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183-事務所の裏に来て貰おうか

 福岡01ダンジョンの攻略を再開して二週間後。

 宇佐の下層攻略に乗り出したパーティーは10ぐらいあって、およそ70人分の防寒着がやっと届いた。


「考えようによっては、二週間で70人分の装備が整ったんだから早い方だと考えるべきなのか」

『あっしのは?』

「虎鉄のはー……あぁ、このお子様サイズのだろう」

『にゃ~』


 サイズは男性用M、L、LL。女性用はMとLが用意されている。

 それとやたら小さい子供サイズだ。どう見ても虎鉄用間違いなし。


 透明な袋に入ったそれを受け取って、虎鉄は目を細めて喜んだ。

 こいつは人間と同じように扱われるのを好む。そのくせミケの前では、ただの子猫だ。


「それにしてもこの防寒着。サイズが複数用意されとるけど、Mだけ足りないとかなったりせんと?」

「んー、余分……にあるような感じじゃないもんなぁ」


 宇佐の支援協会に用意された防寒着はレンタルだ。

 ここを攻略し終わったら返すが、他のダンジョンで同じように気温が変化する階層が見つかれば、そこで使うかも──と職員は言っている。


「あ、サイズはですね。冒険家登録の時に身体測定しているますでしょ? それをもとに用意しているんです。誰が下層攻略に参加しているかは、協会に申請して貰っているから分かりますし」


 と、眼鏡の協会職員男性が言った。


 え


 じゃあなに。


 この男


 セリスのスリーサイズ知ってるってことか!?


 おお、俺だって知らないんだぞ!


 そんな目で見たら、眼鏡がニヤりと笑った。

 こいつ……後でプレハブの後ろに呼び出してやろうか……。


「あ、最下層攻略はもう少しお待ちください。明日、大戸島会長と中国地方の会長の伊集院会長がいらっしゃいますので」

「中国地方の会長が?」

「えぇ。裏ボス討伐後の報酬についてです」


 ん?

 宇佐は規模の小さいダンジョンだから、完全開放でモンスターパレードを起こす予定だったんじゃ?

 パレードでどのぐらいのモンスターが実際に出てくるのか、その検証も兼ねて。


「あぁ……実は一部からダンジョンを残すべきではという話も上がっているんですよ」

「え? ダンジョン人がいない所もなのか?」

「はい。わざわざ危険なモンパレなんか起こさなくてもいいんじゃないかって」


 それは……そう、かもしれないけど。

 でもなんか個人的にはもやもやする。

 俺は……家族を奪ったダンジョンが憎い。


 福岡02は、俺やセリス、大戸島さんのこともあって、ダンジョン人解放だけになったけれども。

 できれば世界からダンジョンなんて消えてなくなって欲しい。


「まぁとにかく、明日の会議の場でいろいろ決める必要がありますから。たとえばどのパーティーが裏面に行くか──とか」

「あぁ、それはあるか」

「できるだけ最大人数で行きたいですからね。12人の最大人数になるよう、2パーティーを合体させたいんですよ」


 合体か。まぁ俺たちは芳樹チームと合流すればいい。


「じゃあまた木下さんたちと一緒ばい」

「甲斐斗さんは……大丈夫?」

「ん? 芳樹たちと組むことがか?」


 あぁ、甲斐斗はあっちのパーティーを抜けてきたもんなぁ。

 木下が攻撃魔法をゲットしてしまったし、自分の居場所がなくなったと思ったんだろう。

 気を使ってのことだろうけど、芳樹たち的には「自分たちが甲斐斗を追い出した」という引け目もあるかもしれ──


「おーい、浅蔵、甲斐斗。元気かー?」

「ねぇねぇ、最下層攻略一緒にやろうよぉ」


 芳樹と翔太に限って、そんなことはまったくなかった。

 甲斐斗は?


「いいが、木下のスキルはちゃんと上げてやったんだろうな。実はまだレベル3ですなんて言ったら、ハグするぞ」


 そう言って甲斐斗が両手を放電させる。


 うん。

 心配するだけ無駄だな。


「か、甲斐斗先輩。おかげでレベル5になりました」

「低い!」

「えぇ!? い、今レベル3ならバリバリだって──」


 また賑やかパーティーになりそうだ。


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