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有岡城の虜囚(中篇)

■が2つあるのは、主人公が居ない場面です

■ ■一方そのころ……


奥州に位置する、伊達政宗率いる伊達家。

米沢城の大広間では、軍議が行われていた。

主な議題は、関東地方で一大勢力となったプレイヤ連合『俳人旅団』の包囲網に参加するかどうか。


『俳人旅団』は、早くから上杉(長尾)家と同盟を結び、その後ろ盾を利用して大きくなった。

現代でいうところの、群馬栃木あたりを領し、武田、北条との戦闘の中で戦果を挙げてきた。

だが、連合の参加人数を急激に増加させた結果、北条家、宇都宮家、佐竹家といった関東の諸大名が連合して「包囲網」を結成。

南方、東方の二方面から猛攻を加えたが、『俳人旅団』も負けてはいない。

東征敗退により、力を蓄えたい武田と同盟し、西方の安定を得ると、東方の宇都宮家へ反撃を開始した。

そのため、包囲網の盟主である北条家から、伊達家へ包囲網参加要請が飛ぶことになった……



運営の方針なのか、伊達家の面々はジャニーズ系イケメンで固められている。

伊達家を支えるプレイヤには、ゲーム好き、歴女(歴男)、ミーハー派の3派のプレイヤが居る。

しかし、城で行われる公式軍議には、レベル2以上の連合の代表者しか参加できない。


そのため、大広間に居るのは、それだけの規模の連合を作り上げることができた者たち、

やりこんだゲーマーか、戦争を熟知した歴女、あるいは、訓練されたミーハー女子のみ。

彼らは、無駄に騒ぎ立てるようなことはしない。



軍議の進行はつつがなく進み、「包囲網参加」の決断を下した。

政宗と片倉小十郎は大広間を後にし、居住区へと移動する。

米沢城の廊下歩む彼らの後ろには、一人の女性プレイヤが従っている。

フレームの細い眼鏡をかけ、当時の礼服である直垂を隙無く着こなす姿は、現代のキャリアウーマンに近い。


「いつもの事ながら、豪族(プレイヤ)たちのとりまとめ、

ありがとうございます」

片倉小十郎が、歩きながら彼女に軽く会釈をする。

「いいえ、大したことはありませんわ」

彼女は軽く微笑みながら、小十郎に答える。

「ところで、会長さんは如何なされました?副会長さん」

「会長は、近畿の方に行っております」

「近畿となると、織田家……ですね」

「はい。織田家は毛利を取り込み、中国地方を傘下に収めました」

「ふぅむ」

小十郎は眉をひそめ、DBに「くせ」として登録されている、あごをこする動作を行う。

「北条と友好関係を結ぶ手はずであったな。この軍議もその布石であるとか」

「はい。さらに間隙をとらえ、織田家が内部分裂するよう、手を打っておきました」

前を歩く政宗が足音高くるりと振り返り、にこりと微笑む。

「ありがとよ!」


副会長と呼ばれた女性は、15歳の少年の笑みに頬を赤く染める。

「わ、我ら『伊達者ファンクラブ』連合にお任せください。

会員番号一桁の十人衆が居る限り、政さまには指一本触れさせませんっ!」

胸元に輝く「№2」のバッチを触りながら、彼女は宣言する。

彼女を見ながら、小十郎はため息をついた。




■ ■

焼け跡となった平安京。

日本の首都が難波京に変わったこともあり、大半の民家は焼けたままになっている。

人がほとんど住んでいないこともあって、野盗こそ居ないものの、夜になると野犬が入り込み、遠吠えがあちこちから聞こえてくる。

迷い込んだイノシシを小路に追い込み、狩っているらしい。


そんな廃墟となった都で、二条城だけは再建され、山城国の本城として使用されていた。

現在の国主は、羽柴秀勝。

信長の四男で、秀吉の養子となった男である。

