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検証してみよう

 とりあえず、現状を振り返ろう。


 №がついているということは、僕は上級魔族らしい。上級魔族を全滅させるのがどうやらラスボスへの道らしいから、上級魔族はたぶんプレイヤーに乱獲される対象なんだろう。やばいね。どうしようか。まずは、さっきやろうと思ってた、ステータスの改ざんからかな。自分が今何ができるかをまずは把握しよう。ステータスをまずはもう一度確認する。ステータス!


〈ステータス〉

名前:サロナ(№38)

種族:魔族

レベル:1

ジョブ:スパイ(魔王軍)

攻撃力:2

防御力:2

すばやさ:4

魔力:3

運:1

HP:3

MP:4


(スキル)

認識阻害……相手に幻覚を見せることができる。ステータス表示を改ざんできる。

ボス特性……全状態異常無効。



 とりあえず、悪い点としてはステータスが低いところ。良い点はスキルが強力なところか。ステータスの低ささえ何とかなれば、問題は解決するかな。ステータス改ざん!認識阻害、起動せよ!すべてのステータスを上書きするんだ!認識阻害はステータスに意識を集中し、数字を上書きするイメージで発動させることに成功した。そして、その成果がこれだ!



〈ステータス〉

名前:サロナ(№38)

種族:魔族

レベル:10000

ジョブ:スパイ(魔王軍)

攻撃力:9999

防御力:9999

すばやさ:9999

魔力:9999

運:9999

HP:1000000

MP:2000000



 TUEEEEEEE!!なんだこれ。プレイヤー共、全員かかってこいや。ぼっこぼこにしてやんよ。この状態でとりあえず反復横飛びをしてみる。うーん、あんまりさっきと変わらない……すばやさ9999とは思えない……しばらく続けていると、足がもつれて転び、受け身も取れないまま床に体の側面を激しくぶつける。息が止まり、わき腹がめっちゃ痛い。うずくまったまま痛みが過ぎ去るのを待ち、認識阻害を解除すると、HPが3から2に減っていた。ひ弱!あと2回転んだら死ぬやんけ!!


 ……ちなみに、このゲーム、痛みは通常の1/5のレベルで再現しているらしい。死んだら現実の死の1/5のダメージを脳で感じるってことになるから、そうなるとすごくヤバい気がする。プレイヤーは死に戻り前提だろうから、現実の死の1/5の痛みを何度も経験するのか。あっちはあっちでかわいそう。




 検証が終わったので整理しよう。ステータス改ざんは、表示が変わるだけだ。強さは変わらない。つまり、この底辺のステータスで何とかやりくりする必要がある。ただ、この能力値で相手にダメージを与えられるのかどうか……望み薄かな。認識阻害のもう一つの能力で、何とかしていくしかない。「相手に幻覚を見せることができる」これを利用して、敵を倒し、まずはレベルを上げる。レベルが上がればステータスもマシにはなるだろう。一つ問題になるとしたら……魔族がレベルを上げるときって、やっぱりプレイヤーを狩らないといけないんだろうか。勝てそうにないんだけど。ちょっと外に出て、魔物を倒して検証が必要だね。




 そしてスキルの2個目、ボス特性。果たしてこれまでこんなにステータスの低いボスがいただろうか。でも、これってすごくいいスキルだよね。最高と言っていい。状態異常無効。まあ腹パン1発で沈むから、倒すのに状態異常に頼る必要なんてないんだけど。けど、だいたいRPGの縛りプレイ、低レベルクリアでは敵キャラは状態異常耐性の穴を突かれて攻略されることが多かったように思う。それから考えるとこの能力は素晴らしい。うーん、問題はやっぱりステータスだなあ……





 その後、とりあえず鏡の前に行き、外見をチェック。たぶんバランスが悪いのって、体重が実物と違うからだと思う。僕は170㌢、64㌔。今の外見はうーん、150㌢に50㌔ないくらいか。測ったわけじゃないけど。年齢的には16歳くらいかな。高校生くらい。慎重に動けば足は絡まないのは、たぶん現実の僕と今のこの姿で足の長さがそんなに変わらないからか。くそう。髪の色は暗めの緑、目は紫。肩よりちょっと上まで伸びた髪はちょっぴりカールがかかっている。顔は整ってるけど、第一印象としては何よりいい子そう。こんないい子っぽい人がスパイだった日には人間不信になるわ。ひどい。外見をいじれない、という前提がさらに卑怯。いじれるやんけ。……でも僕は死にたくないので、プレイヤーを積極的に騙すつもりではあった。すまぬ。



 そして外見チェックの後、鏡の前から歩いて戻る最中にバランスを崩し、ベッドの角に頭をぶつけたことでHPが1になったため、その日はそれで休み、次の日からゲーム攻略を始めることとなった。前途多難である。

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