生きている鉱物
「まずは、俺がやる。少し離れておけ」
ハックが初めに挑戦するようだ。
「衝撃を与えなければいい。ならこうしてみよう」
大きな水晶にしがみついた。
「良い発想かな。でも、それじゃあだめなんだよね」
しがみついていた水晶が天井に取り込まれたいった。
「なんだ? この動きは」
ハックは危険を感じて手を離した。
「この水晶はある術がかかっていてね。奪おうとする者を襲うようになっているんだ。よく手を離したね、あのままだと体をえぐられていたよ。今度はアルスが挑戦したら」
ハックは失敗したが、俺は失敗するつもりはない。
よくよく考えると、別に天井の水晶じゃなくてもいい。地面にだってあるはずだ。
俺はポーチからスコップまたはシャベルと呼ばれる物を取り出した。
「アルスは採掘をするのかな、ならヒントを言っておく。それで掘り起こすのはいいけどその後どうするか考えておいたほうが良いかな」
その後は、勿論取り出すだけだ。
少し掘り進めると、カチンと音がなった。
「よし見つかった」
アルスは喜んでいたがハックとミチュールはその場を走って逃げ出した。
「おいどこ行くんだ?」
アルスの声に返答をする者は、いなかった。
「せっかく見つけたというのに」
地中の中からごく小さい音が聞こえた。
気のせいかもしれないが確かに聞こえた。
地中から小粒の水晶が飛び出した。
一瞬のことだが何とかよけた。
「ふうあぶない所だった」
コツンと後ろで音が響いた。
もしかしたらと思い後ろを見た瞬間水晶が襲ってきた。
「どうして逃げたんですかミチュールさん」
「流石にあれは対処できないよ。てっきりどうするのか考えていると思っていたけどまさかの能なしだったよ。アランの息子だと期待していたから残念かな」
「どういうことだ?」
「水晶は衝撃を受けるとその方向に発射される性質を持つこれは知ってるかな」
「知ってる、少し前に聞いた」
「その性質は地中の水晶でもおなじ、地面からも発射する。もし、それが天井や壁にぶつかったらどうなると思う?
ぶつかったら発射するこの流れが永遠に続く」
「止めるすべはあるんだよな」
「2つある。全ての水晶がはがれ落ちるかアルスが活動不可能になるこんな所かな」
一方そのアルスは
「どこだ、いったいどこから襲ってくるのだ」
どんどん増えていく脅威に怯えていた。
また後先考えずに行動してしまった。
今更止めることができない。
どうすれば助かるのか、考えていた。
いつもは何かあったときには夢世界に行って巫女様に助けを求めていた。
もし本当に自分から行くことが出来るのならば行くしかない。
アルスはポーチからfirstlibraryを取り出した。
「俺が思いつく限り、夢世界に行けば助かる。firstlibraryよ、俺をあそこに連れて行け」
目次のチノ遺跡の文字が輝きだした。
本に吸い込まれるように意識が遠のいた。