だが、秀吉に秀路が産まれてから、彼の居場所が無くなった感がある。

さらに、信長は本能寺にて命を落とした事で影が薄くなった。

しかし、運よく、お市さまによって「一応兄の四男だし」と、(焼け落ちた)山城を与えられていた。



人気のすくない二条城で、彼は布団をひっかぶって震えている。

毎晩の事なので、配下たちは気にも留めない。

そばに控えるのは、楠木難波介。

「楠木!また、枕元に親父殿が出てきた……」

羽柴秀勝は真っ青な顔で、楠木にすがるように彼の袴の裾をつかむ。


楠木はそれを払いのける事もなく、『脅迫』を使用してから、落ち着いた声で答える。

「それは、総見公(信長)が、光秀の首を求め、あなた様に取りついておられるのでしょう」

「ワ、ワジはどうすればいいのじゃ?」

「私が草の根分けてでも光秀を探し出しましょう。ですが、山城国の支城には私の存在を面白く思わぬものも多い……」

「そちに与えた、建部山の城はどうした!?」

「我が手の者に治めさせ、兵を籠めております。ですが、支城ひとつだけではこころもとない……」

「勝竜寺城もつかわそう。父上の悲願を……」

「は。早速、勝竜寺城にも手の者をつかわせましょう」

楠木は深々と頭を下げ、笑みを秀勝に見せないようにする。

「何度手紙を出しても、養父殿(秀吉)からの便りが無い……。もはや、そちだけが頼みじゃ」

その言葉を背中で聞きながら、楠木は退出した。



城の大手門の前で、『西方不敗』同盟のプレイヤ数人が待機していた。

そのうちの一人、平安京炎上で爆薬を手配した男が近寄ってくる。

「秀吉宛ての手紙を持った早馬を捕えた。文面を見る限り、ずいぶん焦っている様だな」

表情を変えずに、淡々と報告する。

「ふふふ、もう少しで山城も堕ちそうだ」

楠木は暗い笑いを浮かべる。


「今日は、勝竜寺城が手に入ったぞ。お前、治めてみるか?」

「俺は政治極じゃない。そんなのはお断りだ」

黒ずくめの服装をしたその男は、一考もせずに断る。

楠木は近くにいた連合員二人に割符を与え、勝竜寺城へ行くよう指示を出してから二条城を見上げる。

「まずは、織田家を空中分解させるか……」




■ ■

どこかのうつけが燃やした安土城は、お市さまの命令で再建された。

琵琶湖を望むネオ安土城は、女性らしさを表す曲線と、城郭の直線を混ぜ合わせた結果、よくわからない観光スポットとして有名。

その天守閣に、美しく着飾ったお市さまが座っていた。

彼女の前には、胸にロザリオをぶら下げた美青年、高山右近が座る。



「わらわの手の者は、うまく猿めの元に潜り込めたようです。猿めの方はどうですか?」

「は。お市様のお指図通りに」

「猿めは、毛利の監視で播磨を動けぬ。奴の手ごまは分散しています。

多少の時間がかかっても構いません。ゆるゆると力をそぎ落とす策を施しなさい」

「ははっ。奴の軍師、竹中半兵衛は永くはありません。

もう片翼の黒田官兵衛は、手の者を動かし、有岡に拘束しております」

「両腕をもがれた猿め、苦しんでおることでしょう」

「は。神罰と存じ上げます」

右近の言葉を聞いて、くすくすとお市さまがドS女王様っぽく笑う。

「残すところは、あの面倒な豪族どもです。

特に、あの佐久間とかいう奴の連れは、いくつもの聖句を事もなげに暗唱して見せました。

そこまでして偽装するとは、恐るべき手練れ……」

「そちらは、わらわの方で何とかしておきましょう。後は、任せましたよ」

「ははっ。God Save The Queen(神よ、女王を守りたまえ)」



■ ■

彼の朝は、一杯の緑茶から始まる。

厳選された新茶の甘い香りが、彼の鼻腔をくすぐる。

「うむ。うまい」

熱い茶をゆっくりと楽しむ彼の口から、ふと、独り言が漏れる。

すでに、初夏の季節。頭上には青い空が広がっている。

