表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国時代風VRMMOSLG 「俺様の野望」!!  作者: めへめへさん
大更改時代 ~上月城の戦い~
51/125

大規模バージョンアップの巻

大規模バージョンアップ!

2日に及ぶ大規模変更とくれば、期待せざるを得ない。


今回のバージョンアップの目玉は2点。

1:年代の変更。

  ゲームの舞台が、1560年代から1570年代に変わる。

  「5年が経過した」 という扱いになり、配下武将の加齢と能力値の変動、

  既婚の場合、実子の増加が起こる。


群雄割拠の時代は終わり、全国に織田家、武田家、上杉家といった大大名が並ぶ。

豪族(プレイヤ)は、1対1では大大名には勝てない。

無策に大大名を挑発しても、物量で押しつぶされる。

プレイヤ間で連合(ギルド)を作ったり、他の大大名と外交で連携しながら対抗していくことになる。

SLGでは、傍若無人な俺TUEEEEは淘汰されてしまう。


大大名といえど、プレイヤ20人くらいが全力を出して囲めば、削りきることができる。

だが、遠征したプレイヤの領地は、他の大名や小名、他プレイヤにとって格好の餌食。

安全マージンを織り込むのなら、参加する必要なプレイヤ数が増大し、奪った「領地」の分け前も減る。

さらに、大連合になると、お馴染みの「包囲網」が結成され、賞金首にされる。

単に数を増やせばいい というものでもない。



2:豪族(プレイヤ)の領地が、フリーエリアと結びつく

  領地を9*9マスに拡張すると、フリーエリアと自由に行き来できる道が開かれる。


いままで、自領は他者の部隊の侵入や自部隊の出撃が出来なかった。

AIは「使者」や「旅人」「イベント関連NPC」のみしか入れなかったし、

PCは、フレンド同士のみ入ることができた。

地形に守られた、陸の孤島。

9*9マスへの拡張により、領地の価値が上がり、誰でも入れるように整備された「道」が出来あがる。

他の戦国大名小名からも意識されるくらいの、豊潤な領地になった。


それ以外にも、大砲の実装、新スキルの追加、バランス調整などの変更が行われている。


バージョンアップ後、初めてのログイン。

産まれたばかりだった栗丸も、5年間の経過で、もはや6歳(数え)。

さらに、次男の柿丸(2歳)と、長女の柚子(1歳)が産まれていた。

恐るべし、バージョンアップ。いつの間にか子供が増えていたよ。


そのちゃんは、相変わらず可愛らしかった。

嫁取りのときが十代後半だったので、まだ20前半だ。

元太は、前将軍和尚の薫陶により、ずいぶんと武将としての貫禄が出てきた。

もはや領地では一目置かれる№2。

相馬姉弟は、2人とも5年たってもあんまり変わらない。

大きく変わったのは舞蹴。

派手な傾奇者だったのが、ゴッドファーザーのような黒づくめに変わっていた。

押し出しも良くなっていたし、すっかり「歌舞伎町」の顔役。

流水斎は、何故か若返ったような気がする。

初見は、腰の曲がった白髪の爺だったはずだったのに。

三毛村さんは、猫のくせに、妖精(?)なので、相変わらず。


かつて保護した、阿倍の「養女」、そのちゃん付きの侍女2人も、そろそろお年頃になっている。

栗丸が彼女たちに上手く甘えているのが末恐ろしい。

和尚の元に通わせて手習いをさせてはいるが、どうも阿倍の影響があるようだ。

女ったらし(ジゴロ)にならない前に、何処かに修行に行かせることを検討している。


5年間の沈黙を終えて、最初の命令は、健太郎。

甘栗忍者隊に命じて、各地の情報収集。

そして、拡張された部分への施設建設の指示を行う。


それから、期待に胸を膨らませながらの外部への探索だ。

元太と相馬を供につれて、新しくできた「道」へ向かう。

我が領地とフリーエリアを結ぶ、新たに新設された山道。

この「道」が、俺の、これからの覇道の一歩目になる。

心が踊る。

運命の一歩目を踏み出すと、軽い浮遊感とともに、何処かに転移された。

この道の先の何処かが、俺の第二の運命(ゲーム)の始まりだ。

「何処か」が願わくば、武田家のそばではありませんように。


浮遊感ののち、出現した場所は山の中。

森というほど、木々は生い茂っていないので、風通しが良く、高くは無い山の周りの景色が一望できる。

周囲の木々が中途半端に伐採されているところをみると、以前にこのあたりで戦火があったのだろう。

古ぼけた砦跡らしきものもあるが、既に数百年が過ぎ、土台だけになっている。

その砦跡から、少し奥まった場所に、俺の領地の出入り口がある。

ご丁寧に「ここから先、佐久間家領地」と、木でできた標識が立っていた。


「お館さまも、これでようやく一城の主ですな」

相馬が感慨深げに腕を組んでうなずいている。

そういえば、相馬(弟)が記念すべき配下武将一号。

吹けば飛ぶような時代から、今まで一緒に、

いろんなイベントや旅行で世界を回ってきた仲だ。

「そうだな、これからもよろしく頼むぜ」

ここからが、本番だ。

戦国の時代でのし上がる。

何処まで行けるかは解らないが、精一杯、架空の歴史を楽しもう。


とはいえ、一手目としては、まず周囲の状況を把握からだ。

地図を呼び出して、現在位置を確認する。

ここは、播磨国。

現代で言うところの兵庫県。

武田家とは、琵琶湖をはさんで反対側である。

さすがの武田家も、織田と上杉を両方倒さないとここまでは来れないだろう。

とりあえずは、一安心である。

運営への祈りが通じたのだと思う。

もっと東側だったら「上洛のついでに燃やしますね」という書面が来ていたろうな。



予め、バージョンアップのアナウンスで伝えられていたことだが、

プレイヤの領地は、勢力図が固まりきっていない地域にランダムで配置されることになっている。

兵庫県(播磨国)は、この1570年代、織田家と毛利家に挟まれている。

この地には、赤松氏や別所氏、三木氏などの有力者が居て、どっちに付くか悩んでいる。

隣接地域に目を向ければ、多数の有力者がいて、まだまだ統一とは程遠い地域だ。

かの黒田官兵衛の姫路城もこの地域にあり、小寺氏に仕えている。


我が領地の兵力は兵数4000を超える。

これから拡張できる猶予もまだまだあるし、配下の武将も数は少ないが粒よりの出来星揃い。

ヘタな田舎大名が攻め込める戦力ではないし、うまく立ち回れば彼らを落とすことも可能。

ゲームとして、このシチュエーションは悪くない。

……とおもっていたが、よくよく地図を見ると、

現在地点は、姫路城よりも遥か西、兵庫県の最西部にあった。

ここは、本当に近畿に入れていいのか?


俺の領地の出入り口。

そこは、地図上の地名で「高倉山」と記されていた。

木々の隙間から、遠くに上月城が見える。


運営さん、しょっぱなから飛ばしてくれるぜ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