再始動
この話は次の話に繋げるためだけに執筆しました。
さほど重要な話ではないのでとばしてもらっても構いません。
要点だけ言うと、アルスは自分の部屋で目覚めたあとに、ドクターに会いに行くだけの話です。
が途中で謎の穴に吸い込まれます。
次話は、穴の中での話です。
アルスに意外な才能が開花します。
追及2/20
書き直しました。
けたましい頭痛と共に目が覚めると天井にシャンデリアが見えた。
ここは紛れもなく俺の部屋だ。
「アルス~やっと起きた~もう心配したんだよ急に倒れるんだから」
ベッドに横になっている俺をクリスタは横からずっと見ていたようだ。
「そうか迷惑をかけたな」
さっきのは夢か、クリスタが倒れた俺をここまで運んでくれたみたいだ。
「迷惑だなんて私はアルスを守るために人生をかけているからね」
「人生までかけなくてもいいのに。全く大袈裟なんだよ。全くお前は」
クリスタが俺を気にかけるようになったのは俺達が幼い頃俺に大怪我をさせてしまったかららしい。
当人の俺にはその時の記憶がない。その記憶以外に記憶が虫食い状態になっている。
怪我跡が体には残っていない。
聞いても誰も教えてはくれない。
一人だけ蚊帳の外にいるかのようだ。
「私はアルスを守る為にはどんなことでもするからね」
少し間を置いて、またしゃべり出した。
「いまのは冗談だから気にしないでね」
冗談にしては重すぎる。これが古い文献で見たことのある「ヤンデレ」という奴か?
まあ気のせいだろう。
「また倒れることがあっても困るからドクターにみてもらったら?」
「それもそうだな」
クリスタを不安にさせるわけにはいかない。
ついでこの本の事についてもドクターに聞いてみよう。
「じゃあ行ってくる」
部屋を出てドクターのところに向かった。
ドクターとは様々なことを知っている学者のことで医者ではない。
ドクターはこの上の部屋に住んでいる。
上に行くには樹木の外側の螺旋階段を登る必要がある。
階段は樹木に巻き付いているように見えるが、階段そのものは樹木の一部であり、枝とかが変形したものだ。
登り終えると、ドアが一枚見えた。
その中にドクターの部屋がある。
コンコン
ドアをノックした。
「ドクターいるかー」
部屋の中に呼びかけたが返事は無かった。いつも部屋にいるはずのドクターが珍しく部屋を空けていた。
仕方がないのでしばらく部屋の中で待つことにしよう。
そう思っていたけど、一人でこの部屋にいたことは今までないな。
少しの間見て回ろう。
ドクターはいつもよくわからない機械を作っている。用途がわかるものなら触っても大丈夫だと言っていた。
そんな事言われても、あまり機械に興味は無い。
そうしてよくわからないものたちを流し目で見ていると、壁に溝があることに気がついた。
今までよく見てきたわけじゃないが、こんなものは今までにみたことない。
溝に手を掛けてみるとゴロゴロと音が鳴りながら横にスライドした。
中を覗くと部屋があった。
「こんな所に隠し部屋があったとは知らなかった」
部屋の奥に光のサークルが見えた。
いつも興味が湧くものなんてそうそう無いものだがこれには惹かれるところがあった。
「この光の輪はなんだ?」
興味津々でサークルに触れるとサークルの中央を起点に穴が開いた。
そしてサークルに体重をかけていた俺はバランスを失い吸い込まれかのように、底の見えない大穴の中に落ちていった。