聖霊獣にまつわるドラマ
フロル「あなたがアルカミクスチャーですかー。初めてフロル・リーフと申します。生の聖霊獣だー、可愛い。ねえねえ、さわっていい?」
(我はもうこりごりだ。我とアリウムは一心同体。アリウムに触れたということは我にも触れた事と同位。先程触れられたら時に我の力の一部がそなたに取り込まれた。ゆえに我の身体が縮んでしまった。エネルギーを吸い取るとはまさかガーデの子孫か?)
フロル「私は血を重んじないからわからないよ。ガーデってもしかして聖霊獣の巫女なのかなかな」
アリウム「ガーデは私と同じで聖霊獣に育てられて、聖霊と心を通わせることのできる数少ない人だった」
フロル「だった?」
アリウム「あれは遥か昔の話。
聖霊獣は地脈を司っていた。
水の聖霊獣は繁栄をもたらすが、自然の聖霊獣はどんどん力を自身に取り込んでいく。そして蓄えたエネルギーを生物が取り込めるように自然として周囲に広げる。一見するとこれも繁栄させているようだがそうではない。地中に溜まっている良質な栄養素を地上に汲み上げているのだ。聖霊獣が生物に施しを与えて、それ後でそれを返す。この関係がある限り何も問題が起きなかったのだ。しかし人間は持ち出したままなにもしなかった。もっと詳しくいうと、都市開発をして環境が悪化。自然は何もしない。干渉はしない。
時が流れるままに巨大都市が完成した。
名前はセンターパークという。
人々はどんどんセンターパークに移住していった。都市の近くには豊かな大自然があったため、食料には困ることがなかった。そして問題が起きた。
7割近くの土地の力がセンターパークに行ってしまった為に土地が痩せてしまったのだ。これを改善するために保守協会は聖霊獣を封印した。封印したことで聖霊獣に蓄積されていた力が開放されて土地が再び潤った。こうして世間一般的には保守協会の手によって諸悪の根源が倒されたとなっている。でもそれは違う!聖霊獣の封印には隠されたドラマがある」
~回想~
私の大切なアルカミクスチャーが封印されて悲しみに暮れているとき村人のある言葉が聞こえてきた。
村人A「聖霊獣が封印されてここも安泰だな」
なにも知らないのにひどいことをいう。
村人B「しー巫女様に聞こえるだろ」
村人A「今までこの村を絶対に逆らえない強大な支配していた極悪人だ。生かしてもらえるだけでありがたいと思ってもらわないと」
村人B「それもそうだな。ところでよう聖霊獣ってのはここ以外にもいるらしい、例えば近くの森とか」
村人A「あれは聖霊獣じゃなくて土地神だろ」
村人B「実はあれ、聖霊獣だったんだ。それで今度はあれを封印させるんだってな」
村人A「まじかよ。それは凄い」
他の聖霊獣も封印させるなんて酷い。
聖霊獣が居なくなるとその地域がどのようになるかを気がついていない。
何よりも私と同じ悲しみを同じ巫女に背負わせるわけにはいけない。
そう思って私は旅にでた。
旅は過酷だった。
箱入り娘同然の私にとって、日常的生活さえもままならなかった。
そして旅にでてたった5時間で森に迷ってそこで縮こまっていた。
アリウム「うう、助けてよー。アルカミクスチャー。アルカミクスチャー」
泣いている私に手を差しのばしてくれた人がいた。
その人こそ自然の巫女こと、ガーデ・ハード・クレイだった。
私にガーデと出会ってすぐに仲良くなった。
私は村であったことを包み隠すことなく伝えた。
ガーデ「この森にも保守協会がくるんだ」
アリウム「きっと聖霊獣を封印させられる。どうにかしないと」
ガーデ「私は別にかまわないよ。封印されても」
アリウム「どうして?ナチュルハードクレイと永遠の別れになってしまうのに」
ガーデ「そのことについて考えたんだけど、別れはいずれやってくる。巫女の後継者なんて存在しない。私が死んだら聖霊獣が消滅してしまう。でも封印をしたら、消滅することはない。それに、協会の人達が考えたら案にこんな娘一人が反対するなんて許される訳ないよ。例え反対しても結果は変わらない。それどころか私の命が奪われるかもしれない。自然の巫女だから誰よりも自然とは何か知っている。すべては自然の流れるのままに行動する」
ガーデは初めからこのことを受け入れていた。誰の話を聞いても根を曲げない強い意思を持っていた。いわれるがままに行動することしかできなかった私とは大きく違っていた。
