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探求者の記録簿(メモリーログ)  作者: Liis
守護者の日々
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奈落

2/20

書き直しました

 穴の中に落ちた俺は全身が凍りつくような恐怖を感じていた。

 この穴は一体どこまで続いているのか。

 底に落ちたら命は無い。

 例え生き残れたとしても穴から這い上がることは一生できずに飢えて死んでしまうだろうとネガティブなイメージが頭の中を過ぎった。

 あまりの恐怖の為に冷静な判断ができなくなっていた。


 「さっき夢の中で殺されそうになり、今度は自宅で死にそうになるとはある意味正夢だったのかもしれないな」


 心の中が闇で覆い隠されて自分ではなくなるような気がした。

 これが死への恐怖か。

 自宅で死んでしまうとはある意味幸せなこととされている。

 でも、ここは違う。

 何もなく永遠に闇が続いている。

 人の温かみなどはみじんたりとも存在しない。

 

 ここで終わるわけにはいけない。何がなんでもここから脱出する。


 そう心の中で思った瞬間

 firstlibraryが金色に光り出して俺の心の闇を吹き飛ばした。


 そして俺は平常心を取り戻した。


 何ができるのかを記憶を頼りに考えよう。

 まずは今の状況を整理してみよう。


 現在は穴の中を落下している。

 落下をくい止めるには停止するか重力と逆向きの力をかける。

 この2つの方法から考えていこう。


 急停止は動きを止めることだ。

 これ以上落ちるのを止めるには、足元に床とかがあればいいはずだ。

 いいや違う。

 それでは転落死してしまう。


 反する力をかけるよう事が出来れば止まるはずだ。

 これも違う。

 そんなことが出来たのならそもそも落ちることがない


 もう少し考えるんだ。

 どこかに見落としがあるはずだ。


 一冊の書物が微弱ながらいまだに光を放ち続けている。

 村長はたしかこの本の事を「正しき道の道標」と説明していた。

 夢の中では数文字だけだが文字が書き込まれた。

 あれがもしも現実なら同じ方法を使えるはずだ。

 あの時は天井に激突した。だけどハテノ村に戻れた。


 この夢がこの状況を打破する鍵だ。


 俺は本の目次を開いた。

 そこに同一の文字が書き込まれていた。


 「記憶をたどった出来事を束ね、そして新しい道を切り開く」


 すらすらと口から言葉が出てくる。

 以前同じようなことをしたような気がする。

 デジャヴを感じる。


 「真実の名の下に」


 俺は本の内側を軽くたたいた。

 その時、穴の奥から風が吹いてきた。

 風は次第に強くなり、落下している俺の体のスピードを下げてまるで浮いているように体が軽く感じる。

 さらに風力が強まり重力に逆らって上に飛ばされた。


 天に光が見えた。

 やっと穴の外に脱出できる。

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