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探求者の記録簿(メモリーログ)  作者: Liis
守護者の日々
19/109

復活の舞

クリスタがアルスによからぬ事をしている間のお話です。

 目が覚めたら見覚えのある場所にいた。

「ここはどこだ?」

 辺りを見渡すと遺跡がと気がついた。

 恐らくはチノ遺跡だろう。

「アルス、今日は自分から来てくれるなんて感激なの。」

 巫女様の声が近づいてきた。

「自分から来た覚えはないんだがな。

確か練習場の下の洞窟に潜って、それから。

ダメだ思い出せない。」

「どうしてこんな事になったの。

儀式衣装なんか着て不思議なの。」

「儀式衣装そんなバカな着ているわけ、なんだこれはー。」

 自分自身の姿を見て、仰天した。

 ふっかふっかの儀式衣装をなんと着ていた。

「どうしてこうなった?」

「どうしても何も、現実で着ていたからなの。」

 もう一回振り返ってみよう。

 確かこんな事があったはずだ。

 水中に潜ったらそこには、紋章がかかれた扉があった。

 開けようとしたら、水流によって、空高くまで撃ち出された。

 その後、クリスタに助けを求めた。

 意識があったのはここまでだ。

 クリスタは一体自分の体になにをしているのか分からない。

 いや、わからない方がいいかもしれない。

「鏡を貸すの。」

 渡された鏡をみるとどこからみても、男には見えない姿になっていた。

「これは、凄い。」

 自分の姿を見ていたら、鏡を巫女様に取り上げられた。

「あまり、姿を見ない方がいいの。

この衣装は巫女の血を引く物が着ると見る人を魅了してしまうの。」

 そう巫女様が言った。

「巫女様も見ていたら、危ないんじゃないのかな。」

「それは問題はないの、巫女が巫女に魅了されるわけないの。」

「ごもっともだ。」

 会話をしていると奥の方から声が聞こえた。

「巫女様どこに行かれましたか?」

「ウィンダここにいるの。」

 ヤバい、これはまた襲われるかもしれない。

 前回はfirstlibraryがあったおかげで事なきをえたのだが、今はそれを持っていない。

 便利なポーチもない。

 どうしようもない。

「こちらにおられましたか。

彼女は一体どちら様ですか。」

 よかった、気づかれていない。

「この人は、アル。」

 巫女様の口を塞いだ。

「名前なんて教えたらばれてしまうだろ。」

「心配することはないの。

ウィンダは君の名前は知らないの。」

「アル様でよろしいでしょうか。

アルはなぜ、儀式衣装をお召しになさっておられるのでしょうか?」

「それは………。」

「聖霊獣復活の儀式をやるためなの。」

 聖霊獣は何か分からないが口をそろえていった。

「そうですわ、儀式をやるためにここに来たのですわ。」

「左様ですか、儀式のやり方についての記述のある本を大急ぎでお持ちします。」

慌てるように、彼女は去っていった。

「少しいいか巫女様。」

「どうしたのアルス。」

「聖霊獣ってなんだ。」

「聖霊獣というのは、世の中にたくさんいるエネルギーを司る聖霊の上位ランクの存在の事なの。

常時動いていると、土地の地脈の力が吸い取られて、荒廃してしまうの。

そこで、先代の巫女様が封じ込めたの。

でも、封じ込めたらそれで問題が発生したの。

聖霊獣は自分の住処の周囲を守護する役目もあったの。

守護する者がいなくなったらどうなると思うの、滅びるの。」

 今、さりげなく、すごいことを言っていたような気がする。

 そう思っているうちに、彼女がやってきた。

「本を用意しました。」

「アルスこの本を見てみて。」

 本のタイトルは、accesssoulsだった。

 中身は昔いた人の日記が載っていた。

私は、彼のよき理解者であった。

ある時に、私は、村の住民たちから頼まれた。

彼を封じてくれと、私は尋ねた。

どうして、こんな事をしなくてはならないのかと、私は聞いた。

村人たちは、彼がいるせいで、この村は、発展しない。

彼を封じることは出来ない。

村人たちを止めることも出来ない。

そんな何も出来ない私に彼がこういった。

私を封じてくれ、そうすれば君は助かる。

だめだよそれでは、君を失うわけには行かない。

村人たちがやってきた。

早くそいつを封じろ、殺されたくなければ。

私は、封じ込める為の舞を踊った。

彼は最後に、私にこういった。

君が無事ならそれでいい。

彼は消えてしまった、いや彼を消してしまった。

それから、数日後に彼のいた遺跡が埋められた。

これで彼ともう会うことが出来ないだろう。

だが、私は待った。

彼が復活する時を待ち続けた。

命が燃え尽きるその時まで。


「なんて内容だ。村人のせいで、彼女は彼と別れたなんて。

もしかして、その彼ってまさか。」

「聖霊獣の事なの。」

 さっき潜った穴は、その聖霊獣の遺跡の道だったなんて、知らなかった。

「ウィンダちょっと頼みがあるの。」

