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探求者の記録簿(メモリーログ)  作者: Liis
保守協会の謀略
61/109

聖霊獣の契約

 アリウム「私はどうすればいいのかな」

 場所こそ違うけど、巫女である私は神殿に世のような仕掛けがあるとは知らなかった。もしかして、私とアルカミクスチャーの遺跡にも同じような機能があるのかな。 

 (祭壇の上に上がり、我に体を預けよ)

 私はアルカミクスチャーの声にしたがって上に上がった。

 アリウム「ちょっと神殿に力を注入して起動するから下で待っていてね」

 ハック「俺は着いていくぞ」

 やっぱり君は私のことを心配するんだね。

 (祭壇は選ばれた者にしか登ることができない。それは決まり事ではなく場所のことわりなのだ。何人足りとも近づくことはできない)

 フロル「わかった待っているよ」

 ハック「なら、諦めよう。アリウムは任せた」

 祭壇の上に立ったのは初めてだ。ここが私の親友のガーデが聖霊と一つになって聖霊人になった。私にとって色々な思い出が残っている場所だ。

 (では、始めようか)

 私はアルカミクスチャーに体をを一時的に返した。

 (我こそはアルカミクスチャー、水の聖霊獣なり。古より現代まで固く閉ざされた真実を今開放する。真実の姿のままに」

 

 アリウムの姿をしたアルカミクスチャーがしゃがんで右手を祭壇の中心にある窪みに突っ込んだ。

 アリウムを中心に水が流れて溝を伝って遺跡全体に流れ込んだ。

 ゴゴゴ ゴゴゴ

 大きな物が動くような音が響いた。音は、床からしている。

 いや奥底から音が聞こえる。だんだんと音が近づいてきた。

 ドーン

 目の前に謎の植物が出現した。

 その形は俺が今までに見たことのないものだ。新種か?いや、古代種だ。間違いなくこの世にあったものだ。種子というものは、腐らない限り、育つものだ。だからといって成長がここまで早い事は有り得ない。

 謎の植物はグングンと天井まで延びて天井と一体化した。

 その姿を見て俺は気がついた。

 壁画に描かれている植物そのものじゃないか。

 やがて、植物は花を咲かせると同時に光を放った。

 光を受けた壁の溝も光り出した。

 そして、祭壇目掛けて照射された。

 しばらくして、部屋の中をまるでホタルのような光が漂い始めた。

 これが、聖霊なのか。最も元始的な聖霊。聖霊という存在は記録には残されているが、それを見たことがある人の存在は確認されていない。

 アリウムいや、アルカミクスチャーは聖霊を出現させて何をするんだ?

 聖霊獣を復活させるのか、でも聖霊獣は巫女が居なくては存在できないはず。

 もしかして、彼女が巫女なのか?

 それはないな、儀式をして復活するらしいがそのすべは誰も知らない。

 そんなことを考えているとアルカミクスチャーが口を開いた。

 (フロルよ、そなたが聖霊を受け入れるのならば、そなたは聖霊人になれる。さてどうする?)

 水聖霊獣の問に彼女はこう答えた。

 フロル「私は聖霊人になる気はないよ。ただの一般人が聖霊の力を操れるわけがないし、何よりもアリウムの心友のガーデの代わりにはなれない」

 (やはりそうか。この漂っている聖霊は我の古い友のナチュルハードクレイが宿していた力そのもの。数こそは全盛期の1割と言ったところだ。ナチュルハードクレイは封印された場所は分からない。でも、自然の聖霊獣は自分の分身を残すことができる。世界中の至る場所に眠っている。全部を引き寄せてこの量だ。

 聖霊人にはならなくてもいい、その代わりに聖霊を束ねて欲しい。聖霊獣になれば、断片的でもそなたの望みの昔のことを知ることができる。そなたの考えを我に聞かせてくれ)

 フロル「いいよ。私は何をすればいいのかなかな」

 (イメージをするのだ。聖霊獣の姿を。そして聖霊獣の存在意義を生み出せ。物事には理由が必要だ。どんな些細なものでもよい。拠り所を用意するのだ)

 フロル「壁画とアリウムの話をまとめると4本足で全身が植物に覆われていて、まるでトナカイのような姿。

 彼はこの世に恵みをもたらすために、存在する。彼は私の思いを受けて現れる。過去の姿をしていないが、彼の名前を言う。

 ナチュルハードクレイ

 大いなる自然の聖霊獣の名を持って現世にその姿を体現せよ」

 (叫べ、そなたの真実の名前を)

