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「ノリカちゃん、無理はしないでね。
涙を流すほど悩んでるんだ。
一度どうしたいか、自分で考えてみなさい。
話したくなったら、いつでもおいで。
僕はただ待ってるだけだから。
さぁ、時間も遅くなってきたし、高校生はもう帰りなさい。
お代は次回にお渡しするよ。」
悩み屋さんは言葉が出ない私に、言葉をかける。
今ここで話し続けるより、時間を置いて話した方がいい。
悩み屋さんはそう言ってくれてる。
でも、変な人。
私はまた来るとも言ってないし、お代なんかもらえる話ではないのに。
ネタになる?全然。
当事者以外にはよくある話集の一つにしかならない話。
でも、私はおそらく、またこのおじさんに会って話をしたくなるだろう。
話したくなったら、また来て話を聞いてもらおう。
私はそう考え、悩み屋さんに会釈して帰宅することにする。
普段歩まない道を勘違いでも歩んでしまうと、知らない世界が広がってるんだな、と感傷に浸る私。
これ以上気持ち悪いものはないけれども、先ほどまでつっかえていた嫌なモヤモヤは、ほんの少しその重さを失ったように思えた。