聖霊人にまつわるドラマ
神殿には色々な部屋がある。
あくまでも土地神として祀られていたため祭壇なるものがここにはある。
?「場所は祭壇の上がいいだろう」
両手に聖霊獣の一部を抱きかかえて祭壇を上り足元に彼女に取って大切な彼を置いた。
ガーデ「早く始めて、時間が勿体ないから」
?「言い忘れたことがある」
ガーデ「なに?」
?「僕は聖霊について詳しくない。だけど、聖霊獣は巫女がいてはじめて存在できる。人が姿をイメージしなければ聖霊獣はただの物質のはずだ。そこに残された一部も同様にただの物質だ。でもそれは意思を持っている。ならば君が受け入れようとするだけで力を貸してくれるはずなのだ。君達の新たな姿を決めることができれば直ぐにでも変化が起きるはずだ」
青年は壁画に触りながら歌い出した。
命の流れ 自然の摂理
後世に託す この力
誰もが持っているこの力は
実物のない儚いもの
されど力は受け継がれていくもの
その正体は~♪
ガーデ「命」
命燃やし尽くしても受け継がれる物がここにある
形は決まっていないけど
手をのばせがそこにある
ガーデ「それこそが思い」
形なき今は 私はいったいだれなんだ
巡り巡り散ってく
そして命分け与え
誰も私を知らない
受け取った人も知らない
それこそが大自然の摂理
ガーデ「私はあなたの命そして思いを受け取ります」
言葉に動かされるように聖霊獣の一部から細い蔓のようなものが大量に延びていった。それがガーデの手首に絡みついた。そして、足や腰にも絡みついた。
ガーデ「うっ」
非常に弱い力でも数が増えると強力な力となる。人間は自然の前では無力。あまりの力にガーデは祭壇の上で横向にまるまるかのように倒れた。
アリウム「大丈夫?ガーデ」
私は今にも祭壇に上ろうとしたが、彼に止められた。
?「行ってはダメだ。ここで祭壇に行くと儀式が失敗してしまう」
アリウム「でもガーデの様子が」
?「あれは試練なんだ。人としての命を捨てて新しい命として生まれ変わる大切な試練なんだ。何人たりとも干渉をしてはいけない。乗り越えるのを待つしかない」
私は試練が終わるまでそこでみていることしかできなかった。
ガーデの全身が緑の蔓で覆われた。そのうえに草生えて更に身体を覆った。
私の目にはもうガーデが人間だとは見えなくなった。
芽がでて茎が伸びて葉は数を増やしてすくすくと成長して花が咲き誇った。
もう面影はそこには無くなっていた。
花はちって次の世代の種子だけが地面に落ちて残りは土に返った。
?「来るぞ、新たな姿の聖霊獣。いや聖霊人の誕生だ」
先ほどとはガーデのようすが少し違う。
もぞもぞと彼女だった物が蠢きだした。
まるで意思を持ってるかのようだ。
今度は根っこのような物がそれを覆った。10分ぐらいたった後にその根っこがもとあった場所に戻りやっと彼女が生まれ変わって帰ってきた。以前のガーデの面影を残してはいるのだが姿は大きく変わっていた。
身体の至る所から蔓が生えていて着ていた服の材質が葉っぱに置き換わっていて独特な魅力を醸し出していて、耳は普通の人より長く尖っていた。まるでエルフのようだ。
ガーデ「う~ん。なんだかとてもいい気分だよ」
?「ガーデのもとにいくがいい」
祭壇を私は駆け上った。
?「さて、僕はあれを回収してここを去るか。さようなら聖霊獣の巫女様たち」
アリウム「ガーデ調子はどう?」
ガーデ「誰だっけ~。うーん」
アリウム「私だよ。アリウムだよ」
ガーデ「アリウム アリウム 知っているようなしらないような。う~ん。
思い出した。聖霊獣の巫女のアリウム。あれ、私は誰だろう」
それを気にガーデは天然系になってしまった。