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ゲームの中で魔王から世界を救おうと思ったらジョブが魔王軍のスパイだった  作者: うちうち


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脅迫者から詐欺師にジョブチェンジする日

 翌日、僕達はバザーが催されてるらしい鍛冶の町、に連れだって出かけた。うん、とりあえず楽しそうなことは楽しむ感じでいこう。決して、本題を忘れたわけではないのだ。屋台とか食べ歩きとか、気分転換にちょうどいいかもだし。ほら、なんだかその証拠に足取りも軽い。


 そして僕らは街の入り口から門をくぐり、中に入る。小さな町だったけれど、その中央通りは屋台がずらっと並んでおり、なんだかおいしそうな匂いがそこかしこから漂ってくる。


「ここが……いろんなお店がありそうです……」


「掘り出し物があるかもしれないし、ゆっくり見て回りましょう」






 しばらくみんなで固まって通りを歩いていると、おいしそうな串焼きの屋台が目に入る。金串におっきな肉が何個も刺さっていて、炭火で焼いてて、香ばしい匂い。ととと、と僕は屋台のおじさんの前に行ってじーっと眺めると、おじさんはこっちを見て笑いながら話し始めた。隣には大量の串に刺さった大量の肉の山。


「お、可愛いお嬢さん!どうだい、買っていかないか?取れたての食用ホーンラビットの串焼きだぞ!」


 僕はその言葉に衝撃を受け、よろよろと後ろに下がる。しばらくして僕は仲間の元に走り寄って、驚きを共有しようと、屋台を指さし、訴えた。


「私の生涯のライバルが……大量の串焼きに……」


「いや、うまそうだし、いいんじゃないか。お前もそう言いながら買ってたみたいだし」


 ……言われて気づくと、いつの間にか、僕の手には大きな串焼きが握られていた。あれ、ホーンラビットってそういえば魔物と食用がいるの?ならこれはライバルじゃないから、問題ないよね。……串焼きは、特製のたれと弾力のある肉の組み合わせが非常にマッチした食べごたえのある逸品だった。これはこのバザー、期待できる。もちろん装備も見るけど。もちろん。





「うーん、装備かぁ……あんまりないかなぁ」


 僕は大きな武器を振り回す女の子が好きだったりするので、せっかくだからでっかいハンマーとか装備したいんだけどなぁ。でもこの前、ユウさんの大剣を持たせてもらったら、重みで潰れかけたから……。真剣に見ても毒ナイフ以上の攻撃力を持ってるのもないし。僕は手に持ったクレープをゆっくり食べながら、ずらっと武器防具が並んでいるテントを冷やかし半分で眺める。クリームがたくさんなのにしつこくなくて、非常によろしい。……あ、クレープ、もうなくなった。僕は首をかしげて次の目的地をそれとなくみんなにアピールする。


「そういえば、さっき向こうに揚げ物のお店がありませんでしたっけ……?」


「食いすぎだろ……お前、食べ物しか買ってねえぞ、さっきから。まあいいけどさ」


「いいじゃないですか、現実と違って太るわけじゃなし」


 こういうのって雰囲気だよね。屋台とか街のお祭りっぽい空気の中で食べるものっていつもと違ったおいしさがある気がするから、好き。僕はがやがやとした人混みと、鳴り物の音が遠くから響く街の喧騒に、しばらく耳を傾けた。


「サロナちゃん、足ほっそいよね……食べるの好きなのに、その体型って……」


 ナズナとユウさんがちょっと恨めし気にこっちを見てくる。……ごめん、この姿、100%人工で、そういうデザインだから……。二人も十分細いと思うけど、下手にフォローすると延焼しそうな話題だったので、聞こえないふりをして再び屋台に目を向ける。ふと、貼り紙がいくつもあるのに気がついた。なになに……明日のイベントのお知らせ?






 どうやらここではイベントという名のミニゲームがいくつか行われるらしい。勝ち抜いた勇者には、その賞品として街に伝わる武器をくれるそうな。……え、一応今って世界の危機な設定じゃなかった?何もせずともくれたらいいのに。ミニゲームの種類は、モグラ叩き、輪投げ、宝探し。あと特別枠として仮装……?僕はあんまり出られそうにないかな。……宝探しくらい?なんか縁日っぽいね。


「他は分かりますけど、仮装ってどうやって決着つけるんですかね?」


「それは舞台で仮装を披露して、観客が投票するらしいぞ。宝探しは街に隠してあるコインを集めた枚数を競って、他はポイント制だって書いてあるな」


「反射神経問われそうだから、モグラ叩きにギャレスが出たらいいんじゃないですか?けっこういいところまで行けそうですけど」


「私も輪投げならいけそうだから、出てみようかな……投げるの得意だし」


 多分スキルを使いまくったら何点でも出るんじゃないだろうか。スキルたぶんOKだよね、生身勝負ならゲームの意味ないやん、ってなっちゃうし。どうなんだろ。


「私、宝探しでもしてみようかしら。結構探し物得意だし」


「え、じゃあ俺は……?どれも勝てそうにないんだが。まあ、無難に宝探しかな」


「みんな、頑張ってください!私もユウさんと宝探しにチャレンジしてみます!」


「……サロナちゃんは仮装ね。いつもお洒落しないから、もったいないなぁって思ってたんだ。一度くらいちゃんとした格好しようよ、いい機会だし。うん、した方がいいね。いや、絶対するべきだよ」


「あの、仮装って面白い恰好するんですよね……?お洒落とは違うような」


「いいから!私に任せて!サロナちゃんはじっとして身を任せてたらいいの」


 ……なんか身の危険を感じる誘い文句だ。体がプルプルと震え出したのが分かる。あ、これたぶん手錠が原因だと思うんだけど、ナズナに何かされるっていうの、ちょっとトラウマになってるっぽい。サロナの方が。体が上手く動かない感じ。


「さ、さっそく行こっ!あの町がいいかなぁ。いろんな服があったもんね。あ、サロナちゃんは行ったことなかったよね、連れて行ってあげる」


 そのまま手を繋がれて街の外に連れていかれる僕を、みんなは何とも言えない顔で見送った。いや、助けろ。……あと、ナズナはこんなに力があるならモンクになったらいいのになぁ。






 ……そして数時間後。バザーそっちのけで他の街に行って、戻ってきた僕達を見たヴィートが言った一言が、全てを表していた気がする。


「…………これは、詐欺だろ……」


 さすが100%人工な外見だけは、あった。他の人と同じ土俵に立っていないという点で、詐欺というのは非常に的を射た表現だったと、そう思う。

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