水晶の歌
まだクリスタの暴走が続きます。
「んんー。」
アルスに意識が戻しそうになった。
「あー最高、テクノにも見せてあげたいな。」
今のアルスは気を失っている。
今のクリスタは正気を失っている。
「まさか、アルスに儀式衣装が似合うとは思わなかったよ。」
儀式衣装は村に危機が迫ったときに女性が着て舞を踊り、地中深くの遺跡に眠る聖霊獣を呼び出して、危機から守ってきたという言い伝えがある。
だがしかし、この村にはもうその舞を知る人がおらず、舞える人もいない。
村にある書物だけではその時に歌う曲しか分からない。
その歌は、歌うだけでは、意味をなさない。
舞と組み合わせて、初めて意味をなす。
今歌うことの出来る人間はクリスタだけだ。
「アルスのお母さんは、別の村の巫女だったからその影響かな。」
アルスが持っていたポーチが無くなっていることに気がついた。
「取りに行かないと。」
部屋を出ると練習場が水に使っていた。
だけど練習場の外には水がでていなかった。
ポーチは水に浮いていた。
「ちょっと遠いな、長い棒があれば取れるのに。」
少し前にアルスから渡された弓を思い出した。
「システムエラーが発生しました。
本武装を再起動いたしますか?
再起動致しますと、保存していないデータが消滅致します。」
弓から、音声が鳴り響いた。
「再起動!!」
クリスタは叫んだら、弓が鉄板に戻った。
鉄板を手に持つと、形状が変化した。
「これは槍? まあいいや、あのポーチが取れれば。」
槍でポーチを引き寄せた。
「このポーチどこかでみたことある。
いや気のせいでしょ、中にはなにが入っているのかな。
あれ、何も入っていない。
おかしいな。」
何と何も入っていない。
「アルスの横に置いておこ。ポーチに何か入っていればいいのに例えば、今のアルスの姿を紙に残せる装置とかなんて。」
ゴト
ポーチから、何かの装置が出てきた。
「なんだろこれ? どうやって使うのかな。」
右上についている突起物を押した。
カシャ
シャッター音が聞こえた。
その数秒後に装置から、一枚の丈夫で光沢のある紙が出てきた。
そこにアルスの姿が写っていた。
「これは、カメラだ。」
クリスタは感激していた。
「これで、アルスの姿をたくさん残せる。」
もう、クリスタの勢いを止めることが出来ない。
プリント紙が無くなるまで待つしかない。
次話はアルスの視点に戻ります。
ただし、アルスは気を失っています。
ということで現実ではなく、夢の世界での話となります。