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鬼が島8  禁断のヤシの実

■イベント5日目

今日はリアルでの用事があったので、ログイン時間がいつもよりも遅かった。

海外で働いている叔父の帰国で、歓迎会と称して高級バイキングに行ってきた。

食欲をフル回転させて料理を堪能。ゲームの恨みをリアルで果たす。

リア充(胃袋)となった俺には、もう怖いものなんて無い。

「いまログインした」

佐野にコールで一声かけてから、鬼城に向かう。

鬼王の最終試練は、1日1回しか受けられない。

既に今日の分の試練は始まっているだろうが、せめて応援だけでも。


大広間に入ると、昨日のように、玉座のそばに鬼王とその臣下がいた。

そして、傍らに定番のルーレット。

しかし、鬼とプレイヤの間で、何か揉めているようだ。

鬼王が俺を見つけ、手招きする。

「おお、最後の一人が来たな。彼にも聞いてみよう」

「なんだ?」

「ちょっと、佐久間。あのルーレットを見てよ!」

鷹目が憤慨しながら、ルーレットを指差す。

昨日と同じ、直径1m程度のダーツ用ルーレット。

だが、ルーレットの円盤に書かれているのは、全面オレンジ色の「焼肉」一択のみ。

ルーレットにする必要が無いだろ……


「今回の個人報酬を何にするか?で揉めちゃってね」

波野が、笑いながら説明をしてくれた。

今回の勝負は「宝探しゲーム」に決まったらしい。

双方の代表が「お宝」を鬼が島の何処かに隠す。

そして、「お宝」に反応するレーダー片手に島を探索し、先に宝を見つけて戻ってきた方の勝ち。

プレイヤ側からは、ほえもんさんと赤影さん、佐野の3人が「お宝」を隠しに行っている。

暇を持て余した留守番メンバで「個人報酬」について決めていたそうだ。


「ワシの胃袋は、焼肉腹になっている。絶対に焼肉は譲れん」

「ヤダ。昨日食べたから、違うものが良い」

「それでは、ワシの胃袋が収まらん!」

鬼王、無茶苦茶言ってるな。

VRで味覚嗅覚も再現される。

いくら食べても太らない という、夢のような世界。

「宝探しゲームって団体競技だから、個人報酬はありえないんじゃないか?」

「「えっ?」」

ぽかんと口をあけたまま、鬼王と鷹目がこっちを見る。

周囲を見回すと、波野や鬼大臣も、うっかりしてた という顔で俺の方を見ていた。



■そのころ、海岸では……

「ブレス来るぞ、避けろ!」

「うぎゃぁぁ!」

佐野が間一髪、横っ飛びで海竜の水流ブレスを回避する。

砂浜が海竜のブレスで縦に切り裂かれる。

「よし」

間をおかず、赤影が懐から出した「お宝」をブレスでえぐられた穴に投げ込む。

「じゃ、埋め戻す間、時間稼ぎ頼む」

「急いでくれよ」

ほえもんが苦笑いをしながら、海竜の脚に駆け寄って三日月宗近で攻撃を始める。

青光りする海竜の鱗も、国宝級の業物相手にはやすやすと切り裂かれ、青黒い血が流れ出す。

「よーし、俺も」

佐野も海竜に近寄ろうとした途端、海竜の背びれが紅く染まり、巨大な口から迸る咆哮が、地面を震わせる。

プレイヤ達が咆哮にひるんだ隙に、海竜は全身を大きく振り回して、尻尾を佐野が居たところに叩きつけた。

白い砂が盛大に舞い上がっていく。


「『流水の理』の自動回避でギリ助かった……」

「上出来上出来」

砂ぼこりに塗れて真っ白になった佐野が、せき込みながら海竜から離れる。

既にほえもんは、身をひるがえし、海竜から距離を取っている。

「よし、埋め戻し終わったぞ。撤収だ」

赤影が閃光玉を空中に放り投げると、破裂して強烈な光で海竜の視力を奪う。

閃光にひるんだ海竜をしり目に、彼らは打ち合わせ通り、三方向に散らばって砂浜から撤退した。



しばらくして、佐野達3人が帰ってきた。

