汚れなき意識
今進んでいる通路にも人が集まっていた。だけど、雰囲気が違っていた。なぜなら、若者が集まっていたのだ。
年齢層は7~20ぐらいだ。
ショタ8歳「あのお姉ちゃん達は、どうして急いでいたのかな」
大人と子供では考えることが少し違うようだ。
青年20歳「あの姿はまるで、獣のようだ。きっと、感情的になることがあったのだろう」
ロリ10歳「なんだか絵本に出てくる聖霊みたいだったの。きれいだったの」
青年20歳「こんなシェルターの中に、絵本なんてあるものか?」
ショタ8歳「フロル姉ちゃんの持っている古い絵本には載っていたよ」
青年20歳「そうか、変わり者のフロルがそんなものを持っていたのか」
どうやら彼等はフロルを知っているようだ。少し話を聞いてみよう!
ハック「君達がフロルの知人か?」
青年20歳「誰だおまえは?
それと、俺達はフロルの知り合いじゃない。ただ、彼女はここではかなりの知名度があるだけだ」
ハック「俺の名前は、ハック・イノセントだ。詳しく聞かせてくれ」
青年20歳「彼女は食事を殆ど取らない事で有名なんだ。1週間 2週間 1カ月と一切の物を口にしないのだ。
彼女がいうには「好奇心の前では食欲なんてただの飾りに過ぎないかな」というのだが、普通の人はそんなことができない。
有名なのにはまだ理由があり、いつもはグータラしているのに、人が近づくと急に活気に溢れて、周囲の人の活気を奪う。そのほかには、家族 親族 遠い親戚が1人も居ない。居なくなった訳ではなく、はじめからいない。そんな彼女に日常的に接している人は情報屋のバイブルだけなんだ」
あのフロルにも、アリウム並みの秘密があるのか。どうりで仲良くなれる訳だ。
ハック「ありがとう。いい話を聞かせてもらった」
俺が立ち去ろうとすると、幼子に足を掴まれた。
ショタ8歳「ハックお兄ちゃん。話を聞いたのなら、お金ちょうだいよ~」
ロリ10歳「恩を受けたら返さないと行けない。人として当然の事だよ」
ショタ&ロリ「ねえねえ、早く出してよー」
足を動かしても、退くことがなかった。
ハック「なんなんだ、この子ども達は」
青年20歳「この子たちは、身寄りが今身寄り居なくて、最低限度の食事が出来ないから、食事代を欲しがっているのだ。
可哀想に思うのならお金を出すのだ」
その言葉に胸の奥底から怒りのような強い感情がこみ上げてきた。
ハック「気にくわないな」
青年20歳「なんだって?」
ハック「お前たちに渡せるような物はない」
青年20歳「お前はこの子たちが可哀想だとは思わないのか!」
ハック「全く思わない。見たところによると子ども達は1人で生きていける歳になっている」
青年20歳「こんなに幼いこどもに働けというのか、この鬼め!」
ハック「仕事をしろとはいわないが、自分の食料ぐらい用意できるはずだ。シェルターを出て行けば幾らでもある」
青年20歳「危険な地上に出ることは死を意味する。このひとでなし」
ハック「井の中の蛙とはこの事だ。地上で暮らしたこともないのに危険だといってこんな場所に子ども達を閉じこめている。
この行為こそが鬼ではないか。
殻の外にでるだけでこんな事をしなくても生きていけるのに、暮らしていけるのに、何よりも物を買おうと考える心意気がだめなんだ。生きていくのは単純な事じゃない。必死に食料を探して食らう。大半の動物はこうして生きている。
人をあてにするなんて、ただの堕落だ。怠惰だ。現実から目をそむけているだけだ!」
つい感情的になってしまった。
声を聞いた子ども達は男の背中に隠れた。
青年20歳「こんな考えをする奴がいるなんて知らなかったよ。考えとしては十分なのだが、実際はうまくいかない。
この子達は、親が破産して、埋め合わせをするために親がこのシェルターの最下層で働いているんだ。この子達が親のいるシェルターを簡単には離れることができない。それと、一度でもシェルターを出ると、戻ってくることが出来なくなる。つまり親元から離れたくないのだ」
ハック「親か、見たこともないな。ひとりで生きてきたからな」