アルスのfirstlibrary
ようやく昔の怪我とは何か明かされます。
なぜ傷跡が無いのか。記憶が一部無いのか。
後は、テクノを説得するだけだ。
テクノはミチュールに会いに行ったはずだ。
ミチュールはいったいどこに行ったのか?
アルス「そういえば、テクノはどうしてミチュールに会いに行ったんだ?」
クリスタ「なに言っているの!ミチュールはテクノの母親でしょ」
知っているはずなのだがアルスは知らなかった。
テクノがアルスの従兄弟だということも、知っていて当然なのだがアルスはしらない。
アルス「いや、初耳だ」
クリスタ「あの時の後遺症が残ってるみたい」
アリウム「いつも気になっているから聞くけど、昔の怪我っていったいなにがあったのかなー」
ハック「俺も気になる。記憶を失うほどの怪我って尋常じゃない」
アルス「自分でも昔何があったのかしりたい教えてくれ」
クリスタ「あの事について言うわけにいかない」
ハロルド「ならワシが話そう」
話を聞いていたかのように扉を開いた。
クリスタ「ですが、おじいさま。あの事に関して伝える事は時がくるまで出来ないはず」
ハロルド「お前さんらは、村を出るのじゃろう。なら出て行く前に伝えないといけない。囲まれて安全な場所から危険な外に行くのなら教えないわけにはいかない。実は昔……」
~回想~
クリスタ「ねえねえアルス、ちょっと冒険してみない?」
アルス「冒険っていったいどこに行くんだい」
クリスタ「それはねー。夢世界!」
アルス「夢世界。お母さんの故郷の空間か。いってどうする?本でも読むのか?」
クリスタ「違う。リンゴを穫りにいこうよ」
アルス「リンゴなら俺の家にいっぱいなっているだろどうしてそんな遠い場所に行くんだ?」
クリスタ「おじいさまから聞いた話だと村の樹木は元は夢世界にあったものだとだからきっと美味しいに違いない」
アルス「いい加減な発想だな」
クリスタ「大丈夫、私の勘は当たる。断言する。なにせ、水晶で見えたんだから。クリスタの名前を信じてよ」
アルス「でもどうやって行くんだ。空間が違うというのに」
クリスタ「アルスはA・レコードを使えるからそれで行き方も調べて」
アルス「でも、A・レコードはあんまり多用しない方がいいとドクターが言っていたし」
クリスタ「大丈夫、きっと情報を見すぎて勉強を疎かにするなというような意味だから」
アルス「わかった。ちょっと待ってて」
アルスは目蓋を閉じて、その後口を開いた。
アルス「真実の名、アカシックレコード」
レコードの名前は、記録を司る。
そこにアカシックが加わると万物の記録があるとされるチノ遺跡に貯蔵される情報を遙かに越える量の情報をみることができる。
アルス「行き方がわかった。手を繋いでくれ」
クリスタ「これでいいかな?」
アルス「じゃあ、出発しよう」
アルスが指を少し鳴らすと、2人の姿が消えた。
アルス「着いたぞチノ遺跡に」
クリスタ「ここがチノ遺跡か、さっそくリンゴを捜そうよ」
アルス「またあれ使うから待ってくれ。
真実の名の下に!」
また力を使った。
アルス「場所は書物庫。禁断の果実を手にするなだと」
クリスタ「それだけ美味しいってことだよ」
アルス「意味が違うような気がする」
クリスタ「大丈夫だって全くアルスは心配性だな」
アルス「いやな予感がする。うっ」
クリスタ「どうかしたアルス」
アルス「ちょっと頭痛が」
クリスタ「そんなの放っておけば大丈夫早くいこうよ」
アルスはクリスタに手を引かれて遺跡の奥に入っていった。
アルス「あそこだ。書物庫があるのは」
クリスタ「誰か扉の前にいるよ」
?「そこをどけ。そして魔導書を我々保守協会によこせ」
ウィンダ「巫女様の居ないその間、書物庫を守るのが私の役目。絶対にここを通しません」
大人の集団と小さな子供。年はアルス達と近いようだ。
クリスタ「ねえ助けようよ」