前後して、鬼たちのお宝隠匿部隊も帰ってくる。

向こうは、腕っぷしの黒鬼、伸縮自在の緑鬼、フィギュア作りの赤鬼の3人。


「おう、佐久間、間に合ったか」

「あぁ、前回は下手打ったからな。今回こそは良いとこ見せてやるぜ」

佐野に向かってタンカを切ってはみたものの、捜索的なスキルは「知力」系の範疇。


全員そろったところで、鬼王が厳かに話し始める。

「後から来たものもいることだし、再度、ルール確認を行う。

探すべき『お宝』は、これと同じものだ」

鬼王は、懐から握りこぶし大の球体を取り出す。

球体は黄水晶のような薄黄色の半透明をしており、中心部に黒字で「サンプル」と書かれている。

「人間側は、中心に書かれている文字が人だ。

参加者は、レーダーを頼りに、この『お宝』を探してもらう」

レーダーとは、手のひらサイズの羅針盤。

針の指す方向で「お宝」の方角がわかり、コール音の回数で距離がわかる。

音が1回なら50m以内、2回で100m以内、3回だと1キロ以内、0回だと1キロを超える。

鬼が島は、直径数キロ程度の島なので、ある程度あたりをつけないと範囲外となってしまう。

使用制限回数は3回。


「プレイヤ側が行動を開始し、10分後に鬼側が出発する。

では、競技開始!」

俺たちは、鬼王の合図で鬼城から出発した。

前の人狼では、プレイヤ側が不利な条件で始めたため、今回はプレイヤ側が10分間の猶予を持って先行できるそうだ。

「とりあえず、見晴らしの良いところに行ったらレーダー使うか」



鬼が島の、亜熱帯と温帯が混ざった植物群を横目に見ながら、レーダーが反応した方向に向かう。

視界の利かない豪雨の中では、周囲は生い茂ったジャングルのように見えたが、実際は木々にある程度の隙間がある。

葉っぱは「ゲーム世界」であるためか、木から落ちると時間経過で消えてしまうので、このあたりで隠すのは難しそうだ。


しばらく歩くと、見慣れた場所に出た。

そこは、鬼が島イベントの開始地点。

森林が大きく開け、コテージが2棟建っている。

初日の転送直後からグリズリーに襲われ、さらにコモドドラゴンが居たこともあって、コテージにはまだ一度も入っていない。

運営の計らいで、初日にグリズリーに破壊されたコテージは、ちゃんと修繕がされていた。

周囲をぐるりと見渡してみても、危険生物は見当たらないし『逃げ足』スキルに反応は無い。

今更気が付いたが、コテージの周囲には、ヤシやバナナの木が生い茂り、たわわに実か成っていて、「バカンス」に使うには上々の好立地。


「コテージに隠した ってことは考えられるかな?」

波野がコテージを指差す。

コテージは、二棟とも同じつくりで、1階に18畳のリビングと8畳のキッチン、2階に8畳ツインの部屋が3つ用意されている、簡素なものだ。

「可能性としては、ありえる。ここらで、もう一度レーダーを使ってみるか」

ほえもんさんが、レーダーを取り出してコテージの方に向かって歩いていく。

「2つのコテージの中間点で使えば、どっちにあるかもわかるだろ?」

コテージに挟まれた位置にみんなで集まり、レーダーを使用する。

針の指す方角は東側。そして、音は1回。

「決まりだな。こっち側のコテージだ」

コテージの周囲には、うっすらとだが、足跡らしきものがあった。

西側のコテージを見に行くと、こちらにも足跡があったが、東側の方が数が多い。


「手分けして探すか~」

「女子は1階探すね」

「野郎どもは、2階だ」

「俺は一応、外回りを探す」

皆がどかどかとコテージに入っていくのをしり目に、俺はコテージの外観をぐるり と回ってみる。

「お宝」サイズの球形をしたものは見当たらない。

鬼側でお宝を隠しに行ったのは、前に3回勝負で激戦を戦った、黒鬼、伸縮自在の緑鬼、フィギュア製作の赤鬼の3人。