「巫女様のためでしたらどのような頼みでも、お引き受けします。」

「今から、霊媒をするから、私達をあの部屋に連れて行って欲しいの。」

「わかりました。こちらです。」

 連れてかれた場所は、大きなダンスホールのようだった。

「巫女様、アル様どうか無事に。」

 そういって、彼女は扉を閉めた。

「アルス、今からこの本の持ち主を呼び出すの。少し、MPを分けてほしいの。」

 MPとはなにかわからないが、こう答えた。

「どうすればいい?」

 彼女は手を伸ばして、呟いた。

「手を繋いで欲しいの。」

 台の上に本を載せ、右手を重ね、左手をアルスと繋ぎ、こう叫んだ。

「先人の思い連ねた魂を今この場で再現し、我が身と心に宿す。

真実の名の下に。」

 ダンスホールの上に稲妻が落ちた。

 その後、少女の姿が変化していった。

 まるで別人になるように。

 こちらを向いて女性がしゃべりだした。

「君がアルスかい、巫女様から頼まれたことがあるんだ。

私が聖霊獣を復活させる舞を教えるよ。」

「誰だ、お前。」

「大事な事を忘れていたよ。

私は、なんと言えばいいのかなー。

巫女に乗り移った巫女、これじゃあややこしいな。

私のことは、水巫女と呼んでくれ。

それにしても、私の儀式衣装を着ているなんて、君も変態だなー。」

「気がついたら着ていたんだよ。」

「わかっているよ、冗談冗談。

君が入りたい遺跡は、水に浸かっていただろ。

その水が聖霊獣の体そのものなんだ。

今から聖霊獣の体を元に戻す方法を教える。

君の彼女のおかげで、遺跡の封印は解けた。

これで、第一の条件が揃った。

第二の条件は、巫女が歌と舞を同時にする。

正直に言うと別にこれは、ひとりでやる必要はない。

ふたりしてやってもいい。

歌の条件は達成している。

またまた君の彼女のおかげでね。

私が君にどうしても覚えてほしいのは舞だ。」

 彼女が舞いだした。

「ほら君も真似してみて。」

 彼女のいわれるがままに真似をして舞を踊った。

「以外にきつい。」

「だらしないなー。

男の子だろ。

もしかして、男の娘かな。」

「それは、ない。」

「お、元気が出てきたかな、さあもう少しだよ。」

 そこから数分間舞いを続けた。

 どうにか踊れるようになった。

「もう、完璧じゃないか。教えた人として感激だよ。これで、君と彼女の力を合わせれば彼を復活させることができる。

最後に頼み事を聞いてもらえないかな。」

「なにをすればいいんだ。」

「この本を彼に渡してほしい。

魂を残したこの本を。」

水巫女から本を手渡された。

「現実にどうやって持ち込むんだ。」

「大丈夫、そのためのポーチなんだから。」

「あと言いそびれたことがある。」

「なんだ。」

「その服を着たまま彼に会ってね。」

「魅了をする服なんて早く脱ぎたいのだけど。」

「その儀式衣装は、彼に会うまで脱げないように呪いをかけておいたから。」

「なにしてくれたんだ。」

「言うこと聞かないとその体に憑依してあげるよ。

本物の方の体に。

それより、そろそろ現実に戻ったほうがいいと思うよ。

君の彼女が魅了されて、君によからぬ事をしているから。」

 クリスタがこれ以上何かをする前にもどらなくては。

「戻るにはfirstlibraryがないと。」

「そうか君はまだそれがないとなにもできないのか。

ウィンダさん多分そこにポーチがおいてあると思うけど、持ってきてもらえないかな。」

扉を開けて、ポーチを持ってきた。

「これでしょうか。」

 待機していたように中に入ってきた。

「それそれ、確かfirstlibraryだったけ?

これだよね。」

 ポーチから出てきた。

「それそれ。」

 初めに例の本をしまった。

 次に本を開けてハテノ村の文字に触れた。

 風が吹き荒れて、体が上に飛んでいった。

「それ儀式衣装の魅了能力は便利だよ。

良かったら、また使ってね。」

「お断りだー。」

 そうしてアルスは、元の世界に戻った。

「おいそこの娘、いい加減に巫女様の体を返せ。」

「そんなこと言わないでさー。

私も巫女様だから、いいでしょ。」

「とっとと出て行かないと、強制的に除霊するぞ。」

「わかった、わかった、出て行きますよ。

死人に口なし。

それにしても、accessSoulsの記述が気にいらないな。

私そこまでおしとやかじゃないよ。」

「それはお前のようなビ○チの本なんてけがわらしくてだれも読まないからだ。」

「ビ○チじゃないよ。確かに私の儀式衣装には魅了能力がついているけど、それは、元々人と会話をするのが苦手だった私に聖霊獣がくれたものなんだ。








今回、水巫女という人が出てきました。

水巫女は元々おしとやかな性格でしたが、聖霊獣から受け取った能力のおかげで今の性格となりました。

次回は、水巫女の言っていた彼を復活の儀式によって目覚めさせます。

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