呪縛とイメージ
チノ遺跡の話の続きとなっています。
アルスが巫女と話をします。
アルス「母さんは昔から巫女をしているのか?」
巫女「ずっと昔からしてるの。それもアランが産まれるよりもかなり前、アリウムよりも前のハテノ村ができたと同時期に巫女を始めたの」
アルス「つまり、旧文明時代よりも前から巫女をしているのか一体年齢はいくつなんだ」
巫女「アルスと同い歳なの」
アルス「いやいや、実の息子と歳が一緒なわけないだろ」
巫女「10年そこら前にアルスは死んだの、その命を私の命を使って生き返らせたの。結果として私が死んだ後にアルスのMPでクリスタの体の情報を元に自身を再構成したの。つまりは同時に生き返ったの。命が宿り体が作られてそして産まれたの」
アルス「2回目の人生を歩んでいるというわけなのか。もしかして!」
青年の脳裏に思考が巡った。
アルス「firstlibrary 始めの図書館。
本は誰かが書き記したもの。
生きてきた記録そのもの。
意味がわかった。
一度目の人生の記録つまり前世の記憶
でも中身がなかった」
巫女「私が記憶を省いたの。あの時の本の状態はひどかったの。中は全て真っ黒そして呪われていたの。まるでネクロノミコンのように」
アルス「一冊の本にアカシックレコードが全て記されていた。隙間なく敷き詰められているように誰も読むことができない。知識ではない全くの別物になっていた。暴走していた理由はこれか。なら暴走のもとのアカシックの知識は一体どこにいったんだ?」
巫女「アカシックは私が引き受けているの。これを見るの」
巫女は袖をまくった。
腕には何かが巻き付いるような黒色の模様が体の至る所にあった。
巫女「呪縛は全て引き受けているの」
幼い身体を縛りつけているように見えて非常に艶めかしい。
いけないいけない、目の前にいるのは母親だぞ。その様なことを思ってはいけない。
巫女「この呪縛も昔と比べるとだいぶ弱まったの。あの頃は身体の至る所にこれがあって苦労したの。記録とは人の生きてきた証。その時の思いそのものなの。全てが善意ではなく、悪意の塊かものしれないの。悪意を受け入れることは容易ではなく、悪意に呑み込まれることだってあるの。昔のアルスなら悪意に呑み込まれていたの。
今は悪意を弾く事ができるの。
善意と悪意は立場によって入れ替わり、それを見分ける方法は存在しないの。だから知識を知るだけじゃなく、自分で作り出したり、見いだしたりする事が大事なの」
アカシックレコードそれは世界の記録。
昔使いすぎた結果今のような状態に至る。記録にのめりこんで自分自身を見失った。この力は今は使えなくなった。便利な力だが人を狂わせる。うまく使いこなすことは今の俺にはできない。
巫女「アカシックレコードを使うには、全てを受け入れるのではなく、自分で考えて本当に何が知りたいのかを考えるの。それと遺跡のリンゴについて伝えるの」
アルス「暴走の原因だったな」
巫女「リンゴは知識の果実。一口かじるとなんでも知ることができる。そのまま食べるのは危険すぎるの。だからこれを生み出したの」
小さめのボトルに黄金色の錠剤のような物が入った物を取り出して見せた。
巫女「アルスがアカシックレコードを使うにはリンゴが必要なの。でも力が強すぎるの。だから適度な強さで力が使えるようにこの薬を生み出したの。使ってみるの」
俺は何一つ疑うことなく一錠口に運んだ。
アルス「懐かしい味だ」
巫女「一錠につき、一つの事を知ることができるの」
アルス「今知りたい事それは旅をする事ができるかどうか?」
頭の中にイメージが浮かんだ。
~イメージ~
ミチュール「うっ うわーっ」
テクノ「いったいどうしたんですか?」
ハック「なんだか体調が優れないみたいだが」
ミチュール「やめて、やめてよー」
彼女は大泣きしている。
一体どういうことだ?
旅に出ることを進めた本人がこんな有り様になっている。
他に気がついた事は瞳に光が入っていない。まるで死んだ魚のような目だ。
ミチュール「これ以上酷いことしないでー」
~イメージ終了~
アルス「これはいったいなにがあったんだ?」
巫女から貰った薬を口にして見えたイメージ。
一体何なのか。それは少し後の話で次話からは旅にでます。