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ケース2。
親友の幸せのために、想いを秘めたままにする。
もちろん最初はこれしかないと思い、身を引く自分に浸ってしまえれば楽である。
しかし感情とは実に厄介なものであり、浸ろうと心の中にお湯を張っても、まるで高性能な洗濯機の脱水の如く勢いでお湯は流れてしまう。
悩み屋さんと出会った時の私は、さしずめ干す前の洗濯物のように生乾きだったのだろう。
悩み屋さんに話してからは、少し考え方に視野が広がったように思える。
何故ならばナツキの幸せを…とか言っているが、ナツキの気持ちが微塵も入っていないのである。
ナツキがジュンペイを好きなのかもわからない。もちろん怖くて確認など出来ない。
と、いうことはケース2の場合、ジュンペイの幸せのために想いを秘める…ということ?
いやいや、ジュンペイの幸せなど他人に譲れるほど私の想いは浅くない。
つまり?このケース2はただの逃げだ。
幸せ云々という言い訳をしているだけの逃げ。
逃げるのも楽ではないのだ。
自分の想いがライオンのように襲ってくる。逃げ切ることほど辛いものはない。