Ghosts of the Children ― The letter
前作をお読みいただいた方はお久しぶりです。今作初めてお会いした方は初めまして。
このお話はMarie Sue故郷返却チャートの後の時間軸となります。
また、前作をお読みいただかなくても理解できるような話を目指していますが、説明不足になる点があるかもしれません。登場人物はいくらか重複しております。また、分からないことがある度に前作や今作の初めから読み直してくださると嬉しいですね!(某重箱RTA動画風味)
というわけで、『月』シリーズと名付けた世界線のお話をどうぞよろしくお願いします。
僕は子供代表のハル。当時この研究所でまだ生きている子供の3人目、年齢的には最年長の子供だった。
だった、っていうのはね、本物の僕はあくまでも死んでいるからなんだ。君が今見ているのは、僕のギフト、【映像】で描かれた幻の僕。死人が喋る姿がどんなものか、ちょっと想像つかないけれど…変な話だよね。
話がそれたね。…柄にもなく、緊張してるんだ。
さて――――僕、僕らの願いは、生きている子供たちを地上へ出してほしいってこと。可能なら、以前通りの生活をさせてほしいけれど、きっとそれは難しい。せめて『持つ子供』も『持たない子供』も平等に守ってやってほしい。
死んだ子供の僕たちにはできないけれど、生きてる大人のお前たちなら出来るんだろう?
ああ、失礼した。つい。
………壊れてしまった僕たちを、元通りとはいかなくとも、パーツをかき集めて姿かたちを保てる程度には、僕たちを愛してくれる人たちがいたらいいんだけど、流石にそこまでは『彼』にも見えなかったみたいだから…外の大人たちが、本当に良い人たちであることを願ってる。
死んだ子供の僕は、この世界を許さない。
でも、生きてる子供たちは、この世界を許せる日が来ると思う。守りたいと力を尽くす日が来ると思う。まだ見ぬ未来を願う日が来ると思う。
この世界に生まれたことを、喜ぶ日が来ると思う。
だから、そう思えるように――――どうか僕らを助けて。