表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/125

ここに病院を建てよう!

合戦後のある日。

ログインしたら、配下武将から重大な報告があった。


「父上、ご報告があります」まずは、元太からだ。

「先日いただいた金を使い、領地に侍所を建設いたしました

一度、視察をお願いします!」

侍所とは、兵士数確保施設の中級建造物だ。

初期で作れる「兵士詰所」は、実際のところ、大きめの掘っ立て小屋。

兵士たちは、その中で、ごろごろと雑魚寝をしている。

ぽつーんと一軒建っていて、ここで50人雑魚寝 というのだから、

現代日本なら、確実に法律に引っかかる。

だが、侍所は、江戸時代の長屋に近いつくりだ。一応、ワンルーム。

それがいくつも建ち並び、100人の兵士を収容できる。

生活環境はかなり改善されたことだろう。


配下武将に「金」を褒美に与えると、忠誠が劇的に上がる。

さらに、施設を建築したり、特殊アイテムを持ち込む事があるのだ。

配下に金をばらまいたのも、実は、ちょっとそれを期待していたりして。


「お館さま、俺は、兵士たちと呑んじゃいましたよ。アハハハハ」

八野は、それでいい。そういうやつだもんな。


じつは、兵士の「士気」が合戦後に、10にまで落ち込んでいた。

だが、今日見たら100まで上がっていたので不思議だったのだが、この2人のせいか。


「お館様。私からも報告があります」

今度は相馬か。お前は何をしたのかな?

「ここに、病院を建てました」

「すまん。よく聞こえなかった、もう一度頼む」

「ここに、病院を建てました」

え!?病院?そんな施設、本当にあるのか?

ブラウザを起動させ、俺様攻略サイトを呼び出す。検索「病院」

あ、存在した。医療系施設の最高峰。

薬処、診療所、医療所、そして病院と発展してくらしい。

効果は「病気回復(大)怪我回復(大)人口増加(小)疫病回避(大)民忠向上(小)」

すげぇ効果に見えるが、実はそれほどでもない。

武将は病気や怪我をしても、一時的に能力値が下がるだけで行動はできる。

そして、ゲーム世界では現実より時の流れが早いため、

能力値減少も、リアルで2日もあれば元に戻るのだ。

疫病は、そもそも発生確率が低く、ネットでもほとんど報告がない。

おまけに、発展にかかる費用もばかにならないので、あって困るものではないが、

わざわざ作るか?と言われると微妙な施設だ。


早速病院に行ってみた。

白い漆喰をふんだんに使った、3階建ての豪華な白い建物だ。

俺の館より、すごくないか?うちは平屋だぞ?

白衣を来た、金歯の医者が迎えてくれた。

「お館さま、このような素晴らしい病院を建設してくださり、ありがとうございます。

佐久間領の医学発展のため、粉骨砕身がんばります」

「あ、あぁ、頼むよ」

この一角だけ『シムシティ』になってるんだが、いいのかな これ。


「お~い、佐久間、PTの誘いにきたぞ って、なんだこりゃ?」

佐野が領地にやってきたが、病院を見て凍りついた。

戦国時代に、白い3階建ての建物があったら違和感だよな。

おれもそう思う。

「病院を建てたんだ」

「は?もう一度頼む」

沈黙が流れる。俺と同じ反応をするなよ。

「病院だよ、びょういん」

「そうか、頑張ったんだな」

考えるのをやめた顔してるぞ、佐野。


「ところで本題なんだが、イベントの告知見たか?」

「見た見た。京で何かするんだろ?」

正式サービス開始記念ということで、平安京で初の公式イベントが開催されるのだ。

「ベータ版のときはどうだったんだ?」

「武闘大会があったな。でも公式見ると『きちんと考えた配下PTにしてください』

って書いてるし、武闘大会とは違うと思う。

でだ、イベントに向けて、スキルを習得するのにも、業物買うのにも銀が必要だろ。

だから、佐久間に、銀稼ぎPTに来てほしいんだよ」

「本音は?」

「PTの総合魅力が高いと、報酬が上がるから」

正式版での仕様変更により、魅力度がクエスト報酬に影響を与えるようになっていた。

プレイヤ同士でPTを組み、フリーエリアを冒険する「徒党PT」

徒党PTでクエストを行った場合、PTの魅力合計が200を超えると報酬が1.3倍になり、300を超えると2倍になる。

途中抜け、途中入りを防ぐためのロジックも組み入れてあるらしい。

「ベータからのフレ集めて、今5人いるんだけどさ、佐久間が入ってくれれば、合計魅力が300を超えるんだ。頼むよ~」

「まぁ、しょうがねぇな、行ってやるよ」


実は、俺の方にも戦闘で試してみたい事があったのだ。

最近手に入れたスキル『投網』。

先日、八野を連れて巡回したとき、彼をスカウトした時の話をした。

「もし、俺が投網してれば、勝ってたッスよ。自分『投網』スキルあるッスから」

それを聞いて、俺は興味を持ち、八野からスキルを教わったのだ。

『掟』とやらのせいで、銀を要求され、結構な出費だった。

投網をいくつかと、修復用の麻糸を持って出発。

『投網』スキルで、網の修復までできるんだよな。


フリーエリアに行く。

「こいつが、俺のリア友で魅力100の佐久間 よろしくな~」

「よろしく~」「よろ~」

今日は、みんなで近江に出てクエストを行うそうだ。

PTメンバは、佐野のような武力重視が3人。技術重視の弓矢使い

知力重視で『治療』スキルもちのヒーラー役。そして、俺だ。


「じゃ、大熊からいっとくか」

クエスト「漢方薬を探せ!」通称大熊。

漢方薬の材料を持ってこいという、1日1回起きるクエストなのだが、

薬草、木の皮など、結構なんでも引き取ってくれる。最も高額なものは「熊の胆」。

結構な量の「銀」がもらえる。

普通のMMORPGと同様、熊を倒せば「熊の胆」というアイテムが手に入り、

それを依頼主に渡せば完遂だ。


山の奥。熊の群生地に分け入る。そこには、熊が2匹いた。

「2匹行けるか?」

「行ける とは思うけど、やってみるか?」

熊は、武力としては80程度。

だがHPが人間よりも高く設定されているので、削りあいに持ち込まれると危険なのだ。

作戦は、佐野が1体を抑え込んでいる間に、他3人でもう1体を急いで倒す。


佐野は、右に左に軽快なフットワークで熊の攻撃をかわす。

他の2人と弓矢使いは別の1匹に集中攻撃をしている。

だが、結構なダメージを与えているのに、まだまだ熊はぴんぴんしている。


その時、横合いの茂みから、もう一匹熊が現れた!

おいおい、熊って縄張りもってるんじゃねぇのかよ。

「任せろ。えい!」俺は、投網を投げる。

後から来た熊は完全に投網にひっかかり、動きが止まった。

保険でもう一回投網しておく。出られなくてじたばたしてるぞ。

3匹目の熊がなんとか網から抜け出した時には、すでに最初の2匹は撃破され、

「熊の胆」になっていた。


「すげぇな 投網」

「でも、すぐ抜け出されるからな。人間だったらもっと早く出てくるからなぁ」

他にも、いくつかの日別クエストをクリアし、『投網』ぶんの銀を取り返すことができた。



最後になるが、そのちゃんからも重大な報告があった。

「赤ちゃんが出来たみたい」

エロゲでは無いから、いつの間にか頑張っていたことになるんだね~

ちゃんと病院で妊婦検診を受けるんだよ。

次回、「そうだ、京都いこう!」

ついに上京。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