クレイジーガール
バイブルが言っていたあそこの娘とは一体どのような人なんだ。それと聖霊人について知っていた。今それは有り得ないはずだ。
歴史を辿ってもそのような人は今を除いて存在しない。疑わしいところは色々とあるが、ミチュールさんの古くからの知り合いだから危ない人じゃ無いだろう。
それはそれとして俺たちはさっきからシェルター内を進んでいるのだが、ずっと同じような入り口しか見えない。間違いなく目的地に近づいているのだが実感が持てない。
それもそのはずだ、ここはシェルターなのだ。シェルターに地下にある為、地上のように自由な造りにする事ができないからである。(あくまで地上と比べてだが)
だからなるべく同じパーツで造れるようにして修理をしやすくしているのだ。
バイブルの足が止まった。
バイブル「ここにその娘がいる」
アリウム「ほうほうここが娘さんの部屋なんだー。なんかこう懐かしい物があるというかなんというか」
窓を覗くと古文書や古代文明の置物やお着物がゴロゴロとおいてあった。その中にひときわ大きな塊が見えた。少し動いている。あれは人か?
バイブル「入るぞ」
ドアを開けると物に埋もれた一人の女の子がいた。
?「だれ~こんな時間に訪ねてくる人は」
バイブル「俺だ。情報屋のバイブルだ。おまえさんに合わせたい人がいる。先ずは姿を見せてほしい」
ゴソゴソと音を鳴らしながら体をだした。その姿は非常に珍しい緑色の髪を持っていた。アリウムはその姿を見て言葉を放った。
アリウム「ガーデじゃないの。久しぶりー。昔から姿が変わっていないなんて君もまだ巫女をやってるんだねー」
バイブル「違うこいつの名前は」
フロル「私は~ガーデじゃなくて、フロル・リーフっていうの。とこでこの人は誰かな」
バイブル「こいつは、遺跡の専門家のアリウムだ」
アリウム「さっきから肩書きが安定しないんだけど」
バイブル「俺は色々な事に手を出しているんだよ」
フロルは話を聞いて目の色を変えてしゃべりだした。
フロル「ねえねえ、私がガーデに似ているって本当?
もし本当ならその人について教えてくれるかなかな。それに遺跡の専門家って本当?本当なら教えてくれるかなかな。あーこんなに興味に思える人がいるなんて、もしかしてこれが古文書で読んだGLって奴なのかな。禁断の恋愛。キャー火照ってきちゃった。お姉さんってお呼びしてもよろしいですか」
取り乱したかのようにいや、狂っているかのようにしゃべりだした。
アリウム「ちょっと落ち着いてよ。それに遺跡の専門家でも何でもなく、ただ昔その時代を過ごしていただけなのにテンションが上がるなんて君も変わってるねー」
フロル「時代を過ごした?」
アリウム「そう、ただその時代を巫女として過ごしただけ」
フロル「マジモンの巫女なんていたんだー。古文書の中にだけでてくるファンタジーのキャラクターだと思っていたよ。そういえばまだ顔を見せてもらってなかったよ。見せて見せて」
フロルがアリウムを押し倒した。
アリウム「ちょっとなにするの」
フロル「さあさあ、私に全てを見せて見せて。そしてさらけ出して」
アリウム「いやー。ハック助けて」
アリウムは目線を送ったが、ハックは後ろを見たままこっちを見ない。
ハック「すまない。俺には女性同士の事をどうにかすることができない。何より、女性に手を出すことは出来ない。何故なら紳士だからな」
アリウム「こんな時だけカッコつけないでよー」
アリウムが他の人に目線を送るが皆無言で部屋を後にした。
アリウム「ちょっとみんなーどこ行くのー」
フロル「さあさあ、お楽しみの時間だよー。はあはあ。暴れないでねー」
アリウム「アルカミクスチャー助けてよう」最後の希望を自分のよりしろにたくした。
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だが返事がない。
フロル「他には誰もいないよ」
アリウム「ど どうしてー」
フロルがアリウムのローブを無理やり脱がした。
アリウム「グスン。グスン」
フロル「これは一体?」
知っている人にしか見せなかった聖霊人としての姿が見られた。
人ではない耳に尻尾、絶対に嫌われるに決まっている。
アリウム「気持ち悪いよね。こんな姿」
フロル「きれいな耳」
意外な返答だった。
まだあったばっかり人なのに受け入れてもらえた。
フロル「まるで古文書に載っていた水の聖霊獣のような耳だね。もしかしてあれあなたなの?」
アリウム「多分それはアルカミクスチャーだと思う」
フロル「さっきも言ってたけど誰かな」
アリウム「アルカミクスチャーは水の聖霊獣でもあり、私のよりしろでもある大切な聖霊なの」
フロル「それでその身体なんだ」
アリウム「分かったなら退いてよ」
フロル「ごめんごめん」
欲望にまみれた両手が離された。
その時やっとアルカミクスチャーが現れた。
(やっとでることができたぞ。待たせたな)
アリウム「遅いよ、アルカミクスチャー。それにしてもどうして出てこなかったの?それにだいぶ小さくなって」
普段のアルカミクスチャーは水龍の姿をしていて身体に巻き付けるぐらいの大きさなのに今の大きさは小犬程しかない。
アルカミクスチャーとは何者かは、14部から18部を読むとより深く知ることが出来るかもしれません。