鬼が島7 鬼人狼ゲーム
■イベント4日目
神器を2つ揃えること。
それが鍵となって、今まで閉じられていた鬼が島の「口」の封印が開く。
「口」の中に最後の敵、鬼神大魔神こと「鬼の王」が居る鬼の城がそびえたつ。
鬼の王との決戦に勝利すると、最後の神器が手に入りミッションクリアとなる。
とはいうものの、ネットでの報告では最終戦には、「勝ち方」にもランク付けがあり、神器とは別に個人報酬が出るそうな。
勝利するまでは何度も挑戦できるので、わざと敗北して個人報酬だけ貰い、改めて出直すことも考慮に入れたほうが良いそうだ。
我々の鬼が島も、2つめの神器を手に入れたので「口」の部分が開いた。
そこは、カルデラ火山のように、お椀型になっている。
お椀のど真ん中にそびえたつ、黒鉄の城。
その「鬼の城」に最後のラスボスが居る。
■
鬼の城へは、スムーズに侵入することができた。
正確に言うと、途中では一人の鬼にも出会わなかった。
城内は入口から道が延び、突き当たりに両開きの大きな扉が行く手を阻んでいる。
扉のわきには、1体の赤鬼。
「鬼王さまがお待ちです。中にお入りください」
赤鬼が我々に丁重にお辞儀をすると、ゆっくりと扉が開いていった。
扉の奥はファンタジーでありがちな、赤いじゅうたんの大広間。
大広間の奥には金色の玉座があり、身長3mはありそうな鬼の王が座っている。
彼の角は頭から5方向に張出し、まるで王冠のようにも見える。
玉座の傍らには、幾人かの鬼が家臣さながらに立ち並んでいた。
彼らは、我々がやってくるのを待っていた。
「人の子らよ、よくぞここまで来たな。
我との最後の勝負に勝てば、最後の神器、草薙の剣を返そう」
鬼王の合図で、数人の鬼が広間の奥から大きなダーツ用のルーレットを引っ張り出してきた。
ダーツを刺して使用するタイプの、くるくる回すルーレットだ。
ルーレット盤には、今回の勝負方法らしきものがいくつも並んでいる。
「血の池遠泳」「針山駅伝」といった、理解しにくいものから、
「肉弾戦」「射撃戦」といった血なまぐさいものまで各種の競技が見て取れる。
デカデカと円盤の中心に配置されている「海竜退治」だけは避けたい。
難易度ExHardであるせいなのか、競技種目数がかなり多く、枠の小さいものは何と書いてあるのかがよく見えない。
一人の鬼の手によって、競技ルーレットが回された。
「主らの運命を決める一投だ。主らが投げてよいぞ」
一人の鬼が、にやにやしながら、黄金作りのダーツを持ってこちらにやってくる。
何が出ても、負けない自信があるのだろうか。
どうも、向こうのペースに飲まれているなぁ。
「いい気なものね。首を洗って待っていなさい!」
鷹目が一歩前に踏み出し、高らかに宣言してから、懐から取り出した短銃でルーレットを撃ち抜いた。
ルーレットの円の一部に、弾痕があく。
「ほほう、強気な娘だ。その言葉、後で飲み込むなよ」
鬼王は悠然と鷹目の挑発を受ける。
我々プレイヤと鬼とが見守る中、ゆっくりとルーレットは回転を止めた。
鷹目に撃ち抜かれた部分は面積がかなり小さく、何の競技が書いてあるのか遠目では読めない。
赤鬼が近寄って、声高らかに種目を読み上げた。
「人狼ゲーム!」
癖のある種目を引っかけたもんだ。
どうやって、勝敗を決めるのだろう……
■人狼ゲームの かんたんなルール説明
・参加者は、「人狼」と「人間」の2つの陣営に分かれます。
・以下の役職が、参加者にランダムに割り振られます
村人:能力無し
人狼:能力「夜に、人間を1人食い殺す」「人狼間でテレパシーができる」
占い師:能力「夜に、ある人が人狼か人間かを判別」
霊媒師:能力「夜に、前日に処刑された人が人狼か人間かを判別」
狩人:能力「人狼の襲撃をガードできる」
狂人:能力(?)「人間であるが、人狼側の存在として行動」
共有者(2名):能力「相方と自分が両方人間側であることが解っている」
・一日は、朝、昼、夜 のターンに分かれます。これが繰り返されます。
朝 能力処理の結果発表。
昼 参加者全員で誰が人狼かを話し合い、投票の結果として、怪しい人を処刑。
夜 役職ごとの能力使用宣言。
・毎日の繰り返しの結果、人数が「人狼>=人間」になると人狼の勝ち
「人狼=0」(人狼を全員処刑)になると人間側の勝ち。
■追加ルール説明
・出場者は、外見や声色で個人特定できないよう、視覚聴覚に迷彩をかける。
プレイヤ側6人、鬼側は鬼王含め7人が参加。ゲーム管理は鬼大臣が行う。
・ルールは通常の「人狼」と同じ。
村人5 人狼2 占い師1 霊媒1 共有2 狂人1 狩人1
・人狼ゲームの勝負がついたとき、プレイヤと鬼で、生き残っていた人数が多い方の勝ち
・鬼/プレイヤの生き残り人数は、鬼大臣から毎朝発表される。
・ゲーム終了時、生き残っていたプレイヤと鬼には、鬼王からのご褒美があるヨ
■
我々6人に、鬼側から7人が追加され人狼ゲームが行われる。
大広間には、大きな円卓と13脚の椅子が据えつけられ、各々の椅子に一人づつ座っていて、この円卓が「人狼ゲーム」の競技場となる。
敗者はこの円卓から排除され、空の椅子が残っていく仕組みだ。
視覚と聴覚が操作されているため、参加者全員が「村人A」のような、当たり障りの無い外見と声色に変わっている。
もちろん、座る場所もランダムなので、誰が鬼で誰がプレイヤなのかを判別することはできない。
個々人が異なるところといえば、全員が胸から「村人1~13」と記されたプレートがかかっていること。
俺は「村人5」。だが、それは仮の姿であって、じつは人狼の役職に引きあたった。
相方の人狼は「村人7」
村人7
【ガンガン行こうぜ】
村人5
【そうだな】
相方からのテレパシーに、簡潔に返答する。
VRの中での仕組みはわからないが、「テレパシー」が違和感なく使えるのがありがたい。
だが、人狼間においても、既に読み合いは始まっている。
人狼を退治すればいい、という、普通の人狼ゲームでは無い。
俺が「プレイヤ」ということがばれれば、「鬼」側は人間人狼関係なく、裁判で処刑しにくるだろう。
目指すべき所は、なるべく「鬼」の村人を食い殺し、「プレイヤ」の村人を残すことだ。
次回 「一日目」




