだ!JK三人衆だぜ」

「凛、興味ある?」

「り、凛は無理!、見るのが専門!」


そんな話をしながら右手でリッカの左肘を上に持ち上げてクッと軽く力を入れて脇を伸ばしてみた。左手で乳房を優しくマッサージしてみた。これはえっちな意味はなくあくまでリラックスさせるマッサージなのだ。心臓の鼓動が手のひらに伝わる。

「はぁ~!イイ…」こうなるとおてんばリッカも恍惚とした表情を見せる。反対側も同じように伸ばす。左側の乳房もマッサージした。こうすると筋肉が緩んでふにゃふにゃになるのを経験的に知っている。お湯をすくっては肩に掛け温めた。彼女はもう前後不覚モードだった。

挿絵(By みてみん)


ふにゃふにゃになったリッカを浴槽のヘリへ仰向けに浮かべてから凛の方へ移った。正面から近づく。腿を腰に回して顔を近づけてみる。息が触れ合った。胸と胸がくっついた。ユキが顔を赤らめたが、私をじっと見た。

「ユキ姉ぇそんなに近づいたら凛、寧々ちゃんに刺されちゃいます…」なんて物騒な。

いいからいいからと言いながらおもむろに膝立ちし頭頂部に親指を当てた。「ユキ姉ぇがセクシー過ぎて目を開けられません」と凛。私の胸が眼の前で揺れているんだろうな~と思いつつ凛の頭を上の方からぎゅっぎゅっと指圧してみる。続けてグリグリ回すよう押してみる。あっ…と吐息をこぼしたのを聞いた。私は膝立ちを止めてお湯に浸かる。今度は頬骨の当たりを骨に沿って押した。顔も色んな場所を押すとこれまたリラックスモードに入れる。温かいお湯を顔に優しく掛けてみた。凛もふらふらになってしまった。

凛もお風呂のヘリに浮かべた。これ、ヘリに頭を掛けて身体を浮かべるのって超気持ちいいんだよね…


気がつくと、二人を天国に送ってしまっていた。最高に気持ちいいという意味での天国。

「また一瞬で二人も屠ってしまった」たとえ戦場に遊びに連れて行ってもらったとしても、この屠り去る能力は多分何の役にも立たないだろう。


そして上を仰ぎ見ると湯気の中でキラキラと瞬くお星さまを見た。フィジカル世界は無機質だけど、ここの星空は表情豊かだった。ああ、夜空も癒されるものなのね、と思った。


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