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探求者の記録簿(メモリーログ)  作者: Liis
保守協会の謀略
59/109

カジノその2

 黒服「少し待て、今から磁気チェックをする」

 手のひらサイズの機械をトークンに近づけた。

 ピーピーピー

 黒服「コイツは黒だ。ディーラーを裏に連れていけ」

 クリスタを押さえつけていた黒服たちはディーラーを睨んでから拘束して別室に連れて行った。

 ディーラー「私はまだ消えたくない」

 別室に押されて入った。

 黒服さん「先ほどはしつれいしました。勝負の成果のディーラーの財産すべてと、お詫びの品としてVIPルームの入室カードを差し上げます。どうぞお受け取りください」

 台車で一般カジノでは使われない色のチップが山のように積まれて運ばれてきた。

 黒服さん「この特殊チップは一つで10000チップとなっています」

 ここから見える限りは、10000枚は軽く越えている。約10億チップ以上。

 現金にすると1000億マネー。

 ここでしか使うことができないが一気に莫大な、そして使い切れない量の金。末世代までなくならないような安心感。

 クリスタ「こんなにもらっていいの」

 クリスタの手がプルプル震えている。

 驚きを隠せなかった。

 あのディーラーがこんなに財産を持っていたとは考えもしなかった。

 アルス「自分のすべてを賭けて得た成果だ。すべてクリスタの物だ」

 バイブル「その成果をどのように使うのもお嬢さんの自由だが、全額を現金に変えるのはやめておけ。カジノの中は安全は保障されてるが外にでると、ろくでなしに襲われる可能性がある」

 クリスタ「黒服さんに頼みたいことがあるんだ」

 黒服さん「どのような用件でしょうか?」

 クリスタ「このチップの山を現金ではなく物に変えたいんだけど、一番小さくするには何に変えるのがいいと思うの?」

 黒服さん「宝石などがよろしいでしょう」

 クリスタ「ちなみにどれぐらいの重さになるかな」

 黒服さん「25Mgぐらいになります」

 バイブル「交換はやめておけ、今回の目的は裏の世界を見ることだ」

 クリスタ「そうだったよ、黒服さんあと2枚VIPカードくれるかな」

 黒服さんは懐から2枚カードを取り出した。

 クリスタ「アルスとバイブルさんも一緒に行こうよ」


 ~VIPルーム~

 先ほどのカジノとは違い、人が少ない。

 バイブル「まさかここに入れるとは夢にも見なかった」

 周囲を見渡すといかにも富豪のような佇まいの人々がいた。

 富豪A「おやおや、3人も新入りがくるとは」

 富豪B「しばらくの暇つぶしに参加してもらえますな」

 クリスタ「いいよ、それでやる勝負は何かな」

 クリスタはもうここに慣れたようだ。

 今更だが、一度もギャンブルをしてないぞ俺は。

 アルス「あれは何だ?」

 部屋の奥に大きな機械がおいてあった。

 全体が透明な板で覆われた機械の上に大量のトークンが並ぶように置いてあった。

 富豪A「若人よ、あれに興味があるのかい?」

 黒服さん「あちらにございますのはプッシャーゲームと呼ばれる物でございます。トークンを物理的に使ってプレイする大変珍しいものでございます。

 この台の特徴は、一般的なプッシャーゲームとは異なり様々な仕掛けが用意されております。本日のJPジャックポットは投入数の1200倍となっております。

 ただし、プレイには守っていただくお決まりがございまして、1つ目は過剰な振動及び台を揺らすなどの行為は禁止となります。2つ目は指定された物以外の物の投入は禁止。発覚次第にVIPカードの没収と退場を強制的に執行します。3つ目は一度でも席を立ち上がると投入数がリセットされます。プレイをなさりますなら私共にお声を掛けてからのプレイをお願い致します。

 それとまだお伝えしていないことがございます。この部屋のギャンブルは全てVIPカードに入金されたマネーでしかプレイできません。

 これは規則なのでご了承ください」

 定額ではなく、倍率でJPジャックポットが決まるのは異常だ。

 当たりを起こすだけで、運営が出来なくなるリスクがあるのだ。

 やってもいいと思えたが出来ない。

 なにせ、俺は今文無しだがらだ。

 50枚あったトークン全部をあっちの部屋に置いてきてしまったのだ。あんな危ない台に置いてきたものは触りたくない。

 クリスタ「アルスがやりたいなら、半分ぐらいならあげることができるよ」

 クリスタの所有チップは約10億、その半分の5億チップを譲り受けた。

 バイブル「いくらお互いに知っているからといっても、簡単に渡すのは良くない。金は人を狂わせる力を持っている。俺はこの力をMPと呼んでいる」

 MPとは限られた人しか知らない未知の力の事だ。バイブルのいうMPと俺の知っているMPは同じものかどうかは分からない。


 プレイする前に台を改めて観察した。

 カードリーダーと数字と←→のボタンの交換機と台繋がっていてトークンはさっきの部屋の物より大きく、レートは100000マネー=1トークンという半端ではない。交換したら総枚数は500000トークン。