こっちも向こうも、隠すのに使える時間は移動含めて1時間程度。

作業にかかれる時間は30分も無いはずだ。

赤影さんの話だと、コテージ内部の様子から見て、コテージ内部に誰かが侵入したことは間違いないらしい。

コテージには鍵が掛かっているわけでもなく、簡単に入れる。

しかし、ここで逆に疑問が出てくる。

コテージの中は、キッチン含めて5部屋しか無い。

ある程度時間をかけてカモフラージュすれば別だが、30分で隠せる場所は、むしろ限られているはずだ。

なぜ、鬼たちは、捜索範囲を限定されるような場所に来たのだろうか。



「ねぇ、佐久間くん、確か調理スキルもってたよね?」

コテージを見ながら悩んでいたら、リビングの窓が開き、波野が顔を出した。

手には製作関連のスキルで使用するアイテム「レシピ」を持っている。

「このイベント中限定の調理レシピを見つけたんだよ。これ、作って~」

波野が指差したページには「タピオカドリンク」と書いてあった。

彼女の後ろでは、鷹目が期待で目をきらきらさせながらこっちを見ている。


ゲーム世界では、調理も含め、製作系の行動は「レシピ」通りに作るだけなら、

材料を消費するだけで、一瞬で生産することができる。

デメリットとしては、業物(高品質製品)や特殊変化(新しい味!)になることは無い。


波野からレシピを受け取って、所持レシピに登録を行う。

「えーと材料は、ヤシの実と牛乳、蜂蜜にタピオカ?そんなのあるのか?」

「じゃ~ん」

鷹目がドヤ顔で乾燥タピオカと蜂蜜を何処からか取り出した。

「牛乳も冷蔵庫にあったし、ヤシの実はそこにあるでしょ。

そうそう、あたしの分、バナナも入れてね」

「あ、それいいね。私のにも入れて~」

「まぁ、いいけどさ。で、ヤシの実はどうやって取るよ?」

バナナの実は低い位置にあるが、ヤシの木は高さが5mほどあって、とても手が届きそうにない。

「男の子なんだから、頑張って登るとか、キックでけり落とすとかあるでしょ」

「いや、無理だろ。木を蹴ったら落ちてくる なんて、マンガじゃあるまいし」

鷹目の無茶ぶりはいつものことだ。


「どした~」

我々の話声を聞きつけて、赤影さんが彼女たちの後ろからやってくる。

「赤影さん、休憩用におやつでも作ろうとしているんですが、あのヤシの木登れます?」

「う~ん、登れなくはないだろうけど、スキルが無いと難しいな。とりあえず、蹴ってみたらどうだ?」

赤影さんは、ヤシの木をちらっと見て即答する。

普通の木と異なり、ヤシの木には途中に枝が無い。

「ちょっと一休みするか、暑いし」


「押忍!!佐野健介、行かせて頂きます!」

気合声をかけて、佐野がヤシの木に大振りの回し蹴りをぶちかます。

これが武力特化の力なのか、ヤシの実が3個ほど、ぼとぼとと落ちてくる。

さらにもう一発蹴りこむと、追加で3個落ちてきた。

この木には、あと1個だけしか実が残っていない。

「佐久間ぁ、これ何個くらい要るんだ?」

「一個で大きめのカップ一杯くらいかな」

「美味しかったらお代わりするからね!」

「じゃ、もう少し採っとくか」

鷹目の勢いに押されながら、佐野がヤシの木を蹴る。

しかし、今度は実が落ちてこない。

「あれぇ?」

ガスガスと何度蹴りこんでも、最後の一個は中々落ちてこない。

「まだ、熟れてないのかもしれんな。別の木でやってみたらどうだ?」

「熟れてないのは食えないっすからねぇ」

佐野は隣のヤシの木に移動し、同じように何度か蹴りこむ。

今度は、ヤシの実がぽろぽろと全部落ちてきた。

「このくらいあればいいだろ」

俺はヤシの実をいくつか手に取って、キッチンに戻る。


キッチンの調理台の上に、ヤシの実、乾燥タピオカなどの必要な材料を並べていく。

