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探求者の記録簿(メモリーログ)  作者: Liis
保守協会の謀略
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神殿散策その1

 今回はアリウム目線の話となっています。

 私はフロルとハックと一緒にシェルター内の遺跡に向かっていた。記憶が正しければ、ガーデの神殿は隠されてはいるが間違いなく地上に造られていた。地中に潜ることなんてありえるのかなー。

 そう思っているとフロルの足の動きが止まった。

 フロル「ここが遺跡に続く道だよ」

 彼女が指差したのは植物の蔦のようなものに覆われたシェルターの大きなひび割れ。シェルター内でのひび割れは、つまり崩壊の前兆。そんな危険な場所に近づく人はいない。そのため、実質的に封鎖された空間になっている。

 ハック「これはひどい。亀裂が周囲にも広がり続けている」

 アリウム「このひび割れの向こうに遺跡があるのかな」

 フロル「そうだよ。さあ、いこうよ」

 樹海のような植物を手でどけながら奥に進んだ。


 横穴を進むと私にとって見覚えのある建物があった。

 アリウム「懐かしい。この場所は間違いなくガーデと過ごした神殿だ」

 計年劣化によって姿が変わったけど、その名残がある。大きな祭壇と、名前の知らない青年が触った壁画などもなんとか形を保って残っている。

 フロル「何か他に秘密などがあるなら教えてね」

 アリウム「私はガーデが聖霊人に生まれ変わるときに種が神殿に落とされたはず、青年が持ち去ってしまったけど名残だけなら残っているはず。それは聖霊人の体の一部。調べれば何か分かるはずと思う」

 私はフロルを連れて祭壇の裏側にまわった。

 やはりそこには周囲にある植物とは異質の植物があった。

 フロル「これが聖霊の一部。やっと見つけた」

 彼女は手を伸ばした。

 アリウム「待って、それは聖霊の力が詰まったもの。普通の人間が触れるのは危険。この世のことわりに触れるかもしれない」

 フロル「なら、どうしようか?触れるのは危険なら調べることができない」

 私はこの世のことわりに触れているけどそのおかげでこうして生きている。

 触れても大丈夫だったのは、もとより一心同体のような存在だったからだ。

 フロルのような一般人が触れると何が起きるか分からない。フロルは聖霊の力を無意識に取り込んでしまう。

 アルスがレコードを取り込んだ時みたいに暴走するかもしれない。ここにいる者では暴走を止めることはできない。

 ハック「なら、俺が調べよう」

 アリウム「この世のことわりに触れるかもしれないのに」

 ハック「俺はことわりについて何も知らない。だからこそ触れれる」

 彼は植物に触れた。ハックだってきっと暴走してしまうのかもしれない。

 道を踏め外す者になってしまうのか。


 だが、何も起きなかった。

 かなりの力が秘められているはずなのに一切の影響を受けていなかった。良い影響も悪い影響も何一つ受けることがなかった。

 ハック「さっぱりわからん」

 手を離した。

 アリウム「聖霊そのものに触れたんだよ」

 フロル「聖霊にはことわりに触れる力があると言うのに」

 ハックは溜め息を出した。

 ハック「よく考えてみろ、これが聖霊の一部だといって影響があるとは思えない。俺もフロルも聖霊人のアリウムに触れてたことで影響を受けたことなんて一度たりともない。それにここは一切の光が届かない地中奥底だ。そんな場所の植物がここまで元気なはずがない。きっと力とやらは周囲に散っていったに違いない。植物が命散らすと残った力を周りが受け取る。それこそが自然のことわり」

 ハックはことわりの一つを知っていた。触れることができないが、知ることができる。ことわりとはごく当たり前のことなのだ。

 フロル「なら、他のものも調べようよ。例えば壁画とか祭壇とか」

 フロルは壁画を調べるとあることに気がついた。

 フロル「この壁の溝は何だろう?部屋を一周するかのように繋がっている」

 (それは神殿を起動させるための回路だ。力を流すことで真の姿となる)

 アリウム「アルカミクスチャーもとの大きさに戻ったんだ」

 小犬ぐらいの大きさからもとの私の体に巻きつけるぐらいの大きさに戻っていた。

 (クリスタの水晶のおかげで少ない時間で力を取り戻すことができた。我なら神殿を起動できる。我の神殿とは種類こそ違うがそれぐらいなら容易い)

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