(我がいない方が人々は幸せになれる。より多くの生き物たちが幸せなら我は我自体がどのようになろうともかまわない)ナチュルハードクレイも受け入れている。彼女たちに私は何をすることもできなかった。
そして数日後、奴らが森に現れた。
(ガーデそしてアリウムよ我は人々のために封印されに行く。もうあえなくなる。だから伝えるべきことは少しある。我は自然に従って消えるが、もしそれが過ちだったら我の身体の一部を使って自然を守ってくれ)
彼は自分の一部を神殿に隠したといった。それが私たちがナチュルハードクレイを見た最後の瞬間だった。
ナチュルハードクレイの蓄えたエネルギーが森を潤した。本当に封印されたようだ。
でも異変はすぐに起きた。森の至る所で地割れや干ばつが多発した。
アルカミクスチャーさえいれは干ばつはどうにかして解決できたが彼はもういない。そしてナチュルハードクレイもいない。この異変を解決することは出来ない。唯一残されたナチュルハードクレイの一部はまるで森を縮小したかのように今の現状を再現しているような姿だった。
ガーデ「どうしよう。このままでは森が砂漠と化してしまう」
アリウム「私にはどうすることもできない。聖霊獣と同じ力を持った存在なんていない。聖霊ならいるけどこんな時には役に立たない」
困り果てているときにある青年の声が聞こえた。
?「お困りのようだね。お嬢さん方」
ガーデ&アリウム「誰?」
?「僕は保守協会の……」
ガーデ「あなたたちのせいで森が大変なことに!」
?「勘違いしないでいただきたい。僕は確かに保守協会の人間だ。保守協会は本来今起きている戦争を止めるための協会だ。まさか戦争が起きている事を知らないのか?」
狭い空間でしか生きていない私たちに取って戦争が起きていること自体知らなかった。
ガーデ「でも、戦争と聖霊獣は一切関係ないでしょ」
?「そうとは言えない理由があるんだ。世の中では魔術 呪術 霊術 神術 陰術 陽術 奇術 体術など色々な術がある。とあるカルト教会が聖霊獣を分析して、この世のことわりというものがあることに気がついた。この発見が戦争の発端となった。この世のことわりとはつまりは世界のルールのことだ。多くの人が無意識で従っているルールだ。それと聖霊獣にはそのことわりに触れることができ、物理的にあり得ないことをする事ができる。
それを人間が行うには何をすればいいのかを発見したのだ。
それの方法は僕は知らないが、ことわりに触れた者の中には道を踏み外す者もいた。道を踏み外すと人ではない何か別のものとなって強大な力とことわりに触れていない者を道を踏み外す者にする力を持つ。
どんどんと増え続けるまるでゾンビのような人をこれ以上増やさないために手段を選ばずに聖霊獣を封印してきた。だけど僕は気がついた。世界を守るためにやってる行動のせいで世界が段々とダメにしていくそんなのを続ける訳にはいけない。そのために力を貸してほしい。二人の巫女様」
彼は自分の所属する協会のした行動によって起きた問題を何とかして解決して世界を正常化したいといったのだ。
アリウム「でも、どうやって?」
?「そこにある聖霊獣の置き土産を使うんだ。自然の本質は後世に託すことだ。なら聖霊獣の一部も我々後世に残されたものだ。今を生きる我々がやることは思いを受け継ぐこと。これを受け継ぐべき人は聖霊獣をよく知っている人つまりはガーデ、君だ」
ガーデ「でもこんなものをどう使っても聖霊獣の代わりにはならない」
?「君はなぜ巫女が必要なのか考えたことはあるか?」
ガーデ「聖霊獣の身体の維持と力の安定化のため」
?「聖霊獣と巫女二人が揃って初めて意味を成す。ならその二人が一人になることができるのならそれは聖霊獣を超えた存在もしくは人ではない何かになる」
ガーデ「私とナチュルハードクレイが一つにそんなことが可能なのか」
?「聖霊獣にはこの世のことわりにふれることができる。絶対に有り得ないことを実現させる。無理にやれとは言わないがもしこの森を守りたいのならやってくれ」
ガーデは一切の迷いがなかった。
ガーデ「私やるよ。例え人間じゃなくなっても、私とナチュルハードクレイの思い出のこの森を守るために」
?「では、儀式を始めよう」
謎の青年の正体はまだ教えることはできませんが、今までの話に出てきたことがあります。