 台には、投入口が4つ。

 上から落ちる穴は2つ。

 横から直接場所を決めて入れる穴が2つだ。

 上からの場合は落下中にボックスの中を通過したらカウントが1溜まり、50溜まったらJPジャックポットチャンス。

 横からの場合はある程度自由にトークンを投入できる。

 なお、どちらにしても最終的には前にある大穴に落ちる。ただし排出はなしで、100トークン事にカウントが10溜まる。

 50溜まるとJPジャックポットチャンスだが内容はポケットが49あるルーレット盤に50個の球を入れて、1個だけの黒色の球が入らなければ12倍。継続JPジャックポットチャンスはポケットが7に減り、今度は5個だけある銀色の球を少なくとも1個入れると120倍。ただし、黒色の球が入ったら無効。更に継続JPジャックポットチャンスはポケットが5つとなり先程入った銀色の球の数だけ金色の球が入れられる。このルーレットは特殊で、4つの穴に入ってもそこに留まらずルーレットから排出される。唯一の当たり穴に入ると1200倍だ。

 JPジャックポットを考えるのならば、大量に投入した後に抽選すれば莫大な金額が手に入る。だが、抽選回数が減って当たる可能性も少なくなる。

 リスクを背負うほどにリターンが大きい。これがMPなのか。確かに人を狂わせる。恐ろしい力だ。

 よしやろう。バイブルが言うにはカジノで勝負をすると、世の中の裏をマネーリスクだけでみることができる。

 アルス「黒服さんこれをやらせてくれ」

 黒服さん「かしこまりました」

 クリスタのバイブルは離れて見ていた。

 クリスタ「当たると思うあれ?」

 バイブル「あれは昔あったとされるホッパーのないピンボールゲームのようだ。なら当たりは出てこないだろう」


 マネーの入ったVIPカードを差し込んでとりあえず1000トークンとマネーを交換した。

 手始めに上に20枚投入、ピンにぶつかっては落ちていく。ボックスには入らなかった。続けて投入、80枚ほど入れてボックスを通過したのは2枚。大穴に落ちたのは10枚。

今度は横穴から流し込んだ。さっきとは違い、トークンが重なることはあまりなく、50枚投入して、落ちたのは僅か8枚。合計18枚。100にはまるで届かない。まずはJPジャックポットチャンスに参加しなくてはいけない。

 思い切って上に200枚連続投入。

 ジャラジャラ

 金属がこすれあう音がする。

 35枚ボックスを通過。

 上投入のトークンの多くは下の稼働台のトークンに重なるように落ちた。そして大穴には20枚。合計38まい

 更に、100枚上から投入して5カウント。総カウント47。

 アルス「思ったよりカウントが溜まらないな」

 黒服さん「プレイを継続しますか?」

 アルス「いいや、続行だ」

 稼動台の下の場所に自分で大量投入したトークンが積み重なっている。それを落とす為に横穴に100枚投入。合計投入500枚。

 ジャラジャラジャラ

 運良く40枚落ちて合計排出78枚

 アルス「横穴は割にあわないな」

 一向にカウントが溜まらない。

 もしかして抽選にはいけないのか?

 そう思っていると台に異変が起きた。

 ウィーン

 バーが出現して盛られていたトークンの山を押し倒して大穴に移動した。トークンのいくつかはバーによって大穴に落ちた。

 これにより、合計排出114枚、カウントは57となりJPジャックポットチャンスの到来だ。

 円盤は回転する。そこに49の球が投入。そしてポケットにはまる。7つはまった後に黒球投入。

 運に任せるか?

 機械に運なんて物はない、全て決められているのだ。着々とはまって最後の一つだけだ。

 ポトン

 回転が止まった。

 入ったのは白、当たりだ。

 黒服さん「続行しますか?」

 今なら12倍の7000枚。

 アルス「いや、やめておく。次にくるときは最後までいかせてもらう」

 黒服さん「かしこまりました。換金を開始します。7500トークンですので7.5億シェルターマネーとなります。全額カードに入金しまして、合計506.5億マネーとなります」

 富豪A「若者の割には欲がないな」

 富豪B「お嬢さんから貰った金では欲が出せないのだろう」

 財産が増えた。お金すら見たことのない状態から富豪になった。だけど違和感を感じる。

 カジノの関係者が一切嫌な顔をする事もなく無表情のままなのだ。カジノからしたら嫌な客のはずなのだ。

 

 クリスタ「意外に当たり物何だね」

 バイブル「当たり日だったらしい」

 クリスタ「当たり日ってなに?」

 バイブル「機械のギャンブルは全て裏で制御されている。カジノ側が当たらないようにも設定できる」

 クリスタ「それってずるなんじゃない?」

 バイブル「カジノを仕切っているのは法ではないオーナーだ。オーナーがルールを決める。だから、イカサマなんてものはない。更にここはVIPルームだから平均的意識によるルールの改変が出来ない」

 クリスタ「人が少なければ不正ができるなんて、意外な裏があるものだね」

 アルス「クリスタ、俺はもうやめるけどクリスタはどうするんだ?」

 クリスタ「仲間と合流しよう」

 こうしてカジノを離れて仲間のもとに向かった。

途中で力つきたため、話が急に終わっています。

次話は仲間の話です。

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