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そうだ、京都行こう!

佐久間領 人口530人


こないだ、佐野と一緒に近江でクエストをしたとき。

途中で通った枝分かれした道に標識があった。

行先は、美濃、山城、尾張の3か所。

「そういえば、佐久間は、まだ京には行ったこと無かったんだっけ。

この道をまっすぐ行くと、京の都がある山城の国に行けるぞ」

PT中だったので、気にもしなかったのだが、一回行っておかないとな。

嫁の、そのちゃんの実家があるところだ。挨拶くらいは行かないと。

ついでに、イベントに備えて、土地勘をつけておこう。


昨日、イベントの詳細な告知が発表された。

開催場所は山城の国、京都、平安京。

地方を選んだ人の救済のため、イベント直前まで使える期間制限つきの転移札 

というものが、プレイヤ全員に配られた。これを使うと、配下ごと京都にワープできる。

もちろん、自分の領地にも戻れる優れもの。

おかげで、今の京都はプレイヤーでかなりにぎわっているらしい。


イベントは1週間ぶっつづけて開催されるということだ。

特殊エリアとして、イベント用の「平安京」が数百個用意されるので、こみ合うことは無い。

イベント期間中に外部から京都に入るとイベントに参加意志を確認される。

参加すると、イベント用のエリアに飛ばされる。参加しない場合は、いつもの京都だ。

ログアウトは可能だが、京都から出るとイベントリタイアとみなされ、再挑戦は出来ない。

だから、連れて行く配下武将や持ち込むアイテムは、厳選しておく必要がある。

一つだけ、気になる注意書きがあった。

【イベント中に限り、参加者の視覚、聴覚情報をキャプチャーさせて頂くことがあります。

この情報の権利は参加者ご本人様に帰属しますが、弊社公式HP等への掲載をご依頼させていただく場合がございます。】

要は、宣伝としてゲーム画面を公式HPに載せたいから協力しろ ってことなんだね。

結構、力入れているんだろうなぁ。


京都に行く ということをそのちゃんに言ったら、親御さんにあてた手紙を託された。

近況報告をしたいらしい。ちゃんと渡してくるからね。

持っていくお土産だが、土地の名物 なんてものは、まだ未開発だ。

いずれ、開発しておきたいもんだ。

しょうがないから、米俵を何個か持っていくことにした。頑張れよ元太。

あとは、合戦でもらった「金」の残りを1枚。こんなことがあろうかと、取っておいたんだ。


相馬と元太を引き連れて、フリーエリアに移動する。

美濃>近江>山城と旅をしていく。元太は、米俵を積んだ大八車を引っ張っている。

道中、イベントに向けた銀稼ぎと思われるPTに何度もであった。

言っちゃなんだが、そういうプレイヤがたくさんいるおかげで、

山賊や盗賊は湧いたそばから退治され、街道の治安は非常に良好な状態になっていた。

本来なら、2、3回くらいは襲われるはずなんだけどね。


鴨川を渡り、京都の街「平安京」に入った。

システム上、鴨川から京都の市街地扱いになっているらしい。

橋の上から鴨川を除くと、アユと思われる魚がたくさん泳いでいた。

塩焼きにでもしたら、美味そうだなぁ。川魚好きなんだよな。

「お館さま、鴨川も桂川も、勝手に魚を採ると怒られますからね」

相馬に怒られた。まだ投網を出してもいないのに。

イベントの時なら怒られないかな。


「頼もう~ 佐久間織部祐律人である 野々宮家当主にお会いしたい」

面倒な手続きは、相馬におまかせ。知力が高いやつがいると楽だな。

相馬は「金」を包んだ紙と米俵を大八車ごと、取次役に引き渡す。

しばらく待っていると、家宰と思われる老人が出てきて丁重に中に通された。

「家宰殿、そのからの手紙でござる。当主殿にお渡しください」

家宰は、そのちゃんからの手紙を大事そうに受け取り、奥に消えて行った。


「佐久間織部祐殿 野々宮家当主 定正だ。遠路はるばるご苦労であった」

当主が直々に会ってくれた。

この時代だと、いくら婿でも「身分違い!」とか言われるか とも思ったんだが

「金」の威力は絶大だよなぁ。かなり優遇されているっぽい。

まぁそういうアイテムなんだけどな。

「そのからの手紙に、貴殿の事も書いてあった。息災で何よりだ。

これを、そのに渡してくれ」

渡されたのは、「安産祈願」とでかでか書かれたお守り。

なんか、うれしいけれども、気恥ずかしいぞ。

というか、冷静になってみるとAIすげぇな。ここまでやるのか。

一瞬、ゲームの中という事を忘れていた。



「あ~肩凝った。公家さんも大変だな」

【野々宮家とのコネが出来ました 知力+1 政治+1 魅力+1】

システムメッセージが流れる。

ステータス画面を開くと、魅力が101になっていた。

ついに、100超に到達したぜ!


挨拶も終わったので、京の街を歩いて回る。

碁盤目なので、気にしなくても迷子にはならない。

「何々通り」って立札が電柱並みに乱立していたからな。変なところで親切だよな。

大通りでは、たくさんのプレイヤが露店を開いたり、値踏みしたりで大賑わい。

プレイヤ間では、「銀」でアイテムを売買することができる。

「生産者」は、刀槍、鎧、装飾品、服など、あらゆるものを、

取得スキルと技術の能力値に応じて作り出すことができる。

運と腕が良ければ「業物」となり、1~5点の能力値ボーナスが付くのだ。

佐野も、武力+1の刀を何本か持っていた。

さらに、生産アイテムは配下武将に与えることで、

武将の好みや品質に応じた忠誠度の上昇が見込める人気商品だ。


ちょっと奮発して、元太に家紋入りの鎧を仕立ててやった。相馬には守刀。

そのちゃんには髪飾り、八野には弓矢をお土産にする。

元太は、感激のあまり「一生脱がない!」とか馬鹿なことを言っていた。


そのちゃんの喜ぶ顔を思い浮かべながら、俺は領地に戻った。


京都の市街地。平安京と呼ばれる場所。かつての日本の首都。

なんだが……実際のところ、いまひとつ感動が無かったんだよな。

確かに、街並みは再現されているんだろう。

でもさ、「映画村?」的な雰囲気が否めないんだよなぁ。

修学旅行で行った、京都の寺巡りを思い出したよ。

元太みたいに「オラ京都さ来ただ!」って思いも湧かないしな。

リアリティも善し悪しだ。

次回、「大きな栗の木の下で!」

ついに、女性プレイヤ登場。

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