メニュー画面から『調理』スキルを呼び出し、レシピの中から「タピオカドリンク」を選択、実行。

用意した材料が消滅し、ヤシの実の器になみなみと注がれた白いタピオカドリンクが現れた。

白いドリンクの中には、黒いタピオカの粒が所々見え隠れして、きれいなコントラストを作り上げる。

ココナッツミルクの甘い匂いがドリンクから立ち上ってくる。

ちゃんと太めのストローまで付属している本格派だ。

ここに、小さめの一口サイズに切っておいたバナナを入れて完成。

「「おぉ~」」

「じゃ、どんどん作るぜ~」

背後で、みんなが騒いでいる気配を感じながら、人数分作っていく。

みんなでリビングに集まって、出来立てを味わう。


「あ~、バカンスしてる気分だ」

佐野はストローを咥えながらソファに埋まりこんでいる。

そんな佐野を見ながら、ほえもんさんが苦笑い。

開いた窓からは夏の風が入り、リビングを通り抜けていく。

ExHardは、最初から激戦だったので、今までのんびりできなかった。

easyのバカンス動画には、みんな少し憧れていたのだ。

「なんか、まったりしてくるね~ ふぁぁあ」

波野がちいさなあくびを漏らす。

「お・か・わ・りぃ」

鷹目は相変わらずマイペースに一気飲みだ。

「はいはい、ちょっと待ってろ」


キッチンに戻って、残りのヤシの実を数えると、6個残っていた。

ちょうど、全員分のお代わりがある計算になる。

予想以上に美味しいタピオカミルクの事を考えながら、キッチンの窓から外を見ると、目の前にヤシの木が見えた。

統一デザインのせいか、さっきのヤシの木と外見が変わらない。

鬼が島の夏空を背景に、6個のヤシの実が風にぶらぶらと揺れていた。


「ねぇ、まだ~?」

鷹目の催促で、俺は我にかえる。

手早く『調理』して、彼女に手渡す。

「ありがと~」

リビングには、PTメンバの人数にあわせて、6人分のソファや椅子が用意されていて、円座でテーブルを囲んでいる。

「佐久間くん、私もおかわり いいかな?」「俺も!」

波野は恐る恐る器をさしだし、佐野は遠慮なく器を突きつけてくる。

「あのな~、俺が飲み終わるまで ちょっと待ってくれよ」

わざとゆっくりと飲みながら、窓から外を見る。

リビングの窓からは、実が一個だけ残ったヤシの木と、全部取られたヤシの木が見える。

ぼんやり見ていると、ぽんぽんと風船が膨らむようにヤシの実が再生リポップしていき、残っていた1個がどれなのか、もうわからなくなった。

しばらくして、もう片方の木も、実が一個ずつ再生していった。

ぶら下がっている実の数は、片方は7個。もう片方は6個。


「「そうか!」」

赤影さんは空になった器をテーブルに放り投げると、リビングの窓から飛び出して走っていく。

俺もあわてて後を追って走り始める。

「お~い、お代わりは?」

あれは無視。



赤影さんは、走りながら腕に、木登り用の猫手を装備。

「佐久間、アレだな」

ヤシの木を指差す。

「えぇ、アレでしょう」

「お宝をヤシの実にカモフラージュしたのは、手先の器用な赤鬼だろうな。

だが、鈍重そうな鬼たちが、どうやってあそこまで登ったのやら」

「たぶん、緑鬼が巨大化したのだと思います」

「そういえば、そんな便利な奴もいたか」

ヤシの木に辿り着くと、赤影さんは走ってきた勢いを使って途中まで駆け上り、その後はゆっくりと猫手の爪をひっかけながら登っていく。

普通の木であれば、張り出した枝が足場になるが、ヤシの木だけあって枝が無い。

『忍者』スキルを持つ赤影さんだからできることであって、スキルが無いとすぐに滑り落ちそうだ。


少し遅れて、仲間たちがヤシの木まで追いついてくる。

「佐久間ぁ、お代わりは?」

「佐野、まだいうか。お宝のありかが解ったぞ。あのヤシの実だ」

「へ?なんで?」

