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プロローグ

足取りは重く、出血がひどかった。どこへ向かうともなく彷徨った。もう何時間も。

身体が冷たくなっているのが分かった。そろそろ終わりなのが分かると逆に冷静になる。

周りが暗いせいか、自分の精神がもうおかしいのか、周囲の景色はもうわからなくなっていた。


首を閉められた時のあの締める手の感覚を思い出した。ゾッとした。

無理やり服を破られ、乱暴されたのを思い出し、悔しくて涙が出た。


歩いたところに血を点々とこぼれた。それが自身の足跡の形をつくっていた。


どこに出たのか、沢山の日本人形のある廊下を歩いた。そのうちの一体が自分に似てる気がして抱きかかえた。ほかの人形は和服を来ているのに、この子だけ今の自分と同じ姿、薄いワンピースの下着ような格好だった。

髪の長さも自分そっくりだった。


その人形を血で染まった手で抱きかかえると、廊下の先へ出、大きな木の下で座り込み休憩を取る。

その木は葉も花もなく寂しく感じたし、なんだか怖かった。その感じ、今の自分と同じだと思った。


実際に桜を見るのは初めてだったが、満開の桜は知っていた。この花が咲いていたらさぞかし綺麗だろうと思う。


木の下でお腹の子はどんな子だろうと思い描いてみた。おかっぱの女の子だろうか、それともわんぱくな男の子だろうか。

お腹を撫でるも、いたぶられた箇所から血があふれるだけだった。お腹からはもう反応はなかった。


もう立ち上がる力も残っていなかった。


お父さんになるはずの人は多分自分を探しているんじゃないかと思った。


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