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ゲームの中で魔王から世界を救おうと思ったらジョブが魔王軍のスパイだった  作者: うちうち


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すごく今更になって攻略を考える

「あとは今のその装備がどこから来たのか、とか、使用方法の分からない武器をどうやって使えるようにしたのか、って部分なんだが」


 ……なんかとても真剣に話してもらったから、僕も応えないといけないと思うんだけど。もし、魔王軍のスパイでした、って言って。黙っててごめんなさい、と一生懸命謝り。そして今はこの状態を何とかしたい、と訴える。……都合よすぎ?騙してたけどそれはそうと手伝って、って話になっちゃうよね。でも今はそんなこと気にしてる場合じゃ……。


「でも、偉いわよね。そんなに他人のために必死になれるなんて」


 黙って考えてる僕の沈黙を、言いたくない、と取ったのか。ユウさんがフォローするように褒めてくれたけど、それは違う。僕はなんだかんだで、どこかおかしいこの世界が、消えないことが大事だった。だっていちおう、半分は僕の故郷みたいなものだし。だから、自分のため。


 そう口に出そうとして、僕は周りのみんなの顔を見、それが伝わらないだろうことをすぐに悟る。皆にとってはここは単なるゲームの世界だ。それが当然。僕が自分の大切なもののために何かするのはいいんだけど、それをみんなにもお願いする、っていうのは……。皆にとってはそれほど大事でないものを守るために、力を貸してくれと頼む?この状態で……?僕が決断できないままに、ヴィートが話を続けた。


「まあ、言いたくないならいいさ。言えるようになるまで待つって言っただろ。……それで、最初の件なんだが。ある程度アナウンスで知らせたとして、安全な場所で過ごしてたら、出られるようにはなるのか?」


「ええ、そういう話でした。それまで街に引きこもっていたらある程度、何とかなるとは思うんですが……たぶん、そのうち安全じゃなくなりそうなのが……」


 あの副町長がそれを良しとはしないだろう。もういないけど。何かその方法を取れなくする手段を用意していると考えた方が良い、と思う。しばらくはいけそうだけど。なんだっけ、誰かが街が滅びた、みたいなことを言っていた気もするし。







 それからしばらくプレイヤーが死なないための方法について話し合ったけど、こうしようという結論は出ず。僕はその後、攻略情報についてもう一度見直す。もう見たくないスレがあるとか言ってる場合でもないので、思い切って開く。




 ≪掲示板≫


〈ゲーム攻略スレ PART35〉

〈尋ね人スレ3〉

〈ウサギが倒せない女の子を見守るスレ 53匹目〉

〈魔法剣士が実は不遇職ではないかと思い始めた件〉

〈魔術師スレ 15〉

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 ウサギスレと攻略スレとの差が広がっておる……。でも今回見ないといけないのは、攻略スレ、尋ね人。このへん?僕は過去スレから順番に現行スレに向かって読み始める。別にどんな体勢でも良かったんだけど、机に向かって掲示板の内容に集中する。その間、みんなはそっとしておいてくれ、いつの間にか、部屋からいなくなっていた。



 僕が見るのに疲れてふと気づくと、机の端に紅茶が置いてあった。たぶん、ナズナだろうか。ありがとう。





 ……結局、攻略スレを読み終わったのは周りがすっかり暗くなった頃。誰もいなくなった部屋で、僕はベッドに寝転びながら、得た情報についてもう一度振り返る。特に気にしながら見たのは、防御、回復についての記載。死ににくくなる方法があれば、それをみんなに実践させて、ログアウト不可の期間を生き延びる。それで十分。


 物理ダメージ軽減、魔法ダメージ軽減、物理攻撃無効、魔法攻撃無効、一定のダメージを無効化するバリア、各種状態異常を防ぐもの、すばやさを上げるもの、防御力を上げるもの。スキルはたくさんあるけれど、どれも、……うーん。物理と魔法無効はいいぞ、と思ったら当然一定時間のみ、一度使えばしばらく使えない。両方が永遠に効果が続いたりしたらいいのにね。


