次なる目標
MMOでおなじみのプレイヤの互助組織である「ギルド」は、このゲーム内で「連合」と呼ばれる。
連合にはレベルがあり、レベル1は連合員間での銭や食糧といった、SLGリソースの融通が可能になる。
昇格条件をクリアすると連合はレベル2となり、合戦で専用の待機エリアをもらえたり、軍議への参加資格が出来る。
専用の旗印や紋章を作れるようになるのもレベル2から。
さらに、レベル3まで上がると強力な「連合スキル」を獲得できる。
その上、南蛮貿易で南蛮渡来の業物やスキルを得る事が出来る。
レベル3への昇格条件は「100万石(相当)の到達」。
俺たちの次の目標は、連合のレベル3昇格。
それに向けて、高田城の一角に集まり御神楽からレクチャーを受けていた。
「で、俺たちは今のところ合計何万石相当なんだ?」
佐野が御神楽に質問する。
「直接的な領地石高としては、全部あわせてで30万弱です」
美作(18万石)、伯耆(10万石)の二か国。
「そこに同盟ボーナスとして、宇喜多の35万石、尼子の15万石の1割が入ります」
レベル3に求められている「100万石」は実際の石高ではなく、それに相当する実力である。
そのため、同盟国が多い、大きいというのもボーナス要素になる。
但し、上限10万石の制限がある。
「40万ってとこか。まだ半分も行ってないのか~」
みんなも同じ思いだったらしく、ため息が出る。
「秀吉や毛利と同盟を組んだらどうだ?」
「秀吉はともかく、毛利家は無理です。停戦協定と同盟は同時に結べないので」
同盟を結べたとしても、まだまだ先は長そうだ。
気持ちを切り替えて、御神楽に尋ねてみる。
「石高を上げるにはどんな手がある?」
「一番上がりやすいのは、やはり周辺領地の切り取りですね」
「切り取りかぁ」
今現在、我々と領地を接するのは、尼子、宇喜多、羽柴(織田)、毛利の4家。
何処も同盟国ないし停戦中であるので、切り取ることが出来ない。
不謹慎ではあるが、平和であるが故の弊害である。
「あとは、国の価値を上げる事です。
新しく支城を作って城下町を開拓するとか、探索によって金山銀山を見つけるとか」
「金山!それって石高で、どのくらいにあたるんだ?」
「規模次第です。ちなみに、石見銀山で50万石相当だそうですよ」
「デカっ!」
佐野が驚きの声をあげる。
「じゃ、金山探しを頑張った方がいいんじゃねぇか?」
「石見銀山は日本最大の銀山だぜ?そうそう転がってないだろ」
横から佐野に突っ込みを入れる。
「そうですね。今までプレイヤが見つけた鉱山では、最大のもので5万石みたいです。
銭にもなりますし、やって損は無いと思いますが……」
「それだけで100万石はほぼ不可能 ってことか」
赤影さんが横から言を継ぎ、御神楽が頷く。
「とりあえずのところは、秀吉との同盟締結を頑張ろう」
議長である俺が締める。
「じゃ、俺はダメ元で金山銀山でも探しておくか~」
赤影さんが顎を撫でる。
俺たちは第二ステージへと突入した。




