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とりあえず冒険者登録をする

 武器を買ったので、その後は向かいの防具屋に入る。ここも全然人がいない。ちょっと裏通りにあるからかな。まあ僕にとってはその方が都合がいいんだけど。まだプレイヤーと接触する心構えができてないから。しかし、防具か、これもよくわからんね。また店員さんに意見をお伺いしようかな。


「すみません、防具の購入を考えているんですけど、どれがいいかよくわからなくて。アドバイスしてもらえませんか?予算は1500ゴールドで」


 店内を歩いている店員を捕まえ、アドバイスを要求する。前回の失敗を踏まえ、今回は1回でスムーズに聞くことができた。やはり何事も経験だね。


「かしこまりました、少々お待ちください」


 ちなみに今の僕の装備は「布の服」のみである。上級魔族とはなんだったのか。ドラ○エで言うと腐った死体レベル。それにしても、部屋を出る前にちらっと見たら普通に下着もついてるんだけど、これどこまでが布の服なんだろう。まあいいんだけどさ。ゲームだから汚れないし。あと、自分の体を確認したときはドキドキして、なんだか悪いことをしているような気になった。でも僕のせいじゃない。全部運営が悪い。


「こちらのシルクのローブとグローブはいかがでしょう。それなりに動きやすく、防御力もある程度はあります。1800ゴールドですが、これからも当店をご利用いただけるならお安くさせていただきますよ」


 店員さんが持ってきたのはクリーム色をした薄手のローブと手袋だった。これほんとに防御力あるの?全部貫通してダメージ丸々来そうだけど。まあゲームだし、そういうものだよね。購入し、身につける。しめて1500ゴールド、残り300。早くも資金が1/10になったけど、考えなしに買いすぎたかもしれん。

 





 店を出て自分のステータスを確認したところ、攻撃力は12(+10)、防御力は16(+14)に上がっていた。これでようやく他の初期レベルと同列か。武器防具装備前の初期レベルと、だけど!次はギルドかな……ギルドは反対側のブロックって言ってたから、ちょっと遠いのかも。町を見回りついでにゆっくり見に行こう。






「……じゃあまたパーティーに参加したくなったら連絡頂戴!とりあえずフレンド登録しようよ」


「ありがとうございます!また、よろしくお願いしますね」


 ギルドに着くまでに2回、プレイヤーからパーティーに勧誘された。用事があるので!と強引に主張して切り抜けることには成功したけど……フレンド登録した相手を、先ほど作成したグループ「ナンパ野郎」に突っ込む。外見がいいから気持ちはわからなくもないけど、初対面をいきなり勧誘とか順序がおかしいし。それになんといってもプレイヤーは敵になるかもしれないし。



 ……とりあえず、プレイヤーと接触する心構えとか言ってる暇もなかったけど、結果オーライかな。しかし、僕はプレイヤー扱いじゃないのに、フレンド登録とかはできるし、向こうからは普通にプレイヤーに見えるらしい。さすが運営様がバックについてるだけのことはあり、やりたい放題である。ステータスももっとやりたい放題してくれてよかったのに。






 そして、ようやくたどり着いたギルドの扉を開ける。中は少し暗く、広間にたまっている何グループかの冒険者らしき集団と、カウンターに受付のお姉さんが3人おり、その前に何人かが列を作って並んでいて、壁には依頼とおぼしき紙の束が張られている。テンプレだね。複数の視線を感じるが、「こんな弱そうな奴が冒険者なんてできるのかよ」って、ベテランに声をかけられる前に退散したいところだ。実際この場の誰よりも弱いし、ぺしゃんこにされるだろう。まあみんなテストプレイヤーだからベテランなんていないんだけどね。僕はとりあえず、一番すいている列に黙って並ぶ。みんななんで並んでるんだろう、やっぱり登録かな。



 しばらく待って、ようやく僕の番が来たのでカウンターにいるお姉さんに尋ねる。……ここでは何ができるんでしょう?


「ここで行うことができるのは主に3つ、冒険者登録、クエスト受注、訓練場におけるスキル習得、です。いかがなさいますか?」


 なるほど。冒険者登録はしておくべきだろう。あとはスキル?取れそうなのがあればそれも。とりあえず登録から、お願いします。……すると、登録には300ゴールドかかるとのことで、早速一文無しになった。スキル習得もお金がかかるとかで、できなかった。運営様!なんとかしてくださいよぉーッ!……しかし、よく考えたら原因は散財しまくった自分のせいなので、すごすごとカウンターを後にする。……すると、後ろから声をかけられた。


「なあ、おい」


 まずい。殺される。振り向かずにダッシュし、扉を開け、表に出る。と、ローブが足に引っかかり、そのまま僕は通りに向かってヘッドスライディングすることになった。誰だこの服を動きやすいって言った奴は。

この主人公、全然街の外に出ませんね

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