「今日も暑くなりそうだな」

空を見上げて、官兵衛は独り言をつぶやいた。



ここは、有岡城の一角。

小山が穿たれ、土づくりの牢屋が乱立する。

本来の土牢は、しめっぽくカビ臭いものである。

しかし、そこまでのリアリティは誰も好かない との理由から、非衛生的な造りにはなっていない。

土牢の警備はずさんで、兵士たちが私語をしながらたまに通り過ぎる。

しかし、この場所には荒木村重に雇われたプレイヤ傭兵が頻繁に顔を出す。



プレイヤ達にとって、戦場で実績を挙げれば「名が売れた」事になる。

ゲームで言うところの「戦績」ポイントが溜まる。

普通にのんびり「戦争」しただけなら、一日で10ポイント程度の戦績が得られる。

大将を倒す、捕獲する といった功績を挙げれば、数百ポイント位にはなる。

そうやって得られた戦績は、運営側が用意した、いろいろなアイテムと交換できる。

交換アイテムは、お決まりの消費材(火薬、鉄砲等)と、週変わりでランダムの十数種類がある。

ランダムの中には、滅多に見られないようなユニークアイテムもある。

なんと、松永弾正と共に爆散した『平蜘蛛釜』が出品された事も。


そういった国宝級のアイテムは、消費材とは別に、現品限りでの最低額付きオークション形式で取引される。

何万、何十万という桁違いのポイントが動く。

そうなると、それだけの戦績を矯めなければならない。

勝ち戦の尻馬につくよりも、負け戦での「善戦」のほうが戦績は稼ぎやすくなっている。

多少の損害や外交悪化さえ気にしなければ、荒木側についた方が戦績的にはお得なのだ。


さらに、報酬、戦績に続く第三の思惑として、能力値上昇狙いがある。

武力、知力といった主要5能力値を上昇させるには、四つの方法がある。


一つ目は、クエストによるもの。

但し、こちらは発生回数が限られている。


二つ目は、生産系スキルで「大成功」を出す事。

この場合、技術値が上がる。


そして、三つ目がコネを得ること。

「コネ」とは、相手側からどう思われているか?を示す。

リアルと同じく、印象の薄いキャラクタは、相手から覚えて貰いにくい。

その関係で、魅力や政治が高いと、コネを得やすくなる。

コネを得ると、相手の能力に比例した能力値が上昇する。

但し、相手が自分よりもあまりに弱い場合、能力値が上がらない事がある。


最後の四つ目が、戦場においてAI武将を叩きのめす(物理的であれ、策略的であれ)こと。

コネが治世的接触なら、こちらは乱世的接触。

AIが動かす武将を「見敵必殺」で潰していけば良い。

こちらも、倒した相手の能力に比例して上昇する能力が変わる。

武力を上げたいのなら、武力系の武将。

知力を上げたいのなら、知力系の武将。

当然ながら、自分よりあまりに弱い相手だと上がらないので、

得意な能力を伸ばしたいのであれば、その分野でより強い相手と戦う必要がある。



この有岡城の戦場を分析すると、攻め側は、高山一族や羽柴家など、織田家の多彩な武将が押し寄せる。

その反面、守り手の荒木側には、煌めいた武将があんまり居ない。

プレイヤ同士のPKでは、相手を幾ら倒しても能力値上昇は無い。

能力上げを考えた場合、守り手側が分が良い。


それらの理由によって、荒木側に与するプレイヤはそれなりの数がいた。

もちろん、戦力比が悪い分、自兵力の損耗も激しい、というデメリットがある。



■ ■

話は戻り、有岡城の土牢では、人だかりがしていた。

プレイヤ達は、官兵衛をとり囲んで世話を焼いている。

「黒田さん、藤蔓この辺で良いですかね?」

「花咲いてる方が良いんじゃないか?向こうにあったから、それ持ってこいよ」

「茣蓙持ってきましたよ~。座禅にしますか?それとも懺悔的な?」