 フロル「私の名前は、フロル・リーフ」

 {そなたが我を呼ぶものか}

 どこからともなく、威厳のあるような声が聞こえた。

 声の主がいるとかではなく、聖霊から声が出ている。東西南北全ての方角から聞こえる。

 フロル「あなたがナチュルハードクレイかなかな?」

 {いかにも、我こそが聖霊獣ナチュルハードクレイだ。汝はフロル・リーフそのものか?}

 フロル「そうだよ。間違いなく本物のフロル・リーフだけど、何かなかな」

 {リーフ 葉っぱの名。良かろう。ならば契約をしようではないか}

 フロル「それで内容は何かなかな」

 (我が説明しよう。この契約は、聖霊を聖霊獣にして、そなたを巫女にするものだ。巫女としてのメリットとデメリットが存在する。

 メリットは、聖霊獣の力をある程度使うことができる。老化しなく、死ななくなる。デメリットは、聖霊獣から一定以上の距離を離れることができない。信仰を集めないといけない。我々のメリットは身体を保つことができる。デメリットはより多くの地脈の力を吸い取らないと行けない。

 巫女は我々聖霊獣が存在し続ける為に必要なのだ)

 アルカミクスチャーの説明について俺は一つの疑問点があった。アリウムは一度死んでいるのだ。死なないはずの巫女が何故死んでしまったのだろう。今のアリウムは死ぬ直前の姿を元にして、今の身体をしているのだ

 ハック「アルカミクスチャーよ、何故アリウムは命を失ったのだ」

 聞いてしまった。きっと悲惨な死に方なのに

 (アリウムが命を失ったのは我が封印された後、故に何も知らない。アリウムは我にもなにがあったのかを明かしていない。ハックよ、無理に聞き出してはいけない。アリウム水のようなメンタルをしておる。環境によっては不安定になる)

 ハック「アルカミクスチャー、その思い聞き受けた。アリウムが言うときまでまとう」

 {さあ、契約するか否か}

 フロル「契約するよ」

 {一度契約すると契約の破棄はできない。一生、いや、死後も永遠に破棄はできない。それでもよいか?}

 フロル「私はあなたに会いたい。だから契約を受け入れた。早く始めようよ」

 フロルのことはよく知らない。名前しか知らない。だけど分かる。彼女は聖霊に恋している。聖霊獣のいったい何に惚れているのかは、分からない。その感情は俺がアリウムに向ける感情とよく似たものだ。

 {そなたの体の一部を祭壇に納めよ。それは手足でも髪の毛でも血液でも何でもよい}

 フロル「そこの君、ナイフ持ってる」

 俺はナイフを彼女に渡した。

 彼女は祭壇に上がり、髪の毛を切った。

 {供物は頂いた}

 フロル「まだ、払える」

 ザクッ

 ポタポタ

 今自分でつけた切れ目から、赤色の雫が落ちた。

 フロル「これで、なるべく当時の姿になるかなかな」

 {ああ、想像以上の供物だ。

 我に祈りを捧げるのだ。さすれば、我はここに現れるだろう}

 膝をついて両手を天井に掲げ、交じり合わせて下げた。

 聖霊がフロルの捧げた供物に群がった。

 供物は光に覆われた。

 光が弱まると小鹿のようなものが見えた。小鹿と言っても、フロルより大きい。

 聖霊を取り込んで聖霊獣が誕生した。

 {我はここに復活した}

 その姿を見て、フロルは声を漏らした。

 フロル「懐かしい。みたことないのに懐かしい。まるで、一緒に暮らしていたみたいに」

 それと同時にアリウムの意識が帰ってきた。

 アリウム「あれ、なにがあったのかなー。そこにいるのはナチュルハードクレイ。アルカミクスチャー一体何をしたの?」

 (我は神殿を起動して、フロルは巫女契約をして聖霊獣を誕生させたのだ)

 アリウム「どうしてそんな事したのかなー」

 (オリジナルのナチュルハードクレイの復活には、ガーデが居なくてはならない。それと聖霊獣の封印場所は分からない。ちょうどそこに契約をしたいフロルなるものがいたから契約を進めた)

 アリウム「それじゃあエネルギーのバランスが崩れて大変なことに」

 (オリジナルの聖霊を使ってるから問題ない)

 やはり俺は蚊帳の外なのか。旅のメンバーの中で唯一の一般人。特殊な事もできない、知らない。この集団にいると、自分自身の無力さが引き立てられる。俺にも術か特殊な技能があればいいのに。幾らそれを思っても無いものはない。


 同時刻 ????

 テクスチャ「この表示は」

 デバイスには、高濃度聖霊反応と映し出された。

 アタイの知らない所で何があるんだい。

 保守協会本部に連絡をしようとしたときデバイスの表記が変わった。

 テクスチャ「何だってー」

 アタイは卒倒してしまいそうだったよ。なにせ、聖霊獣誕生と映し出されていたからね。

 テクスチャ「あのチームは脅威だ。早くチームをバラバラにしなくては」

 アタイはミチュールとかいう女を潰すためにいるはずの場所に向かった。

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