聖霊獣復活の儀式
目が覚めた。
目の前には、どうやら正気を失ったクリスタがいた。
「アルスー起きたんだ、目覚めた時もたまらなく可愛い。」
いろいろな角度からカメラを構えて、撮ってきた。
魅了能力がここまで凄いものだとは知らなかった。
「そろそろ、止めてくれないか。」
「ごめんなさい、ちょっとやりすぎた。」
「あんまり撮るなよ、恥ずかしいから。」
カメラをどこから持ってきたのかは、わからないが、夢の中でいわれたことを思い出した。
accesssoulsだっけ、ポーチから取り出せるはずだ。
「本だ。水巫女の聖霊獣への思いを残した本を。」
手に感触があった。
ざらざらしている、きっとあの本だ。
取り出すと、あの本があった。
「クリスタ見てくれこれを。」
「なにかな、accesssouls?
中身は、恋愛小説かな。
アルスもこういうの好きなんだ。
ちょっと待って、これ儀式について書いてある。」
「この儀式をやって、封じられた聖霊獣を復活させるんだ。」
「でも、歌は、わかってるけど、舞の方は、記録に残っていなくてわからないよ。」
「舞なら踊れる、本人から教えてもらったから。」
「本人と言っても、何百年か前に死んだ人だよ。会えるわけがない。」
「霊媒で呼んでもらった。」
「誰に?」
「巫女様に。」
「巫女様ねー。わかった儀式の手伝いをしてあげる。」
「本当か。」
「ただし、おじいさまに相談してから。」
「もしかしてだけど、俺もか?」
「もちろん。」
「この格好でか?」
「せっかくセットしたんだから、おじいさまに見せないと。
ついでに、テクノにも見せよう。」
「勘弁してくれよ。」
「そんなこといわずに、行くよ。」
強引にクリスタの家につれてかれた。
「おじいさまいますかー。」
「クリスタか、どうした。」
「少し、みてもらいたいものがあるの。
アルスーこっちきて。」
「どうも。」
恥ずかしいのを我慢して前に体を進ませた。
「お前さんなんて姿しておるのじゃ。」
「これはクリスタに気を失っているうちに着させられたんだ。」
「服を見てある程度の事は把握した。
お前さんは復活の儀式をしたいんじゃな。舞は踊れるか?」
「もちろん、封印した本人から教えてもらった。このaccesssoulsに乗っている彼女に。」
「水巫女から教えてもらったのなら問題ない。
本来舞は女性がやるもののはずなんだが、お前さんは巫女の血を継いでおるから大丈夫じゃろ。」
「それじゃあ行ってくる。」
「ちょっと待ったアルス。
テクノにまだ会ってないでしょ。
テクノー下に降りてきて。」
上の階から物音が聞こえた。
「なんですか姉さん。」
寝起きの顔でテクノが降りてきた。
俺の姿を見て一言呟いた。
「可愛い。」
「」
言葉が出てこなかった。
魅了能力のせいで、この姉妹から、可愛がられている。
流石にこのままではダメだ。
男としての威厳が、尊厳が保てない。
なにもいわずに、家を去った。
「どこ行くのアルス。」
練習場に急いだ。
こんな事を終わらせるために、走り出した。
顔を隠すために。
例の場所についた。
「アルス、そんなに急がなくても、いいのに。」
「これより、儀式を執り行う。」
「ほんと急なんだから。」
「歌は任せた。」
「喜んで。」
アルスは舞を踊った、クリスタは歌を歌った。
♪
雨振る夜に晴れを待つ
何時でも
待ち続ける
100年1000年までででも
晴れの日を
何時でも
君を待つよ
雨雲の上 太陽が
大地を照らす
その光が
生き物たちを救いだす
光ある
明日ある
希望を持つよ
月明かりあるよ
空の上
みんな見える
太陽の影 空の歴史
雨模様 風に動かされ
無くなったよ
またくる頃は彼は居ない
どこを探しても
見つからない
なくした物を探しに行く
何をしても
見つけ出す
この思い忘れはしない
大切だよ
どんなにも
水溜まりの中別世界
覗き込めば
私がいる
あなたが居れば消えないよ
包み込んで守ってよ
儀式は終わった。
練習場に溜まっていた水は全て、穴に戻っていった。
そして水を出してきた扉が開いた。