地下水脈
「ここが地下水脈だ。少しでも道を間違えると帰って来られなくなる」
地下水脈の中は闇に覆われていて何も見えなかった。
ドクターが俺のポーチの中から何かを取り出して天井に向けて投げつけた。
「だいぶ明るくなった。周りを見渡してごらん」
天井には多彩な色の鉱物が数え切れないほどあった。
天井だけではない、壁にも、そして足下にも光り輝いていた。
「ここにある鉱物は採集するな。洞窟が落盤してしまう。採集するなら奥の場所がいい。ついてきなさい」
足下に7色に光る水が溜まっている。
当たり前だが、ここは地下水脈なのだ。
「おい、いつまで歩くんだ」
ハックは苛立ちを感じ始めた。
それもそのはず、ボンベの残量が少なくなっているからだ。
「もう少し待て、じきに到着する」
歩き続けるとなぜかあるのかわからないが小さな家があった。あれは家には違いないが、他の言い方をするとシェルターその物だ。
「おや、珍しい。誰かが入っているようだ」
ドクターは冷静だが、俺達は疑問を感じていた。
このような場所に人が来ることは基本的に有り得ない。そもそも、水脈に入ることが出来ないのだ。
ドアのハンドルを左に回して入り口を解放した。
家の中には様々な形の鉱物の塊がゴロゴロ落ちていた。
「こんな所に人が来るなんて珍しいなー。一体誰が入ってきたのかなー」
声の主は女性のようだった。
「俺だよ。アランだよ、久しぶりだなミチュール姉さん」
「弟君じゃないか、久しぶりだねー。前に合った時よりもだいぶ老け込んだなー。
ちゃんとご飯食べているかな。姉さんは心配だよ」
部屋にいた女性は、ドクターに抱きついた。着ている服はドクターの白衣にかなり似ているパーカーを着ていた。
そんなことよりも興味深い事を言っていた。
姉さんだって、つまりは俺のおばさんだと言うことだ。
「ねえねえアラン後ろの青年達は誰なのかなー」
「大きなポーチを持っている方は俺の息子のアルスだ。そして隣にいるのがハック数ヶ月前からハテノ村にすんでいる住民だ」
「あんな村でもすむ人がいるんだなー」
「姉さん、ちょっと採集したいものがある。俺は……をアルス達は……を採取したい」
ドクターはゴニョゴニョミチュールの耳元で囁いた。
「息子の……ならいい場所知ってるよ。アランの……は見つかるとは思わないかな」
「そうか。アルス達を姉さんに任せる。俺は少し潜って探してくる。
アルス、しばらく別行動だ。
ミチュールさんに道案内をしてもらうから終わったらここに集合だ」
ドクターに家を出て水の中に飛び込んでいった。
「改めまして、私がアランの姉さんのミチュール・ヒューズ。私のことは気軽にミチュールと呼んでほしいかな」
「アルス・A・レコードです。よろしく」
「ハック・イノセント、ハックと呼んでくれ」
挨拶を終えた。
「ところで君たちはどうして……がほしいのかな」
「実は……」
「……と言うことだ」
「本当に変わってるね君達。ちょっと頼まれただけでこんなところにくるなんて、分かったついてきなさい」
「ボンベの空気がもうないぞ」
「大丈夫、このボンベは変わった機能が付いていてね、なんと空気さえあれば浄化して蓄えることができるんだ」
俺とハックはボンベのメモリを見た。
確かに元に戻っている。
「流石私が作っただけのことがあるかな」
「ミチュールはもしかして」
アルスは、薄々気づき始めていた。
「そう、私の弟子なんだ。アランは。
そんなことはおいておいてとっとと行くよ」
地下水脈内部
「君たちが欲しいのはなるべく大きな水晶だったね。ひびも傷もなにもない透き通る水晶。水脈内部には至る所に落ちているのじゃ駄目となるとあそこしかない」
連れてこられた場所には、槍のような形の水晶が天井からぶら下がっていた。狙いの物だ。
「入る前にみてほしいものがある」
ミチュールは落ちている水晶を天井のあれめがけて投げつけた。
すると、あの槍のような水晶がこちらの方に向かって落ちてきた。
まるで意識をもったかのように襲ってくる。ミチュールは腰から特殊な銃を取り出してあれを粉々に砕いた。
「ここの水晶は特殊でね、衝撃を受けると襲ってくる。襲われないようにするのは非常に難しい。方法は自分達で探してみてほしいかな。失敗したら体に風穴が空くから、もしもの時は助けるけど命は保証しないよ。それでもやるのかな」
「ああ」
「約束をした以上」
「途中で諦めることはしない」
「熱意は十分感じ取れた。
さあ君たちのやり方を見せてくれ」
ミチュールはドクター(アラン)の姉さんです。
血のつながりはありませんが実の兄弟のように仲がいいです。
変更
上のようにしようかと思っていたのですが、矛盾が生まれてしまった為実の姉弟にします。