 回復は、ヒール、ハイヒール、エクストラヒールなどの回復魔法や、アイテムとしての回復薬各種。モンク系は瞑想とかでHPを回復できたりするらしい。ギャレスとか絶対できなさそう。そして、全体を回復するものは当然消費MPが多いし、アイテムだったら値段が高い。



 あとは、スキルは特に目新しいものはなかった。なんだかどこかで見たことのあるようなスキルばっかり。各方面のゲーム会社の皆さんから怒られたりしないのだろうか。そして、取得条件はその行動を何回か繰り返す、で大部分取得できる、みたい。僕も何個か取ったしね。分かりやすいし、だいぶ良心的だと思う。


 常時発動タイプ、HP全快の時に発動するもの、逆に死にかけの時に発動するもの、任意のタイミングで使えるものなどなど。そういえば関係ないけど、HP満タンの時に発動するスキルって言ったら、カービィのソードを思い出すなあ。ノーダメージの時だけ、剣から何か飛んでいくやつ。……そうだ、今はそんな思い出に浸ってる場合じゃなかった。でも、何も良い方法は思いつかない。泥沼。


 ……そりゃそうだ。今までみんなが検証してきたであろうことに。急に答えが出るはずなんて、なかった。大概のことは試されてるはずだから。




 でもそれで諦めるわけにはいかず。それからしばらくして帰ってきたヴィート、防御魔法と回復魔法の専門家であろう彼に対して僕はアドバイスを求める。


「まあ、まったく外に出るな、っていうのは受け入れられないだろうしな。できるだけ防御と回復に専念してもらうしかない、か。道具を含めればけっこう手段ってあるしな」


「魔法って結構優遇されてるみたいですけど、使えない人ってどうすればいいんですか?」


「パーティーに使える奴がいればいいし、自分で道具を使ったり、あとはあの魔法を込められる石で代用したり、かな」


 そういえば、魔法を込められる石ってもらったけど使ってないや。武器に組み込むとその魔法の属性を得られる、とかだった気がするけど。防御とか回復魔法を込めたら、この石どうなるんだろ?盾で殴ったら防御力が上がる、とか?……と思って聞いてみたら、攻撃魔法を込めた場合は相手に攻撃した時に効果があり、防御や回復魔法を込めた場合は相手から攻撃を受けた際や時間経過に応じて効果がある、とのこと。そりゃそうか。


 ……攻撃されたらされるほど、防御力が上がっていくってこと?みんながちがちにそれで固めたら、死ぬなんて気にしなくてもいいレベルまで、上がらない?無理?戦闘終わったら元通り?回復もそうだよね、両方装備したらいいじゃない。


「それが、防御とか回復の魔法を込めたら、効果が下がるんだよな。攻撃魔法を込めたら追加効果、上級魔法を込めたら中級魔法よりちょっと下くらいの効果は出るんだけど、防御とか回復は上級魔法を込めても下級魔法の半分がいいとこだ。だからだいたいは攻撃魔法を込めてるやつの方が多い」


 ……費用対効果に差がありすぎ!下級魔法の半分か。それで十分なのって僕くらいだよね。意味ない。たぶん攻撃の方がやたら強いのも、製作者の趣味な気がする。NPCでもプレイヤーでも、色んな死ぬ瞬間を見たい、とか本気で思ってそうだし。



 ……そんなことを考えていると、ヴィートと一緒に部屋に帰ってきたナズナが、僕の前に立って、にっこり笑った。そして口を開く。答えの出ない問題について考え疲れていたせいか、その笑顔がとても綺麗なものに見えた。


「サロナちゃん、ずっと部屋で考えてて疲れたんじゃない?久しぶりに、二人で街に遊びに行こうよ、気分転換もかねて」




「今はそんな……、いえ、でもそうですね。ありがとうございます」


 確かに、このまま考えててもいいアイデアなんて浮かばない気がする。それに確かに久しぶりだった気がする。せっかくのお誘いなので、ありがたく乗らせてもらおうかな。

主人公は「前に障害物が見えてたらハンドルを切るくらいはする」とどこかで言っていましたが。それは見える人だけが言っていいセリフだと思いました(小並感)。


スキルとかこういう全体の説明を、雰囲気で戦闘が進むのでいいやいいや、で来てしまったつけを払う今話。最後付近まで戦闘は雰囲気でした、すみません。

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