「その辺のヤシの木を見てみろよ。実の数は全部6個だろ?」

「本当だ」

「だから、あの7個目のヤシの実は偽物だ」

一般的なMMORPGでは、雑魚敵や採集用の木の実などは、倒した(採取した)後に、ある程度時間が経過すると復活する。

これを「リポップ」という。

だが、無限にリポップするとエリア全体に敵がひしめき合うことになるので、必ず上限数が決まっており、上限より多く増えることは無い。

あのヤシの木は、どれも実が6個だった。

とすると、あの木にぶら下がっている、「7個めの実」というのは、何者かが作り出した偽物だ。


謎解きをしていると、上から赤影さんの声が降ってきた。

なんとか木を登り切って、実のところまでたどり着けたらしい。

「当たりだな、佐久間。一個だけ、針金で厳重に止めてあったよ」

ヤシの実が、上から落ちてくる。

拾って確かめてみると、一旦きれいに割って、貼りつけたような跡がある。

「ちょっと貸して」

波野が工具を使ってヤシの実をいじると、実はきれいに二つに割れた。

そして、中からは探し求めていた『お宝』が転がり出てきた。

真ん中に「人」と黒字で書かれた黄水晶の球体。


「いやはや、鬼にしてはよく考え付いたもんだ」

ほえもんさんが器を持ったまま、器用に腕を組む。

「よっしゃ!」

「見つけたぁ」

「お・か・わ・りぃ」

この宝探しゲーム、「お宝」を持っていくところまでが競争だからね?


急いで鬼城に戻ると、鬼側はまだ到着していなかった。

留守番の鬼大臣が我々を丁重に迎えてくれる。

「鬼王様たちは、まだ捜索に出ている。先に戻ったお前たちの勝ちだな」

喜んでいると、鬼王が配下を連れて帰還してきた。

その姿は、ぼろぼろではあるが、満足そうだ。

先着したこちらの姿を見ると、少し驚いてから、大げさにため息のマネをして、ニヤリと笑いかけてきた。


「我々の負けだ。まさか、海竜の浜辺に隠すとはな」

「よく、取り出してこれたな」

赤影さんが驚いて問いかける。

「まぁな。海岸という事さえわかれば、あとは2点でレーダーを使って

正確な位置特定ができる。あとは、時間稼ぎの戦闘だ」

鬼王の後ろで、黒鬼と三つ目鬼が腕をさする。

そんな手があったのか……

「そっちこそ、よく見つけられたな。会心の隠し場所と思ったが」

「まぁね。コテージの中ということさえわかれば、あとは勘と度胸よ」

タピオカドリンクを飲んでただけの人が、偉そうに答える。

そもそも、コテージの中じゃないけどな。

鬼王は、満足そうにうなずくと、何処からか一本の古びた剣を取り出した。

「さぁ、強き者たちよ、持って行け、草薙の剣だ」


我々が鬼城を辞すると、「口」が閉まり、城が地中奥深くへと沈んでいく。

【イベントクリア おめでとうございます】

【領地へ、転送致します】

システムメッセージが流れると、見慣れた自分の領地へと戻っていた。


イベントをクリアすると、鬼が島は霧の中に消えていく。

クリア後の運営のメッセージによると、今後、鬼たちは人に化けて、戦いあったプレイヤ達の領地を訪れ、配下武将になることがあるそうだ。

運営も良い仕事するなぁ。

なんか今回は限りなく空気(おまけ)だった……

うちにも、影が薄いつながりで鬼大臣が来てくれるとありがたい。


【今回のイベントの最優秀PTは、チーム名「モ~モ~太郎」に決定しました】

【4人PTでExHardモードに挑戦し、全ての鬼を物理的に撃破(みなごろし)した積極性が評価されました】




そして、大規模バージョンアップが始まる。

次回から新章に入ります。

ついに、大規模バージョンアップ。

天下統一への道はまだ遠い

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