アルス「でもどうすれば」
クリスタ「アルスはどんな術でも使えるんだよね。ならあの子を救ってよ。例えば、武器を奪うとかして」
アルス「武器を奪うなるほど。真実の名の下に」
輩の武器が全てこちらに集まった。
?「誰だ貴様ら、我ら保守協会に手を出してただですむと思うなよ。貴様の一族を全滅させてやる」
輩は隠し持っていた銃でアルスの足を撃ち抜いた。
アルス「くっ……」
クリスタ「アルスの足から血が」
アルス「大丈夫だこのぐらい」
クリスタ「でも、でも」
?「死ね糞餓鬼」
男が1人アルスに向かってきた。
アルス「餓鬼なのはそちらだ。餓えている鬼まさにお前の現状を現している。そんなに知識が欲しいならくれてやる。
真実の名の下に」
アルスは男にある術を掛けた。それは1つ五感強化だ。
つまり、肉体的負荷が急に大きくなり、足を地面につけるだけでも粉砕骨折をするかのようなげ激痛が男を襲う。
?「くっ……」
男は声を出すことすらできずに床に倒れて苦しんでいる。
男の相手をしているうちに、扉が解き放たれていた。
少女もグッタリとして扉の横に倒れていた。
足に弾が突き刺さっているアルスは真っ先に少女のもとに駆け寄った。
アルス「おい大丈夫か?」
ウィンダ「私の代わりに歴史を守ってください。それとリンゴを奴らに渡さないでください」
少女はこういった後気を失った。
?「流石世界最大の図書館。蔵書が半端なく多い」
?「噂では、常に増え続けているらしい」
アルス「お前達は罪のない人を傷つけた。絶対に許さない」
?「抜かせ。保守協会は絶対に正しい。正しい知識をより多くの人々に提供する。そうすればこの文明崩壊した世界を立て直すことができる。正義を全うする為には犠牲が付き物だ。子ども達よ、我ら保守協会の為の犠牲となってもらう」
アルス「そんな身勝手が許されるわけない。真実の名の下にそして守護者してお前らを歴史から抹殺する。こっちに来い奴らのレコード」
アルスが手をのばすと一冊の書物が本棚から抜けて飛び出した。
そしてつかむ。
アルス「へえ、こんな人生を歩んできたのか。お前には存在するだけの価値もない。消えてもらう」
アルスの様子がおかしい。
クリスタはやっと異変に気がついた。
さっきから力を使いまくっている。
それも前置きのどんな術なのかすら言っていない。
アルス「知恵の果実リンゴ。こちらに来い」
リンゴが引き寄せられるようにやってきた。
アルスがそのリンゴを一口かじった。
その後手を開いて強く握り締めた。
アルス「貴様の現実とのリンクは解除した。保守協会の連中よ。しかと見届けるがよい」
?「なにを馬鹿なことをほざいている。あれ体の感覚がおかしい。これはいったいなんだ」
男の体が少しずつ形を失っていく。
地面にボトボト、落ちていく。
だが落ちているものは体の一部ではない。一部を構成している物質だ。
男の体はアリジコクに飲み込まれるがのごとく分離していった。そして世界から存在が消えた。
?「なんだこいつは尋常じゃない」
?「まるで悪魔そのものだ」
?「我々ではどうすることもできない」
?「逃げるんだ!消させる前に」
アルス「逃がさない」
これは暴走している。A・レコードを使わせすぎて情報が逆流してアルスはA・レコードに操られている。
アルスが指を鳴らした。そしたら彼らが消滅した。今度は跡形もなく。
アルス「ハッハッハッハー」
クリスタはアルスの声が聞こえた。
本当の声が聞こえた。
アルス(アカシックレコードとのリングが切れない。体がいうことを効かない。頼む、俺を殺してくれ。クリスタを襲いだすその前に、人間でいられるうちに修羅になる前に」
クリスタはアルスの最後の声を聞いた。
クリスタ「わかったよアルス。私のせいでこんな目に遭わせてしまって、アルスの頼み聞き受けた」
クリスタは天井からぶら下がっている水晶のシャンデリアの近くまで急いで向かった。何とかして手を触れた。