茣蓙を手にしたプレイヤは、小脇に白木造りの十字架まで抱えていた。


この至れり尽くせりにも理由がある。

有岡城側に付いたプレイヤ達にとっても、「覚醒イベント」は注目に値する。

歴史を知っている彼らから見れば、ここで官兵衛が覚醒しようがしまいが、有岡城攻めに影響は無い。

となると、「処刑しました」で味気なく終わらせるより、覚醒イベントを発生させたほうが面白そう。

そんな理由で、官兵衛の獄中生活はそれほどの不快も不便も無かった。


■ ■

リアルの時刻では深夜。

プレイヤ達がリアルに戻り、周囲が閑散とした後、ゲーム内空間の土牢付近に兵士姿の男が現れた。

薄汚れた胴丸に、荒木の家紋が剥げかけている。

彼は、光の下ではだらけた感じでとぼとぼ歩き、人目につかない場所では、無音で滑るように移動する。

そして、建物の影が切れて日の光の下に出ると、前とは別人のように肩肘を張り、歩き方さえ変えてのしのしと進む。

物見塔から忍びを厳しく監視している監視兵も、それが同一人物と気が付かず、見過ごしてしまう。


そんな行動を繰り返しながら、彼は官兵衛の囚われた土牢へと周回しながら近寄っていく。

リアル有岡城の土牢は、もとは武器庫として作られた石造りの建物。

水はけの悪さから、武器庫としては不適と判断され、空家になっていた建物を牢屋として使用している。

ゲーム内でもその来歴は変わらず、官兵衛が閉じ込められている。

土牢に忍び寄った兵士は、牢の中を興味無げに軽く確認した後、紙を固くねじってこより状になったものを牢屋に投げ入れて素早く去っていった。


残された官兵衛は、投げ入れられた紙をゆっくりとつまみあげて開く。

暗闇に慣れた眼に、墨痕鮮やかに「善」の一文字が飛び込んできた。

一目見た途端、彼が厚く信任する股肱の家臣「栗山善助」の筆跡と知り、官兵衛の口元にうっすらと笑みが浮かぶ。

「孫子に曰く、四路五動あり か。しばらくはのんびりさせてもらおう」

そう言って、官兵衛はごろりと固い石の床に横になった。



有岡城からも、高山砦からもほどほどに離れた沼辺で、俺は坂田と一緒に釣りをしていた。

お供にしているのは、ボディーガードの岩斎。

修験者の恰好で六尺棒を持ち、さりげなくあたりに目を配らせている。

もう一人の流水斎は、有岡城に偵察に行かせている。

坂田も同様に、武力極みらしきごつい漢を背後に引き連れている。


ちょいちょいと釣り竿を動かしていると、強い手ごたえを感じた。

「おし、デカイの釣れた!」

そう叫んで竿を思い切り引き上げると、強い手ごたえがあり、しばらくして糸が切れた。

「あ……」

「おいおい、また根がかりか」

そういいつつ、坂田が竿を引くとナマズが上がってきた。

現在までの釣果は、俺は小魚2匹。坂田は大小大量の魚を釣り上げている。

どさくさに紛れて、ヌシである黄金鯰まで釣り上げており、大差で敗北。

坂田は眼鏡をくいとやると、アイテム『魚籠』にナマズを入れ、立ち上がった。

「そろそろナマズばかりも飽きてきたな」


『魚籠』は魚限定の、いわゆる魔法の鞄。

中に入れた魚は生け簀状態で活きの良いまま保持されるし、いくら入れても重さも感じない。

通常の「魔法の鞄」は、持ち物の個数制限があるが、魚籠は魚限定ではあるが制限が無い。

【太公望 全国制覇!】という、全国を釣り周るクエストで得られる釣り師御用達アイテム。

「そろそろ、彼らが戻ってくるころだな」

俺も、そう言ってい(折れた)釣り竿をしまって立ち上がる。



俺たちが、何故こんなところで釣りをしているかというと。

坂田は、『松下村塾』という、一目でわかる毛利派閥のギルドに属するプレイヤである。

毛利家は、中国大戦で敗北したとはいえ未だ8カ国を持つ仮想敵国。

