カジノその1
確かに金は重要だが大量に必要ではない。そもそもどういったものが店売っているのか知らない。今までにみたことある店はあのバーとこのカジノだけだ。
アルス「この金を使うとなにが手にはいるんだ?」
バイブル「面白いことを訊くなー。金は物の価値を物体で表したものだ。この世界の誰かが売ると言ったものであるならば基本的に何でも手に入る」
金を多く持っていればより多くの欲しいものが手に入る。俺の欲しいものとは経験を積んで手に入れた知識なのだが金を使えば知識だけが手に入る。
それはダメだ。過去の過ちを繰り返してしまう。
クリスタ「お金が集まったら、お金を私は村の為に使おうと思う」
クリスタは俺とは違い、自分以外のことを考えられる。人として俺よりもしっかりしている。流石は次期村長だ。
アルス「俺も村の為に寄付しよう。俺は機械のギャンブルをしようと思う。俺はドクターの息子だ。機械とかをコントロールする事はできるはずだ」
クリスタ「私は機械はさっぱりわからないからディーラー勝負をしようと思う」
俺は50トークンにクリスタは10チップに交換した。
俺はまず機械を見て回った。
7の印を合わせる物や、中にタイミング良くチップを流し込む物など色々あったかかった。その中で興味がすすられたものがあった。そのゲームは3種類のマークを3すくみに従って出し合うゲーム。人はそれをじゃんけんと呼ぶ。
バイブル「まさかそんなしょぼい物をやるのか」
アルス「経験が無い以上は一番勝ちやすい物を選ぶ3分の1の確率で当たるのならやりやすい」
バイブル「コイツはやめておけ、確率は確かにその通りだが、ルーレットならほぼ2分の1だ。こっちをやる方がマシだ」
クリスタ「なら、私がルーレットをやるよ」
クリスタはディーラーの方に行って勝負を仕掛けた。
クリスタ「赤に3チップ」
ディーラー「よろしいですか?」
クリスタ「さあ始めて」
回転する円盤に小さな鉄球が投入された。鉄球が周囲を周回する。段々と勢いを失ってポケットに入った。
入った場所は黒13。不幸の数だ。
バイブル「惜しかったな」
クリスタは下を向いている、よっぽど悔しかった。だろう。
クリスタ「もう一度赤に3チップ」
ディーラー「では再開しましょう」
鉄球がすくい出されてもう一度投入。
そして動きが留まってポケットに入れられた。
ディーラー「緑00」
バイブル「もうそろそろやめたらどうだ」
クリスタ「もう潮時かな」
ディーラー「お帰りですか、また機会があればまた私とゲームをしましょう」
クリスタ「ゲームはもうしないよ。何せイカサマをされたからね」
ディーラー「お客様冗談はおやめください」
クリスタ「ご丁寧に台に細工をするなんて」
バイブル「早速裏に手を出すとはなかなかだな」
クリスタ「まずは1回目と別の鉄球と別の物を使ったこと、反射が全く違うからバレバレ。次に台が平行ではない。何よりも台がイカサマだらけ、ポケットのピッチはバラバラで円盤の所々の塗料は同じ色の別物を使っている、一番酷いのは鉄球を入れるタイミングが違う2~3秒程度じゃなく意図的にずらされている」
ディーラー「お客様の勘違いでしょう。これ以上の迷惑行為は強制退出してもらいます」
男は指を鳴らすと10人ばかりの黒服が周囲を囲んだ。
クリスタ「それで脅しのつもり」
ディーラー「いえいえ当カジノは至って公平。それとプレイをしないのなら今すぐ退出していただきます」
黒服の1人がクリスタの肩に手をおいた。
クリスタ「なにいってるの、今は勝負中。どちらかがカジノから追い出されるかの賭け。ここのルールに従って、私は全部のチップを賭ける」
ディーラー「そのような勝負を引き受けることはできません」
クリスタ「ねえ黒服さん、ディーラーは支払いができる限りは絶対に勝負を投げ出せないそのはずだよね」
黒服さん「いかにも、客がチップを出せる限り、勝負を引き受けなければならない。
ゲーム内容は変更だ。今からこのゲーム内容はイカサマを証明するものだ。賭けるものは双方の全財産だ」
ディーラー「待ってください。賭ける数が違いすぎる。これでは余りにも不平等だと思うのですが」
黒服さん「なにいってるんだ。イカサマなどをしていないのなら、恐れることはない。まさかイカサマなどをしていたりはしていないだろうな」
あのディーラーは間違いなくイカサマをしているのだが証明なんてできるのか。
黒服さん「別のルーレット台を使おう。そこならばイカサマは出来ない。鉄球は私が入れよう。それぞれの平均値を比べて極端な誤算あるいは細工を確認したらプレイヤーの勝ちだ」
黒服たちが台を調べた。
黒服さん「調査の結果は全く同じで細工などは発見されなかった」
ディーラー「お帰り頂こうか。財産すべてを置いていって貰おうか所持品すべてをな。黒服たちはクリスタの体を数人で抑えた。そして服を掴んだ。
クリスタ「やめて、やめて、やめて、やめてー。アルス助けてよう」
バイブル「全財産を賭けたんだ。勝負の結果が覆らない限り、お前の彼女は助からない」
どうしてだ?明らかなイカサマなのにばれていない。
クリスタの言ったものではイカサマの証明とは言えないのだろうか。
考えるんだ明らかなイカサマの証拠を、見つけるんだ完全なるイカサマの証拠を。そういえば2戦目の時の鉄球の動きは異常だった。急に回転が停止して真っ直ぐポケットに入った。
ここが鍵となるはずだ。
鉄球をコントロールするにはどうすればいいのか、磁石なら動きをコントロールできるが、黒服は調べてもそのようなものはなかった。待てよ、黒服が調べたのはルール台ではない、ルーレット盤だ。だが木製の台のどこに仕掛けたがあるんだ?
みる限りはどこにもそれらしい物は見えない。そうだ、見えないのだ。さっきの仮説は間違ってはいないのだ。磁石は使われている。磁力を調整できる磁石は俺の知る限りは電磁石というものがある。一瞬だけ強力な力を出すにはコンデンサが必要だ。回転する鉄球を留めるほどの物ならばかなりの大きさの物が必要だ。あの台の中に隠しているのだろう。
でもいつスイッチを押したんだ?
台にはスイッチはついていない。
もしや無線なのか。でもスイッチを持ち歩くのはリスクが高い。
だがこの方法ならばリスクは低い。
黒服さん「おい何をしている?」
アルス「すみません、トークンがルーレット盤の中に入ってしまって」
第一段クリア。
アルス「ディーラーさんは勝負を受けるときにつま先を床にぶつけますね」
ディーラー「な な なにいってるのでしょうか?
そ そ そんなことはありません」
黒服さん「ディーラーよ今すぐ靴を脱げ」
ディーラー「しかし」
額から汗がタラタラ流れている。
予想的中だ。
黒服さん「これは」
靴の中から小さな装置が出てきた。
黒服さん「押すぞ」
カチッ
パァン
押した瞬間にルーレットの方で大きな音がした。
トークンの材質は金属だがら磁力によって引きつけられる。
あえてルーレット盤に1枚ずつ重ねて置いたのだ。
黒服さん「トークンが積み重なっている」
アルス「これこそがイカサマの証拠だ」