クリスタ「友を守るために友を殺す。できるだけ早く、できるだけ優しく」
クリスタの瞳から涙がこぼれ落ちた。
クリスタ「真実の名の下に」
シャンデリアの形状が変化して、アルスめがけて落ちた。
アルス「ありがとう……」
一瞬だった。
命の灯火が消えたのは。
それと同時に光に包まれてハテノ村に戻った。
~回想終わり~
ハロルド「……これがアルスが受けた怪我だ」
アルス「ちょっと待った。俺はまだ生きているぞ」
ハロルド「実はお前は一度死んだ。厳密にはクリスタに殺された。どうやって生き返ったのか今から言う」
~続回想~
クリスタ「アルスねえアルス。目を開けてよ。いつものように私と一緒に遊ぼうよ。ねえってばアルス」
アルスの体を揺らしたが反応がない。
何度揺らしても反応がない。
クリスタはアルスを背負ってハロルドのもとに向かった。
クリスタ「おじいさま。アルスがアルス目を覚まさない」
ハロルド「アランを待てそれまで安静に」
アラン「ダメだ。死んでいる」
クリスタ「嘘、嘘でしょ」
ハロルド「アルスはお前に殺してくれと頼んだ。それに従ったただそれだけの話だ」
クリスタ「どうすれば生き返るの私何だってする」
アラン「それはできない。太古の昔から人の蘇生について研究されてきたが誰一人として成功していない。それに近いものはクローンやアンドロイドでも決して本人じゃない。似ているただそれだけのもの」
P「私の息子が死んでしまった。なぜ死んだんだ」
アランはアルスの手を掴んだ。
アラン「アカシックレコードに精神が飲み込まれている。これじゃあ意識を覚まさない。いや待てよ、生き返るかもしれない。間違いなく呪縛の負荷さえ軽減できれば」
P「私の最初で最後の大魔術使うしかないな」
アラン「でもあれを使ったらお前の命が」
P「大丈夫。クリスタ約束してくれるかな、今度はアルスを守り抜く。そう約束して」
クリスタ「もうアルスにムチャをさせない。命に代えても守る。死なせない。ころさせない」
P「では始めよう真実の名phoenix」
Pとアルスの体が炎に包まれた。
P「アルスの最初の人生の書物。いでよ、firstlibrary」
燃え盛る業火の中から、書物が現れた。
P「凄い情報量。アカシックレコードとリンゴを口にしただけのことがある。巨大な図書館のような情報量だ。
このまま情報を返すとまた暴走してしまう。少し代わりに背負おう。呪いを。そして私の命燃やし尽くして2人の命に再構築する」
業火によって2人の体は灰と化した。
だがまだ燃えている。
命の再構築が始まったのだ。
firstlibraryが開いた。
書き記された文字が宙に浮かんで、火の中に吸い込まれていく。本の文字が消えるまで。
白紙となった。
全てがまっさらにつまり新しく生まれたのだ。
そして炎が消えた。
中には幼い男の子と幼い女の子がいた。
少女が立ち上がり、口を開いた。
巫女「これでアルスが生き返ったの。でも記憶が所々抜けているの。完全には絶対戻らないの」
アラン「懐かしいなその姿。20年前ぐらい前の若い頃そっくりだ」
巫女「アランも頼んだのアルスのこと。私はいつまでもここにいることができいの。呪縛を代わりに引き受けているの。
それとこの世のことわりに手をふれてしまったの。今すぐ私は夢世界に帰らないといけないの。しばらくお別れなの。アルスが大きくなったら一緒にきてほしいの。」
そういって、Pこと巫女様は夢世界に消えていった。
~回想終わり~
ハロルド「これが昔あったことだ」
アルス「まさか巫女様の正体が俺の母親だったとは、似ていると思っていたけど本人だったとは」
ハック「完全に俺は蚊帳の外だな。夢世界ってどこだ?巫女様ってだれだ?」
ハロルド「お前さんら、今から夢世界に行けばよいじゃろう。実際にあって話せばよい。見ればよい。」