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探求者の記録簿(メモリーログ)  作者: Liis
保守協会の謀略
77/109

汚れなき法

 リーグに向かってナイフの模様を見せつけた

 ハックは本気で決闘をするようだ。

 試合と決闘の違いは命のやりとりをするかどうかで分けられる。

 故に、決闘そのものは禁断の行動なのだ。

 

 「ふっ決闘だと、冗談は寝ていえ。貴様は統括者の前にいるのだぞ!」


 ハックの言葉はリーグには届くことがなかった。

 右手にペンを持って書類を書きはじめた。


 「ペンは剣より強し、ここに法令を施工する。

 特殊法令第2条 統括者に無礼を言い渡した者は、命を持って償わなくてはならない。正義の名の下に!」


 書類が書き終わると、この要塞に地響きがした。


 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


 まるで、地中深くに眠っていた物が呼び覚ませられていくようだ。

 これがハックの言っていた巨大な装置なのか。

 姿を見たことある人は存在しない。

 伝説上の装置として恐れられている。

 要塞の地面が割れて、黒い塊が這い出てきた

 

 「キタキタキタキター。

 こいつが出てきた以上はお前の命はもう無いものだと思え。誠心誠意謝罪をするのなら、特例措置として許そう」


 リーグのことは正直あまり知らない。

 何せ、会ったのは今までに2回しか無いのだ。

 そんなリーグにハックは顔色一つ変えずに言葉を続けた。


 「法と言うものの性質を知らないのか?

 矛盾を生み出したら機能を失うことを本当に知らないのか?」


 「私の法に矛盾は存在しない」


 リーグの言葉におかしな点はない。

 施工した法は以下の通りだ。


 階級カースト

による財産保有権利の変化及びに税金率の変化に関する法。

 第一条、階級カースト

下位の者はいかなる市場でも希少物品の購入はできない。但し、上位の者が保護及び監督をしている者の場合はこの限りではない。

 第二条、下位の者は麦及びに米などの穀物を栽培及び所持する事はできない。

 第三条、階級カースト

を持たないものは皆、下位のものとして扱う。但し、法によって自由権利などは保障されない。

 第四条、貨幣を取得する際は上位並び中位の者は10%下位の者は50%の税金を保守協会に納めなければならない。

 第五条、上記に従わない者は保守協会施設に強制連行される。


 特殊法令1条 ただ今より統括者に危害を及ぼす者がいる場合これまでの法にはの効力を一時的に受けなくなるで撃退しなくてはならない。

 特殊法令第2条 統括者に無礼を言い渡した者は、命を持って償わなくてはならない


 以上がリーグによって追加された法だ。

 この中には矛盾点はない。

 

 「お前の階級カーストは何だ? 言える物なら言って見せろ」

 「私の階級カーストは上位の統括者だ。この地に置いての法を支配する者だ。誰よりも偉く、誰よりも力を持ち、誰も逆らうことの出来ない絶対の強者なのだ」

 

 「フッ」

 

 リーグの自信とうぬぼれに満ちた発言にハックは鼻で笑った。今までにハックが笑うところは見たことがない。


 「何が可笑しい? 窓から見える黒球から砲台が見えるだろう。ケムリ曰わく「聖霊システムにより支配されていた旧文明時代よりも昔に人が無意識下に放出する思念エネルギーを集めて現実的に不可能なことを可能にする念導エンジン」だそうだ。

 こいつの一撃でお前が体は完全に消滅する」


 「何も起きないさ」


 ハックはそう呟いて、ナイフを鞘に戻した。


 「降参か? 威勢のいいのは最初だけか。

 カウントダウン 3」


 ハックはリーグに近づいた。

 

 「2」


 「1」


 「BURST(バースト)!」


 リーグは右手の人差し指をハックに向けた。



 特に何も起きていない。


 「なぜだ? なぜ動かないんだケムリ」


 リーグは腰につけた剣に話しかけている。

 そういえば以前の剣は俺が奪ったから、別物をつけている。

 剣の持ち手に丸い水晶の塊が異様な雰囲気を出している。

 こんな事はどうでもいい。何故ハックは無事なのか?


 「お前の階級カーストは上位の統括者だったな。そいつは立派な階級カーストだな。

 誰よりも上に属しているか‥‥。

 誰がお前にその階級カーストを与えたんだ?」


 「それは、もちろんこの私自身が………。はっ!」


 リーグの額に汗がにじみ出てきた。


 「そう‥‥。ここでの階級カーストと言われる物は、ハンター階級カーストの事を表す。

 ハンター階級カーストの取得には、ハンター育成地区統合センターに申請して試験を受けて初めて手に入る物なんだ。

 だから、お前に階級カーストは存在しない。

 ただの一般人だ」

 「そ‥‥そうだとしても、私は統括者なのだ。

 法は絶対的な物で、法によりお前は消滅するはずだ。何故なんだ?」


 リーグは冷静さを失っている。


 「いいや、あの機械はお前の施工した法の通りに動いている。

 第三条に書いてあるだろ。

 [階級カーストを持たないものは皆、下位のものとして扱う。

 但し、法によって自由権利などは保障されない]と。

 そもそも法の恩恵を受けることが出来ないから俺を消す事は出来ない。自分の身の安全を守られない」


 「そんな致命的な問題があったとは‥‥。」


 リーグはペンを落とした。

 無理もないだろう、自分の事を過大評価し過ぎて実際の自分の立場がわかり、守るべき壁がすべて取り払われてしまったのだから。


 「私の負けだ」

 

 リーグは書類を卓上はある裁断機に投げ入れた。


 「このペンを受け取るがよい。これが、ハンター育成地区の法を支配するものだ」


 ハックにペンが渡されて、あっさりと悪政が終わった。

 これで良かったのだ。

 戦闘はなるべく控えたい。

 このまま終われば一件落着だ。


 「私に言い渡された事は2つある。

 マネーの調達と名前使いを滅するか協会に連行することだ。

 私の知る限り、名前使いはこの部屋に2人で聖霊人は1人。圧倒的に私は不利だ。

 だがしかし勝てないわけではない。

 念導エンジン起動!!」


 リーグが腰につけた剣の水晶玉の中に黒い渦が生まれ回りだした。

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