毛利家側の事情も似たものなので、あまり表立って交流するのは憚れるとの事で、このような場所で落ちあっていた。

この場所で、有岡城にはなった忍びの報告を待っている。

現在までに俺が知っている忍者の最高峰は、坂田家に所属する猿助。

赤影さんや流水斎の「守る」城に、あれだけ深く忍びこめたのは奴しか居ない。



『忍者』というスキルは、取得条件が難しくプレイヤ向きではない。

武力、知力、技術の3つの能力値で各々最低60以上かつ合計200以上を要求される。

プレイヤキャラクタの能力値の初期割り振りは、基準値30に自由割り振り100。

ゲーム開始時の能力値で到達することは出来ない。

さらに、スキル取得の手順も何段階かあるため、「初心者」ゲーマーには向かないと運営側からも明言されている。


だが、『忍者』スキルの汎用性は高く、かく乱を目的とした戦闘技術、毒薬知識、危険感知、忍び足、投擲術といったスキルのお得なパッケージセット。

使いこなすにはセンスも求められるため、『忍者』を持っているプレイヤは全サーバ合わせても三桁と言われている。

しかし、AIが動かすキャラクタ側の忍者は数多い。

その大半は、『忍者』スキルを持たない下忍だが、スキルもちの忍者が1家に1人くらいは居る。

猿助は、三毛村さん同様、(自称)「妖精」というタイプの武将。

どの領地にも一体ずついるらしい、尖った能力値を持つ。

現在までに解明している内容だと、領地周辺の山の中を散策していると低確率で出現し、「お願い」を叶えると配下になるというもの。

猿助は猿系の妖精らしく、身のこなしが異常に素早く、能力の尖り方が忍者向けであるそうだ。



坂田が立ち上がってほどなくして、木の上から流水斎が飛び降りてきた。

彼は、俺に一礼してから坂田に向き直る。

「以前の地図と比べて、何箇所か見張り台が増えています」

そう言って、地面に簡単な見取り図をさらさらと書いていく。

ベースとなっているのは、坂田が知り合いのプレイヤ傭兵から流してもらった見取り図。

2週間くらい前まで、有岡城で傭兵をやっていたそうな。

だが、前線にある城は、建て増しが今もなされているらしく、数日で変わっていく。

「この辺に黒田殿が居る らしいと言う事までは突き止めましたが……」

流水斎は言葉を濁す。

「警備が厳重であったか」

「はい、豪族プレイヤが頻繁に出入りしているようでした」

「それは、仕方が無いなぁ」

プレイヤは、そんじょそこらの一般武将より、能力値が高い。

能力値の割り振りを自由に行えるため、得意な分野はとことん得意になりがち。

坂田は、他にも、武器弾薬の状況、兵糧の多寡、士気や城の防御値などを聞きこんでいく。

流水斎は、その質問に的確に答えていく。

知力極の兵法スキルの中には、ぽえるの持つ『墨子』(籠城戦向け)の逆に、攻城戦を得意とするものもある。

それらのスキルは、『逃げ足』のガイドカーソルのように、攻め口を指示してくれるそうな。




そんな事を話していると、どこからか、音も無く一人の男が姿を現す。

中肉中背、会った事があるような無いような、印象の薄い顔立ち。

「猿、様子はどうだ?」

「元気そうですね。でも、かなりの使い手が何人も見張りに立ってやした」

変装をつるりと落として、猿の妖精、猿助が答える。

「プレイヤかぁ」「プレイヤだなぁ」

坂田は腕組みをして考え込む。

「まずは、プレイヤを有岡城から引き離さねばなるまい」

「できるのか?」

「少し考えてみよう」

坂田の眼鏡をくい とやる癖は、敵にするとうざく感じるが、味方であると多少は頼もしく感じる。

彼の自信にまかせることにしてみた。

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