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探求者の記録簿(メモリーログ)  作者: Liis
保守協会の謀略
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解放と快報

 アリウムに思い(エネルギー)を送ってから20分程経過した。きっと思いを受け取って此処に来るはずだ。

 届いている事に対しての自信はあるのだが、不安が胸の中にこみ上げる。ひどい胸焼けのような痛みを感じている。この痛みは空腹からくる胃の炎症ではなく、精神状態からくるものだ。実は今までに、目の前で人がこのような状態になるところを見たことがない。

 まるで、ミチュールさんの感情が、自分の中に流れ込んでいくようだ。

 今はミチュールさんの肩に触れているからその影響かもしれない。

 一体ミチュールさんが何を見て、聞いているのか分かれば俺でもどうにか対処できるのかもしれない。

 考えていると部屋の中に誰かが入ってきた。

 (待たせたな。アルスよ)

 フロル「ねえねえ、何があったのかなかな?」

 この声はアルカミクスチャーとフロルだった。どちらも前に会った時と比べると何かが変わったように思えた。

 だが、そんなことはどうでもいい。

 やっと助けが来たのだ。

 アルス「アルカミクスチャーよ、ミチュールを治療してくれ」

 アリウムの意識が戻り、聖霊獣がそのとなりに出現した。

 アリウム「任せて」

 アリウムの腕をアルカミクスチャーが巻きついた。

 (今回出す水は治癒ではなく、デトックスの水だ。過度なデトックスは肉体に多大なダメージを与える)

 アリウム「だから、濃度を下げる。つまり、希釈して取り込ませる。純水にして純粋な水よ、私の仲間を浄化する効果を内蔵して、彼女の中に入り込め。流れのままに」

 アリウムはミチュールさんの唇に指を当てて、指の先から生み出される水を飲ませた。

 ゴクッ

 喉を通過する音が聞こえた。

 ミチュール「う゛ 」

 ミチュールの瞳に光が戻った。

 ミチュール「ゲホ ゲホ 」

 ポチャン

 身体の中の毒素が抜けた。

 ミチュール「はっ、ははははは。恥ずかしい姿の晒してしまったかなー」

 顔を真っ赤にして笑い出した。

 正気に戻ったことで、今までしていたことに気がついて、その恥ずかしさに笑うしかなくなってしまったようだ。

 テクノ「もう、本調子ですか」

 ミチュール「私の調子は凄い良いかなー。皆ごめんね、それぞれの用事があったのに、こんなダメな人のために集まってもらって」

 テクノ「私のせいです。私がちょっかいを掛けなかったらこんな事にはならなかったです」

 クリスタ「そんな事はないと思うよ。テクノが居たから此処まで辿り着くことができたんだよ。それに、ちょっかいを出さなかったとしても、同じことになっていたんだろうし」

 フロル「やっぱり、私がついて行く意味はなかったのかなかな」

 {我は久しぶりに肉体を動かすことができて、非常に清々しい気分だ}

 フロルが乗っている目の前の鹿っぽい獣が口を開いた。

 アルス「ところで、その生き物はいったい何者なんだ?」

 フロル「彼は聖霊獣のナチュルハードクレイで私はさっき彼の巫女になったんだけどどうかなかな? アリウムの恩人さん」

 アルス「アルカミクスチャー以外に聖霊獣が実際にいたとは驚きだよ。それに巫女っていうものはそこまで簡単に成れるものだとは知らなかったよ」

 フロルはアリウムと小声でしゃべり始めた。

 フロル「ねえ、本当にアリウムの恩人さんはなにも知らないのかなかな」

 アリウム「アルスは多分知っていると思うよ、産まれながらにして私達とよく似た巫女の血が流れているからね。だからと言っても、アルスは記憶があまりないんだ。君がアルスのことを聞くなんて、君も変わり者だねー」

 ゴソゴソ女の子同士の会話をしている。

 このような会話をしている姿は生まれてから始めてみた。

 俺は一度死んだことがある。蘇ってからの記憶ならあるのだが、それ以前はない。クリスタは昔からずっと俺と生活を共にしていたのだから、色々知っている。

 全く意味のない考えを巡らせていると、俺のお腹が空いていることを思い出した。

 グー

 腹の虫が鳴き始めた。

 ミチュール「流石に時間がなくなってきたかなー。食事にでもいこうかなー。ところで、バイブルとハックはどこにいるのかなー」

 クリスタ&アリウム「しまった。置いてきてしまった」

 クリスタ「実は、バイブルとレストランに行ったけど、置き去りにしてここにきちゃった。てへ」

 アリウム「私も急に呼び出されたから神殿に放置してしまったかなー」

 ミチュール「よくバイブルがレストランに連れていける程のシェルターマネーを持っていたのかなー」

 クリスタ「バイブルのお金じゃなくて、私のお金。実はカジノで莫大な金額を手に入れんだよ」

 ミチュール「それで行けたのかなー。でも、バイブルは結局お金を持っていない事には変わりないかなー。多分出るに出れない状況に陥っているかなー。早くレストランに向かうことをすすめるかなー」

 アルス「それもそうだな。よし、行こう」

 アリウム「ハックはどうするのかな?」

 アルス「ハックの事だから、放置していても、アリウムのもとにくるんじょないか?

 なんたって、アリウムの執事なんだからな」

 俺達はレストランに向かった。

 

 一方そのころ

 ハック「やっぱり、戻ってこないか。こちらから向かうしかない。どこにいるのだろう、アリウム」

 考えることはあまり意味がない。

 行動あるのみだ。

 テクテク

 神殿の外に出てしばらくすると、人集りができていた。

 村人1「見たんだって、2人の女の子が高速で横を通り過ぎたところを」

 村人2「どうせ、くだらない妄想だろ。アルコールなんか飲むから変なこと考えるんだ」

 間違いない。この道を通ったんだ。

 人集りを頼りに歩めばきっとアリウムがいる。

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