EX1
100話記念としてあまりでて来ないアルスの父親が大陸の過去の歴史について語ります。
私の名前はアラン。アルスの父親だ。
突然だが、A・レコード家の家系を皆に教えよう。この先の物語を読む上で必要だろうからね。
A・レコード家はさかのぼれる限りでは、大昔のこの大陸の第二王子ハテノ・イン・バーターを祖先とする一族だ。このハテノは、生涯誰一人として子供を作らなかったそうだ。
いきなり矛盾していると思うだろう。実は、ハテノの遺伝子を改竄する事で誕生したのが我々なのだ。
"プロジェクトアナザーロード"それが代々行われている"特異能力者"を産み出すためにハテノが始めた秘術である。
大まかな内容は、この世界では人知を越える力をその身に宿そう
とすると人為らざる者へと肉体が蝕まれてしまう現象がある。これは、生まれもった自己すなわち道を踏み外してしまうからである。
そこで、生まれる前つまり受精卵の段階で道をあえて踏み外させることで、この世界では生まれようのない能力を生まれながらに持つ人間を誕生させた。
何故このような人間を産み出したのかには理由がある。それは、隣国からの戦争に勝つ為であった。
隣国は、巫女の一人"焔ノ元の巫女"を拉致し人体実験に利用して不死身の兵隊を作り出した。それが"邪霊獣"である。
"邪霊獣"の特徴として"存在の侵食"と呼ばれる性質を持っている。
それは触れた人間を"邪霊獣"に変化させるというものである。
これがあるために、人間では対抗することすら敵わず、一方的な侵略行為がされていた。
そこで、一番に解決しなくてはならない問題は"邪霊獣"を増やさない方法が考えられた。
前述の特異能力者を生み出す方法と、エヴォル・コン・バーターが考える生活圏を狭めるが絶対的な安全領域で暮らすというプロジェクトセンターパークの2つが平行して行われた。
現在のように"邪霊獣"が数日前の一件を除いて発見されていないのは、ハテノとこの大陸にいる巫女が団結する事で殲滅することがなし得た。
知っての通り、彼女らの"聖霊獣"は保守協会によって封印されているため力にはならなかったが、聖霊獣の力を行使するための"媒体"としてウン十年以上もの日々を過ごしていた影響からか、決して邪霊獣と化すことなく、むしろ邪霊獣を触れるだけで昇天させる程の聖職者としての後天的な特異能力を内包していた。
当然私も驚いたさ。まさか私以外にそのような能力を持つ存在がいるとは夢にも思わなかったさ。
彼女らの活躍により大陸から邪霊獣は大陸からいなくなり、敵国の邪霊獣の生み出しかたを開発したミストとケムリを追い詰めた。
その後敵国からの脅威は完全になくなり現在のような一応の平和な国となったわけだ。
今回の所はこれぐらいにしておくか。
続きはまた時がくれば話すとしよう。
おや、アルスが何やら困っているようだ。
私が直接助けに行くことは出来ないから少し前に完成したこの装置をアルスに届けるとするか。
ワームホールのポータルはそこにはないから"時空の飛脚"に任せるとするか。
私はD^2デバイスを操作してある人に連絡を取ることにした。
「私だ。アランだ。飛雄今仕事は入っていないか?」
「これはこれはアランの旦那、今日は如何様ですかい」
「至急息子にこれを届けて欲しい」