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とりあえず旅に出よう  作者: ゆたか
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器用貧乏って、そうでもないよ

だいぶ道は広くなだらかになってきている。都が近い証拠だ。都が近いと思うと安堵と興奮が沸いてくる。辺りの丘の草も綺麗に刈られ見渡しがいい。だが何か変だ。辺りの木々は綺麗に刈られている・・・?というよりどちらかというと 奇抜 である。


「やっぱ都は違うねー。アーティスティックっていうのかな。そういうのビンビン感じちゃうねー。」周りの奇抜な木々にマシィは触発されているようだ。「そうなのか~?俺には失敗したようにしか見えんがな・・・。」芸術はさっぱりという感じにレオナルドは返す。すると上の方から何か勢いよく転がってきている。「落石か!?」その場から非難しようとすると「待ってれおたん!あれ人だよ!」え!?勢い良すぎて何なのかレオナルドには分からなかったが、人と言われたら助ける他ない。”俺はこれを受け止めてみせる!”これまでの鍛錬の成果をこの一点に集結すべく気合を入れて構えた。 が、しかし寸前でカーブがかかりレオナルドの横から滑り込む形になってしまった。「わ”ぁ!」「ぐはっ!!」レオナルドは一緒にだいぶ転がったあとようやく止まった。


「あいたたたー」転んできたその子は腰を擦りながら上体を起こした。「あ!助かりました!どうもありがとう!」桃色のロングヘアーの頭を擦りながら恥ずかしそうに女の子はお礼を言った。「どういたしまして。大丈夫そうでよかったー。」駆け足で近寄るマシィが言う。「いや、大丈夫じゃないし。」女の子の座る下でモゴモゴ動きながらレオナルドが言った。レオナルドの存在に気がついて急いで退いた後ぺこぺこと頭を下げる女の子を横にマシィはレオナルドにナイスキャッチ!と親指をグッドにしている。


その子はヒナムギという名前だと教えてくれた。「それにしても、何であんな状態になったんだ?」レオナルドが訊ねた。そうするとヒナムギは腰に提げていたハサミをピストルを回すようにクルクルした。「私、美容師の練習してたの。」スチャッとポーズを決めて言った。丘に生えている木を頭にみたててカットの練習をしていたらしい。そしたら足を滑らせてごろごろっといってしまったというわけだ。その他にも特技があるとナイフと針を両指全部で挟んでポーズをきめている。どうやら髭剃りと針治療もできるらしい。「あー、そんで背中に背負ってるギターは趣味なのか?」よくぞ聞いてくれました。とばかりにレオナルドにニコリと笑顔を向けると背中のギター二人にみせネッグを持つとそれを引き抜いた。「これギターも弾けるし剣にもなるの!」またまたポーズをきめ、マシィとレオナルドは「おお!」と驚いてみせた。「で、その剣は何に使うんだ?」しばしの沈黙が流れる。「えっと・・・あの・・その・・。」口を濁らせた後に観念したかのように向き直って話し出した。


「あのね、私本当は鍛冶師になりたかったの。」ヒナムギの実家は鍛冶師で小さい頃から刃物を見る機会が多かったのだ。大きくなったら自分も鍛冶師になるつもりでいたけど、男がやるものだからと父に反対されて喧嘩になったらしく家から飛び出してきたのだ。今もっている刃物類は今までに集めたお気に入りのものらしい。

「だってパパ、全然とりあってくれないし。鍛冶師になれないんだったらこの道具を使って何か窮めたいなと思って色々練習してたの。でもどれも中途半端だよね。」パパ?ちょっとつっこみたい気持ちをよそにマシィが別のものをつっこむ。「どうして女の人はダメなの?」あっけらかんとしている。「そりゃーそういうもんなんだよ。」レオナルドが応えた。なにそれ?とぽかんとしてマシィはまたまたつっこんだ。

「私そういうのよく分からないけど、ひなたんがやりたいことやったらいいじゃん。何なら世界で初めての女鍛冶師になれるかもだよ。」ヒナムギはあっけにとられた顔をして、それから笑い出した。「うん、そうだね。でもまずは刃物のこともっと知りたいかな。私も色々探すから一緒に都まで行ってもいいかな?」さっきまでの沈んだ気持ちがどこかへいったみたいだ。

「うん、もちろんokだよ。」いつものように軽い口調で話すマシィ。その様子をみて快く受け入れるレオナルド。どうやら仲間がまた一人増えたようだ。旅はこうでなくては。


「そうと決まれば、さっそく探求しなくちゃねー」レオナルドをがっしり掴むと満面の笑みで言った。え?何か嫌な予感がする。レオナルドの顔は引きつりだした。マシィの意図を掴んだのかヒナムギは目をキラキラさせている。

「レオナルドさん、ありがとうございます!ではご好意に甘えさせていただいてさっそく鍛錬いたしますね!」そういうと両指に刃物を挟んだ。「いや、俺まだ何も言ってない!」あたふたするレオナルドをよそにマシィはいつの間にか木にレオナルドを縛りつけていた。

「んー今日はここでお泊りだね~。」そういうと流れるように晩御飯の仕度をし出す。いつものように割烹着を着てガスマスクを装着し流れるように作業しだす。なんだろう。何かが違う。いや、これも鍛錬、これも人助け。レオナルドは自問自答していた。


夕刻にはまだ早い青空に男の悲鳴が飛び交う。


レオナルド、無事に都に着けるのか・・・。




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