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180/207

180-コピー〇者

「きゃあぁぁっ」

「か、佳奈さんっ。ぐうぅっ」

「あ、頭が割れるように痛いっ」

『あにゃにゃにゃにゃあっ』

『キチチチチチチチチチチチッ』


 俺たちを──いや、俺以外のメンバーを苦しめているのは、25階層のボスだ。

 コウモリの姿をしたそいつは、超音波ならぬ怪音波で攻撃してくる。

 とにかく耳障りで、頭が痛くなる音だ。


 そう思っていたのも最初の内だけ。


 音に慣れて(・・・)しまった俺は、ちょっと耳がキンキンする程度になっていた。

 それは分身たちも同じこと。


『あぁーっ、うるさい!』

『キンキンするだろうっ』


 ひとまず全員をコウモリから遠ざけて、それから戦闘開始だ!

 とはいえ、相手は25階層のボス。

 対する俺たちのレベルは55だ。


 怪音波で行動不能にさせて、その間に獲物を捕食──ってことなんだろうけど。

 順応力で音にも慣れてしまえば、なんてことはない。


 ものの数分でコウモリを倒してしまうと、


【大分02ダンジョン25階層ボスモンスターを討伐したよ】

【討伐完了ボーナスとして『コピー』スキルを獲得したよ】


 というアナウンスが頭の中で流れた。


 ……今度はなんのコピーだよ!






「スキルの……コピー?」

『うにゃ。他者がスキルを発動中、それを目視して「コピー」と唱えることで、そのスキルを完全コピーすることが可能。にゃ』

「凄いスキルですよ浅蔵さんっ」

「そうだな。使いどころの難しいビーム兵器より、そっちのほうが火力として安全性も高いだろう」


 ビームのことは言わないで。

 あのスキル。パーティーを組んでる限り使えないんじゃないかとすら思える。


 しかしスキルのコピーか。

 ますます忍者っぽくなってきたな。


 さっそく効果のほどを試すべく、甲斐斗に『サンダー』を使って貰った。


「"サンダー"」


 単体攻撃のこのスキルを、甲斐斗は左右の手で同時に二つ発動させる。

 つまり二回攻撃みたいなものだ。

 パチパチと鳴る電気の塊みたいなそれを見つめ──


「"コピー"」


 すると俺の両手にも、甲斐斗と同じ電気の塊が出現した。


「おお! す、すげ──なんだこの数字?」


 と言った瞬間、雷が消えた。

 だけど甲斐斗の雷はそのままだ。何故俺のだけ?


「浅蔵は魔力が低かったな?」

「あぁ。甲斐斗はどうなんだ?」

「俺の魔力はB+だ」


 うわっ。たっけーなやっぱり。


「魔力が低いと、持続力がないと?」

「そうだと思う」

「いや……たぶん違う」


 甲斐斗のスキルをコピーした時、視界にタイマーみたいな数字が浮かんでいた。

 一瞬だったが、『00:01』ぐらいだったかな?

 いや、気づいたのがそのタイミングだから、もうちょっと長いはずだ。

 で、『00:00』になったら雷は消えた。


「これ、時間制限付きだ。しかもめちゃくちゃ短い」

「短い? どのくらいだ」

「分からない。もう一回使ってみる。"コピー"」


 ……何も起きない。


『一回ぽっきりかにゃ?』

「うえ、マジかよ……甲斐斗ぉ」

「……"サンダー"」

「"コピー"」


 出来た。

 どうやら消耗品みたいなものだな。

 

 うぅん、制限が厳しいなぁ。

 その後もいくつか検証をして分かったのは。


「制限時間は3秒。誰かがスキルを使っている最中にそれを見て『コピー』しなきゃならない。コピーの瞬間から発動。そして一度切り……かぁ」

「浅蔵、前言撤回だ。使い勝手が悪い」

「くそぉーっ! もっとシンプルで安全な攻撃スキルはないのかよっ!!」

 

 

出したった。

ついに出したった。

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